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「そして父になる」:遺伝子か時間か

10月5日、池袋の新文芸坐にて、是枝裕和監督の映画特集やっていたので「そして父になる」をみてきました。

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よい映画でした。
号泣したときのために端っこに座っておいてよかったです。

子どもの取り違え問題を題材に、親子の関係や人間の人格形成について考えさせられる作品です。

全体を通して、「家族を家族たらしめるのは遺伝子か時間か……」そんな問いが巡っていました。

極端に言えば、自分を満たすためのひとつの道具のように息子をみる父親。息子に対する期待はあっても、そこに息子の存在そのものを愛する気持ちはなかった。

一方、親の期待に応えようと懸命であり、一途に父親を愛する息子。

映画ではそれぞれの思いのすれ違いと、父親の変化が描かれています。

フィクションなので最後は感動で終わるわけですが、自分と血が繋がっていないと分かると「やっぱりそういうことか」と呟く父親。実際にこういった父親がいると思うと悲しくなります。

一方で、息子けいたの親に対する一途な愛には胸が痛くなりました。

とくに印象に残っているのは、このタイミングでみんなが涙しただろう、という“感涙ポイント”。

その演出やタイミングが絶妙だったので、この映画はそれが明確でした。

ただ、けいたの父親に対する愛が切なくて、涙が頬をつたうと同時に、人間、涙要素を抑えられると機械のように反応して泣くものなんだな、ということも考えてしまいました(笑)。

花を買って生活に彩りを…