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乳がんサバイバー(進行乳がんを生き抜いて)

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17年前のステージ3Cの乳がん闘病記。壮絶な治療の果て絶望の淵から立ち上がった記録です。傷だらけですが元気に生きています。 エッセイ特別賞受賞しました。たくさんの方に読んで欲しい…
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#癌サバイバー

乳がんサバイバー 第5話 腫瘍専門医予約そして息子に告知した日

乳がんサバイバー 第5話 腫瘍専門医予約そして息子に告知した日

腫瘍専門医のドクターBの予約が入っていた。11時の予約で名前を呼ばれたのは1時間後の12時だった。

ドクターBは高齢男性で表情も言い方もとにかく暗かった。放射線医と話してやっと楽になった気持ちが一気に沈む。

「……え~リンパ腺には転移していると思うけれど……全部取ると腕が腫れる。ああ……一生注意しなければならない……」とボソボソと話す。話していると具合が悪くなりそうだった。質問も出てこない。

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乳がんサバイバー 第4話 絶望と希望 放射線科の医者と形成外科医に会う。

乳がんサバイバー 第4話 絶望と希望 放射線科の医者と形成外科医に会う。

 
翌日の予約時に専属のナースに治療の質問をして、ついこれから5年間の生存確率のことを聞いてしまった。

「一般的にだけど、もしもステージ3になっているなら、そしてリンパ腺に転移しているなら、5年間の生存率は60%位ね」と言われた。

思っていたよりも低い数字が凄くショックで頭がぐらっとした。もっと高いと思っていたので60という数字がグルグル頭のなかで回った。

5年後に100人のうち40人は亡く

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乳がんサバイバー 第3話 病名告知

乳がんサバイバー 第3話 病名告知

翌朝 左胸は一面真っ青に内出血していた。まだズキズキと痛む。もしも悪性だったらこんな癌の真ん中に針を刺して広がったりしないんだろうか?と心配になる。 

検査結果を聞く予約は午後だった。ホテルを出る時

「きっと大丈夫。なんでもない、なんでもありませんように」と祈った。

待合室で名前を呼ばれて、夫と息子も一緒に病室へ連れて行こうとした。するとナースはちょっと困った顔になり

「……息子さんはここ

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乳がんサバイバー 第1話 マンモグラフィー

乳がんサバイバー 第1話 マンモグラフィー

2003年3月

 左胸の中に大きな塊があることに、ずっと気がついていた。

 奥の方からズンズンと突き上げるような鈍痛もあった。当時癌は痛くないと一般に言われていたので、例えば乳腺症のようなものだと思っていた。乳腺炎にかかったことがあり、その時の感触と痛みにそっくりだった。 なので「またか」と軽く考えていた。

* * * * * 

 当時、私とアメリカ人の夫と息子は関東にある米軍Y基地の中で

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乳がんサバイバー 第2話 ハワイにつきバイオプシーの検査をする。

乳がんサバイバー 第2話 ハワイにつきバイオプシーの検査をする。

 午前中にハワイホノルル空港(現ダニエル・K・イノウエ空港)に着き、その足で陸軍病院へ行く。家でも飛行機の中でも寝られなかった。

日本時間ではもうすぐ3月4日の朝4時だったが、ハワイ時間ではまだ3月3日の朝9時だった。アラモレンタカーで車を借りてすぐに山の上にあるピンク色の大きな病院を目指す。

簡単な検査をしてドクターと少し話をし、バイオプシー検査という長い針を刺す検査をすることになった。

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