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成長と回復と鼻うがい

ポリヴェーガル理論について、もうちょっと覚え書き。

まずはおさらい

古い順に背側迷走神経複合体(DVC)、交感神経、腹側迷走神経複合体(VVC)、と三層をなしている自律神経のうち、DVCと交感神経は脅威や危険に反応しそれに生理的・心理的に対応するための働きをします。VVCは安全に反応し「成長と回復」のために働きます。

人間関係を深めたり
新たな人間関係を築いたり
好奇心を満たすための冒険や挑戦をしたり
誰かの喜ぶ顔をイメージしてなにかに取り組んだり
身も心もくつろいで明日のエナジーをチャージしたり…
これらはぜんぶVVCのしごと。

その成果のことを創造、成長、回復というのでしょう。

VVCはニューロセプションが他の誰かの表情や顔色、呼吸、声、姿勢を無意識に検知detectして安全・安心と評価したときに活性化します。自分自身が穏やかな表情で、深くゆっくりした呼吸ができ、心臓はマクロに安定した(でもミクロには適度なゆらぎをもった)拍動をし、穏やかな声で話すことができ、伸びやかにカラダを動かせる時もVVCは活性化します。

赤ちゃんでいうと「ごきげん」な状態のときにVVCは活性化し、働きを強化し、交感神経やDVCの活動とのバランスをとろうとします。戦うか逃げるかモードや凍りつき反応にブレーキをかけて、誰かに助けを求めたり、自分にもできることを創造的に考えるなど、状況や周りの人とコミュニケートすることで自分自身や自分自身が置かれている状況の「成長と回復」をはかります。

自律神経が身体の生理や心理と密接に結びついている…というのが先の投稿の内容のざっくりしたおさらい。

自律神経と鼻うがい

実は、件のセミナーの中で紹介された本がありまして、

速攻で注文しました。

去年はなぜだか複数の人から「鼻うがい」を勧められ、専用ポットを買ってたまにやってみたりしていたのですが、いまひとつ「良さ」や「意味」が腑に落ちていなかったのです。この本の中ではポリヴェーガル理論を絡め、「鼻うがい」がなぜいいのかを解説しています。もとい、上咽頭擦過療法といって「上咽頭を0.5%の塩化亜鉛溶液を浸した綿棒で擦る」ことで上咽頭粘膜の炎症をとると、ありとあらゆる症状が改善する…セルフケアでやるなら「鼻うがい」でもいいよ、という本です。

上咽頭ってここです

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鼻の一番奥であり、のどちんこの裏側であり、お茶漬けを食べてるときにたまにご飯粒がこっちに行っちゃうとツーンと染みるところ。耳管の開口部もあって「中耳炎」はたいてい上咽頭の炎症が耳管に広がって起きます。鼻粘膜の異物への対処法は、分泌した粘液に絡め取って洗い流します。上咽頭粘膜にはアデノイドというリンパ組織があり、病原菌や病原性のウィルスの侵入をここで感知して身体は侵入に備える、いわば免疫の最前線。

コップの水を上むいてガラガラするうがいでは、上咽頭は洗えません。ボウルやコップに生理食塩水をつくって鼻のしたにあてて、片方の鼻の穴をおさえて吸い込む方法か、専用のポットで洗浄する方法があります。わたしは吸い込む方法だとむせてしまうので、専用のポットを使っています。

免疫の最前線なので、手洗いやガラガラうがいやマスクよりも「こまめに人肌の生理食塩水で鼻うがい」というのは風邪やここ一年ヨノナカを騒がせている新興感染症(まだ新興なの?という疑問はさておき)にも有効だと思います。

が、それだけじゃない!

上咽頭と自律神経失調症

この「上咽頭」という部位の感覚刺激は、ポリヴェーガル理論でいう「背側迷走神経複合体」が受け取ります。延髄のお腹側にある「孤束核」から分岐する迷走神経がここを通っていて、感覚情報がネガティブなものだとDVCが活性化するのです。

ところが、咽頭筋(いくつかあります)の支配神経は舌咽神経、迷走神経、副神経、とまさしく「腹側迷走神経複合体」のほう。炎症によるうっ血や腫れがあると、うまく活動できないのです。位置的にも脳に近いぶん、影響は大きいです。

上咽頭の慢性的な炎症によってDVCが活発化しVVCがダウンしていると、いわゆる自律神経失調症といわれる、ありとあらゆる症状に発展します。これにはわたしも覚えがあって、自然療法に出会う前は慢性的に風邪を引いてました。花粉症も春と秋にピークがあって、抗ヒスタミン剤を使うと副鼻腔炎をこじらせて顔と頭が痛くなるのです。ホコリ、冷え、肩こり、目の疲れなど、のどちんこの奥が痒くなるトリガーもいくつもありました。強烈な便秘と、慢性的な胃炎、しばしばおとずれる嘔吐するほどの頭痛。そして鬱。いまでこそ、めったに起きないし、急性で起きたとしても慢性化することはありませんが、もしかしたら「鼻うがい」か「上咽頭擦過療法」でケロッと治ってたかもしれません。衝撃。

ともかく、上咽頭の炎症を起きにくくする&炎症が起きても速やかに解消する「鼻うがい」はVVCのケアとして優れモノなのですね。

わたしが使っているポットはこれ

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アマゾンで買いました。なかなか使い勝手良いです。旅行に持っていくにはかさばりすぎなので、コンパクトなのを考えないとですね。

これまで自律神経には「活動と休息」の2つのモードがあると捉えられてきましたが、ヒトの自律神経は「成長と回復」のために、冒険、チャレンジ、コミュニケートするようにできているのです。上咽頭が炎症を起こしていたら、成長も回復もスムーズにできません。口呼吸はマズいです。鼻呼吸できるように、後鼻漏でグズグズしないように、喉の奥がイガイガしないように鼻うがいしましょう。喉や鼻の自覚症状がなくても、「なんかパッとしない」というときは上咽頭に炎症があること少なくないそうです。

おためしあれ!

では。


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