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マーケティングとゲームの交差点、これからのゲーミフィケーションによるエンゲージメントデザイン

1日に飲めるコカ・コーラの量には限界がある。

ということで、デジタルの世界とスマートフォンが普及して、たとえば小売であれば商品購入以外の新たな顧客との接点が一般化し、さらにその関係性がインタラクティブになってきたという経緯的な話から、
流行りのDXについて、いろんな文脈から今盛り上がって?いますが、ゲームビジネス的観点が重要なんじゃないか、という話ができればと思っています。
(以前アップした記事にも同じようなことが書いてありますが、また少し違った観点から)

デジタルによる顧客との接点が一般化したのは、インターネット〜スマートフォンが普及しはじめた2000一桁年代後半から2010年代前半ぐらいでしょうか、ざっくり言いますと、会員に一斉メール送信という片側通行な接点が形成され、その後、同時期から流行りはじめたソーシャルゲームのノウハウがゲーミフィケーションとして、例えば、サービス内の行動によりポイントが付与され何かしらインセンティブと交換というようなインタラクティブ性によるエンゲージメントデザインが現れはじめ、それにクラウド×SaaS(CRMとか)などの文脈が加わり、2010年代からここ最近までにおいて、一般化してきているという状況なのかなと思っています。
(マーケティング分野はド素人で、感覚値のみで書いています)

一方で、今、まさに、であるDXというのは、ここでは生産性のうちの分子にあたる付加価値に絞って触れますが(分母は労働投入量)、2010年代において、サービス等の提供価値をポイントとインセンティブの設計により促進する「手段」であったものが、「目的」にあたるサービスそのものの提供価値のアップデートが重要となっている、というのが個人的な感覚です。
UXという言葉が2010年代後半から踊り始めたのも、既存産業をディスラプトするような体験価値が現れたり、メールによる販促やポイントに意味を感じなくなってきている傾向によるものかな、という感じですね。

諸々経緯や現状認識ここまでで、本題に入ります。
先に述べたとおり、2010年代前半にゲーミフィケーションとして交差したマーケティングとゲームですが、今ここにきて再度交差するタイミングがきているんじゃないのかなと思っています。
(私個人がゲーム屋として勝手に交差したと思っているだけ説あり、もっと自然発生的かもしれませんが…)

そもそもゲーム(ここではバーチャルのもののみを指します)というのは、当然ながらインタラクティブなサービス(コントローラー等の「入力-input-」に対し、画面上で「出力-output-」であることを最大の特徴としていることから、例えば、スマートフォンのフリック等による入力手法の変容、ムーアの法則の最も高波に乗り出力表現をリッチ化、インターネットによる売り切りから永続的サービスへのビジネスモデルの変容、回線高速化によるユーザー間インタラクションの多様化・リッチ化などなど…最新のデジタル技術のままにユーザー体験やビジネスモデルに反映されてきた分野となります。
そして、そのデジタル技術の発展に合わせて、ゲーム市場は拡大してきました。
とりわけスマートフォンの登場は、ユーザー層とLTVの増加を一気に推し進めました。

次に、そのデジタル技術の発展によるゲーム市場拡大とスマートフォンゲームの進化を見ていきます。
ここでは、ゲームの構成要素のうち、インゲームとアウトゲームのうち後者のみを取り扱います。
インゲームというのは、パズドラでいえばパズルによるバトルの部分、モンストでいえばひっぱりハンティング的なバトルの部分で、
アウトゲームというのは、同様にパズドラ、モンストでいえばモンスター獲得(ガチャとか)、育成、デッキ編成など、上記インゲーム以外のすべてをここでは指すこととします。

2010年代前半にリリースされ、今もヒットが続いているパズドラやモンストのアウトゲームは、
「モンスター収集→育成→より高難易度なクエストクリア及びより高価値なリワード獲得」というほぼ一本道的なデザインとなっていました。
(最近の状況はわかりませんが…)
ちなみにですが、この頃のインタラクションはゲームとユーザー間のみであり、ユーザー同士のものはバトルにフレンドを連れていける程度でした。
つまり、一つの目標(コンテンツクリアとリワード獲得)が提示され、その達成に向かって日々積み上げていく(モンスター収集と育成)というシンプルなエンゲージメントデザインがゲーミフィケーションとして、マーケティング分野において「ポイント獲得→ポイント貯める→ポイント利用」というデザインとして実装されてきたのが大部分ではないでしょうか。
(もっともかなりゲーム業界からの視点ですが…)
現状、様々な業界の方と話す機会がありますが、ゲーミフィケーションというと、やはりポイントとリワードの関係性によるエンゲージメントデザインと考えている方が多い印象です。

2015年以降、市場拡大によるスマートフォンゲームの開発予算増大に伴い、エンゲージメントデザインに変容が起きてきます。

ゲームプレイによる体験できる感情的要素(例えば「楽しさ」)がインゲームだけであったものが、アウトゲームにまで及んできています。
パズドラやモンストでいう所持しているモンスターのステータス的価値はそれまで基本的に学校のクラスメイトなどのリアル世界が中心だったのが(当然SNS等で俺TUEEEすることはできますが)、ゲーム内にて他ユーザーに誇示できる「自己承認」的な感情の増幅や、収集欲やアバターのコーディネイトなどにこだわれる自己満足的な感情の増幅(自己承認の要素もある)だったり、ゲームキャラクター(所持キャラ、NPC)との親密度のような数値による交流ができる要素など、アウトゲーム側にユーザーの様々な欲求や感情に応えるものがリッチに体験できるようになってきました。
(以前投稿「七つの大罪のスマホゲーがヤバイ」)


それに加え、フォートナイトや荒野行動がすでに遊びというゲームプレイの場だけではなく、ソーシャルな「居場所」として価値を提供しているというケースもあり、今後の発展分野であることは間違いないと思われます。


なお、これらは2000一桁年代のPCオンラインゲーム黎明期から見られたことでもありますが、ゲーム市場の拡大により、より一般的に近づいてきたという認識です。

2010年代前半におけるマーケティングとゲームの交差によって現れたゲーミフィケーションは、デジタル技術やゲーム市場の発展によるゲームデザインの進化により、シンプルに「楽しい」だけの遊びではなく、様々な「感情」を付加価値として提供できるようになった現在、そしてDXとして新たなユーザー体験が必要となってくる現在において、再度交差によるアップデートできるタイミングになっていると考えています。
とりわけアウトゲーム部分は、ゲームのビジネスモデルに密接に関わっていることから、この新たなゲーミフィケーションについて、私個人として「ゲームビジネス型DX」と勝手に名付けています。

では、ゲームビジネス型DXはどういうものなのかについては、また時間のあるときに触れていこうと思っています。

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