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料理|牡丹色に花ひらく ポテトロール

母と並んで立つ、実家のキッチン。
鮮やかな黄色で統一されたカウンターキッチンは、
全員身長が高い我が家向けに、オーダーメイドで作ってもらった空間。

「一緒に料理するの、久しぶりやなあ」とつぶやく母に、
「帰省しても、日頃の反動で全然家事手伝わへんもんね」と半笑いで返す。

「ねえ、せっかくパパの還暦祝いなんやし、ワインも飲むやろ? やったら、なんかちょっとぱくっとつまめるもの作ってよ。あの、カタカナでなんていうんやったっけ。立食パーテイーとかで出てくるやつ」

すぐに言葉が浮かばず、えっと〜、あれやろ、わかるで、名前出てこうへんけど、あの〜、とじりじり時間を稼いで、ようやく。

「わかった!フィンガーフードちゃうん、それ?」とドヤ顔。
「あ〜〜〜それ!さすがまだまだ若いな。ほな頼むわ」と母の口元がきゅっと上がる。

茹でたじゃがいもにバターを落としてマッシュポテトに。
塩コショウで味をととのえたあと、一口サイズにころころ丸めていく。
(さらに焼いてこんがりさせたい場合は、片栗粉も入れておくとなおよし)

昔から、蟹を食べると無口になると言うが、
餃子を作るときとポテトを丸めるときは、話が弾むものらしい。

ポテトを花に見立てて並べながら、
あーだこーだと女子トークを炸裂させ、しっかりお互いの近況を確認。
悩み事や愚痴も出せるだけ出した。
電話で話すときとはまた違う、息づかいから伝わってくるものがあった。

「ハムでも巻いて赤っぽくしといたら完璧ちゃう?」
と割り込んできたのは、すっかり髭を蓄えた、○度目の医学部受験を控えている弟。
あんなにちっちゃかったのに、今となっては我が家の誰よりも背が高い。

ロースハムよりちょっぴりジューシーなビアハムを4等分にして
ポテトロールの上に被せれば完成。
ほんのりピンクっぽい赤色、可愛らしい気がしてきた。
バジルで葉っぱも生やしておいた。
宴会用の新レシピ爆誕。

そうこうしているうちに父も加わり、乾杯。
久しぶりの4人そろっての団欒は、大いに花が咲いた。

#私のイチオシレシピ

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