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初めて一人で運転して、10年越しの願いを叶えた

47都道府県の旅を終えた今もなお、忘れられない旅がある。
大学1年目の夏休み、初めて一人で旅行をしたときのこと。


北海道・知床から釧路まで、ユースホステルに泊まりながら南下するコースで、(ただでさえ本数の少ない)公共交通機関頼みの旅だった。

摩周湖近くのユースホステルでのこと。
夜、共有スペースで(大人たちはお酒を飲みながら)団欒をしていて、こんなところに行ったとか、ここのユースもよかったとか、いろいろな旅情報を旅人のみなさんが教えてくれる。私にとっては何より、そういう全然知らない世界の人と話をする、というのが新鮮すぎて、ああこれこそが旅の醍醐味だなあと思った。

その中に、成田空港で飛行機の整備士をしているという女性がいた。こちらと同じ一人旅で、歳は20代前半くらいだっただろうか。

飛行機整備の仕事なんて未知すぎて、いろいろ質問攻めにしてしまったのだけど、ふとした話の流れで「明日はどこに行くの?」と聞かれた。

摩周湖はその日に見てきたので、明日は釧路に向けて電車移動をする予定です。と答えたら、「明日、神の子池っていうところに行く予定なんだけど、よかったら一緒に来る?」というお誘いをいただく。

実は旅の計画をしながら「いいな、行きたいな」と思っていた場所だった。小さな池だが湧水のおかげで一年中水位が保たれていて、透明度がものすごく高いから、泳いでいる魚もくっきり見えるという話だった。

でも、車でしか行けない秘境のような場所にあるので、運転のできない私は行くことを諦めていた。だから「本当にいいんですか?(怪しい人じゃないよね…)」とびびりながら、それでもわくわくしながら、ついていくことにした。


翌朝、「旅先で初めて出会う人と一緒に行動する」ということの現実感のなさにまだふわふわしながら、お姉さんのレンタカーに乗せてもらう。

道中、飛行機の整備士になった理由や、飛行機が浮く原理が未だ解明されていないことなんかの話を聞いた。整備されていない凸凹の山道をものともせず、ハンドルを巧みに繰りながら飛行機について語る横顔はとても楽しそうで、「好きな仕事をがんばってる大人ってかっこいいなあ」と、なんとなく思った。


到着した神の子池は、早朝ということもあってぜんぜんひと気もなくて、ひたすら静かに青かった。大昔からそのままだという倒木の間を、ほんとうに魚が悠々と泳いでいる。

お姉さんと二人で、日本の端っこに取り残されたような気持ちで魚を見ながら、「自分の足で、行きたい場所に行ける」ということの尊さを感じた瞬間だった。

そのときから、「旅先でも自分ひとりで運転できるようになりたい」という思いが途切れずにあった。

初めての一人旅で親切にしてくれた、かっこいい飛行機整備士のお姉さんみたいに。


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時は経ち、就職に必要という理由だけで運転免許を取った私は、それでも、まったく車を運転しない旅ばかりを続けていた。

公共交通機関のいいところは、移動の時間を自分の自由にできるところ。寝てもいいし、次に行くところのプランを見直してもいいし、周りの人の観察をしてもいいし。移動している間に別のことができる。

その恩恵には十分与りながら「でもやっぱり、自分で車を運転できたら、もっと行ける場所が広がるのになあ」と思っていた。


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チャンスは突然やってきた。

今年の夏。免許取得から約8年、実際に運転した回数は一、二回という状況だったけど、友達と行く函館でちょっと遠出しようという話になり、レンタカーを初めて借りることにした。

教習時代もそこまで巧みな運転ができたことはなかったので、函館旅行の前には実家の車で毎週のように練習をさせてもらった。

とくに駐車が下手すぎて、親にも「本当になんでこれで免許取れたんだろうね」と言われるほどだったけど、もう決めちゃったことだからしょうがない。

腹をくくって函館に行く。


牧草地でのドライブはとても楽しかったけど、駐車はやっぱり下手だった。くわしくはメンバーシップの記事を見てください…(途中までは無料です)


函館でそこそこ無事に運転を終えられてから、「あれ?一人でも運転できるんじゃね?」という気持ちがむくむく湧いてきて(単純)、そのうち抑えられなくなった。

よし、次に行く旅先では一人で運転してみよう。


そういう経緯で、先日行った山形で初めて、一人で運転をした。

詳細はそのときのnoteに書いたのですが(すみません、途中からメンバーシップの記事です)

走り出して、両側に広がる田んぼを後目にアクセルを踏みながら、なぜか泣きそうになった。もうどこにでも行けてしまう、と思った。

とにかく、ドライブの最初から最後まで完全に一人で、しかもちゃっかり高速まで乗って完走できたことが、本当に嬉しかった。(ライブとか、田んぼの中のホテルとか、ビストロでの素敵な出会いとか、旅のハイライトはたくさんあったけど)


とはいえ、正直、旅行前の夜は運転が不安すぎて全然寝れなかった。

事前準備は思いつくかぎりやってたけれど。
Google Mapで、通る予定の道路の様子を見ながらシミュレーションしたり(「トンネルが多すぎる…しかも狭くて暗い…無理…」)、YouTubeで「高速 合流 コツ」って調べたり。

その中で行き着いた結論は「慎重さと、少しの図々しさが大事」ということだった。

慎重さが大切なのはいうまでもないけれど、車線変更や高速での合流のときは、思い切りというものも大事なのだなと。

ものすごい覚悟と少しの図々しさと引き換えに圧倒的な自由を手に入れる。覚悟というか、責任とか制約がないかぎり、本当の自由は楽しめないのかもしれないな、と今は思う。

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いつか。
あの大自然の真っ只中にあるユースホステルにもういちど行って、他の旅行者と晩酌したいなあ。

その頃には運転ももっとうまくなってるだろうか。一人で旅をしている大学生を乗せて秘境に行ったり、できるんだろうか。

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実は山形で、一つ心残りだったことがある。

鶴岡から山形市に向かう途中、立ち寄った「ピノ・コッリーナ 松ケ岡」というワイナリーで、今年できたばかりのワインが飲めなかったこと。

運転者が自分しかいないので、まあ当然なんだけど。

販売数も少ないし、今年のは飲む機会なさそうだな〜と思いながら帰ってきた矢先、社内でnote クリエイターフェスの告知があった。

その中に「自治体おすすめのお酒をおともにnoteを書く会」というイベントがあって、よく見たら、提供されるお酒リストに、あのピノ・コッリーナのワインがあった。

えっ、ワイナリーにまで行ったのに諦めたワインが飲めるの!?!?会社で?!!

という、若干不純な動機で参加した今回のnoteフェスイベント。


念願だった今年のワイン(一本一本絵柄のちがうバンダナ?がついてる)「Vestito Terre」もちゃんと飲めました。

きれいなレモン色に樽の香りが濃厚な、とても美味しいワインだった。

うっれしいい!!





というところまで昨日のイベント中に書いて、力尽きた。テンション上がりすぎて写真撮るのも忘れている

ちなみにピノ・コッリーナがある山形県鶴岡市、ふるさと納税のnoteがありますよ〜
ラインナップがつよい。


終わりが雑すぎるが、イベントがとても楽しかったのでよしとする。クリエイターさんたちと話せるの、やっぱり楽しすぎるな!
(でもなんで、みんな1時間かそこらでnote書けるんだ…)

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