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頼まれてもないのに。

55
原稿用紙4~5枚くらいを目安に、そのつどなんとなく思いついたテーマで短文を書いています。誰にも頼まれてないのに、ほんと何のために書きためているのやら。そんな駄文の数々をお読みいた…
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2020年8月の記事一覧

頼まれてもないのに。その22(好きな本の話ーふたつよいことさてないものよ)

頼まれてもないのに。その22(好きな本の話ーふたつよいことさてないものよ)

『こころの処方箋』という本の話をしようかなあ。

高校生の時に単行本で購入し、最近あらためて文庫本で購入したくらい好きな本です。著者は河合隼雄さん。数学科専攻の経歴を持ちながら日本におけるユング心理学の第一人者として名を馳せた臨床心理学者さんです。発する言葉の一つ一つが現場経験にかなり裏打ちされている方だという印象です。

55の短文が、そのまま格言として使えるような見出しとともに見開き2ページの

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頼まれてもないのに。その21(当たり前からの軌道修正:若き学生さんたちへ)

頼まれてもないのに。その21(当たり前からの軌道修正:若き学生さんたちへ)

コロナ禍や 新入生は なに想う

まさかこんな形で「学問するとはどういうことか」が問われる世の中になるとは思いませんでした。

大学という学びの場から離れてもう10年以上経ちますが、とりわけ新入生の頃を思い返すにつれ、つくづく学ぶということをなめてたなぁと思います。

なめていた、というより、学ぶのが当たり前だと思っていた、と表現したほうが的確かもしれません。幼稚園でお遊戯をしていたらいつの間にか

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頼まれてもないのに。その20(立ち合いの変化について私が思っていること)

頼まれてもないのに。その20(立ち合いの変化について私が思っていること)

大相撲を見ていると立ち合いの一瞬で勝負がついてしまう取組が時折あります。出会いがしら足を飛ばす「け返し」や「けたぐり」という技で相手を土俵に沈める業師も昔はいましたが最近はとんと姿を消してしまいました。ですので立ち合いの一瞬で勝負が決まる奇襲といえば今では十中八九、左右への変化と相場が決まっています。注文相撲とも言われています。

目の前の取組が大一番であればあるほど注文相撲で勝負が決まってしまう

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頼まれてもないのに。その19(安いもの礼賛社会とその覚悟)

頼まれてもないのに。その19(安いもの礼賛社会とその覚悟)

これはホラーだと思います。読み進めるほどに背筋が寒くなりました。

こういう実態を知るたび怒りと無力感に襲われます。私たちはそんなことを作り手に求めてまで安いものを手に入れたいと思ってない。でも作り手の上下関係の中ではそういう無茶が平気でまかり通っていて、私たちはそれを全く知らないまま「企業努力(誰の??)」という名の安さを喜んで享受しているという。

今の私たちの生活って「本来ならその価格で手に

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