「幸福の黄色いハンカチ」:旅路
「秋刀魚の味」に次いで、レトロものに挑戦。
ということで、名作らしい「幸福の黄色いハンカチ」を選びました。
第1回日本アカデミー賞作品賞、キネマ旬報ベストワンなど、1977年度の映画賞を独占した山田洋次監督の代表作のひとつ。
とのこと。若き頃の、武田鉄矢、高倉健、倍賞千恵子、桃井かおり、渥美清らの演技をみれるのが新鮮でした。
ストーリーに意外性みたいなのはなく、シンプルなものですが、武田鉄矢が笑える役を演じているので、面白いです。
私の関心事の観点から印象に残ったことは、ゆうさんが、感情的になって(いわばキレて)殺人を犯してしまったところです。
ゆうさんは、高倉健の演じる刑務所出所者の人です。殺人罪を犯してしまっていて、そのときの様子を振り返るシーンがあるのですが、簡単に言うと、物事がうまくいかずに苛々していて、そのときに絡まれた人と喧嘩をして、勢いで殺してしまったというもの。
ゆうさんは、そのときのことを振り返りながら、「どうしてこういう性分になってしまったのだろう」と悔いるのです。
映画ではただ単に「設定上」そうなっているだけなのですが、私は、人間の理性を失わせてしまう感情の動きの恐ろしさについて考えてしまいます。
人間は感情に左右されやすく(人間だけではないかもですが)、怒りや悲しみなど負の感情を持った状態は、本当に恐ろしい。理性を失って、何でもやりかねないから。
そして、現実には死んでしまった側の人生の喪失があります。
私は、高校生時代は恐らく思春期というのも相まって、自己嫌悪が激しく、情緒不安定だったので、実感を持って「キレやすい状態」を知っています。
あのときは、いろんな言葉にすごく敏感で、勝手に傷ついていたし、とくに家族の言葉にはすぐに苛々して、八つ当たりをしていました。
そのときのカッとなる感覚。糸がプツんと切れる感覚。
どうにも自分でコントロールできなくて、そんな短気な自分がまた嫌で、哀しかったのです。自己嫌悪の負のループにはまっておりました。
その状態を抜けてみてわかるのですが、やはり圧倒的にあのときはキレやすく、何事も感情に左右されていた。
私は何の力もなかったし、外では少しの理性が働いたので、問題はなかったのですが、そうではない人もたーーーーーーーーーくさんいるはずなのです。
そう考えると、世の中危険がいっぱいだし、アンガーマネジメントみたいな感情をコントロールできる力というのは、早くからみんなが身につけるべき、とても大切な力なのではないかと思いました。
映画の内容からはちょっと話が飛びましたが、そんなことを改めて考えさせられました。
花を買って生活に彩りを…