卓球ラケット工場で働く私たちが多摩の森で学んだこと 【#1多摩の森に私たちが行った理由】
こんにちは。バタフライの広報担当です。
バタフライでは2023年6月、主にラケット生産に携わる従業員を対象に東京都の多摩地区で森林エコツアーを開催しました。
この森林エコツアーは社内の各部門別ブランド推進活動*の一環としてラケット生産部の参加者を募り開催され、参加者の満足度もとても高いものだったと聞いております。
今回のシリーズではイベントを中心となって企画したラケット生産部のブランド大使の施 宇哲(し うてつ)さんにお話を伺うべく、ブランド事務局の広報がインタビューをした様子をお届けします。
第1回は「多摩の森に私たちが行った理由」がテーマです。
ぜひ、最後まで読んでいただけたらと思います。
常識からの脱却、常識に疑問を持つ
広報 突然始まっちゃうのもなんなので、施さん、自己紹介をお伺いしてもよろしいでしょうか?
施 はい、ラケット生産部ラケット加工課ブレード加工係の施 宇哲と申します。入社して3年ほどとなり、今はブレード加工と言って、木材や特殊素材が貼り合わされた合板をラケットの形状に加工する工程を担当しています。
広報 ありがとうございます!ラケット生産の中でも材料が重かったり、体力が必要な工程が多いところですよね。合板がラケットの形に劇的に変化していく、とてもダイナミックな加工工程だなと思ってみております。
さっそくですが今回の森林エコツアーを開催するに至った背景についてお聞かせいただけますか?
施 私がブランド大使を務めるブランド活動の取り組みの中で、バタフライが特に大切にする3つ価値観「Wonder」「Humble」「United」の中から、私たちラケット生産部は「Wonder」の活動を2023年1月から始めることになりました。
この「Wonder」の定義が「驚きのある発想と行動」。つまり常識から脱却して、常識に疑いを持って、私たちはどんな社会貢献ができるか、卓球を通じて世界に幸せを届けることができるのか、ということになります。
私が「Wonder」の取り組みを始めて最初に感じたのが、いきなり「前例や常識にとらわれず」と言われても…という部分でした。
当時、ラケット生産の部署に配属されて1年くらい。工場のことも、加工のこともまったく知らないなということ。そして、そもそも自分たちが日ごろ当たり前に使っている木材がどういう風に作られて、生まれてきたかが分からないままだなと感じたんです。
業界では、製材や伐採のことを常識的に知っているように扱われますが、中にはその常識がないまま働いている人もたくさんいるということに気づきました。
当たり前の「対義語」は何だろう?
広報 確かに、「どうやってできているか」という部分を知らないままに使っていることは多いかもしれませんね。
施 私も今の部署に配属されてから、ひたすら前任者の経験を見て、「これは良品だ・不良品だ」という感覚をインストールしてきました。ですが、「この構造はどういう風にできたのか」「なぜこれを質が高いと言えるのか」について、業界内の常識だけでなく、メーカーとしてきちんと説明ができることが大事なのではと改めて感じました。
会社から「Wonder」という目標をもらったことで、「前例や常識にとらわれず」を実行するためには、まず前例と常識が分かっていないと何も始まらないなと思ったことが、この企画のスタートになります。
広報 そこから今回のイベントを思いついたんですか?
施 常識は「当たり前」という意味だけど、その対義語は何だと思う?と同僚から聞かれたんです。
広報 日本語を母国語とする人にとっても少し難しい問いかけですね(笑)施さんも苦戦したんじゃないでしょうか。
施 確かに難しいですよね(笑)そこで、私も当たり前の対義語が「ありがたい」ということを知りました。
今回の「Wonder」は、当たり前にとらわれない活動がメインになりますが、当たり前の対義語である「ありがたい(ありがたみ)」って何だろうと考えました。そこで、私たちが日々使わせていただいている「木材のありがたみ」を知ることが対義語になると位置づけました。
「オリジナル森林エコツアー」に込めた思い
広報 具体的にどういう行動からはじめましたか?
施 最初は取引先の木材関係の方が、「森林を知りましょう」という活動をされていることを知ったので、人数が集まればバタフライだけのオリジナルの森林エコツアーが開催できるのかなど、直接お話を伺いに行きました。そこで、バタフライの社員用にアレンジした「オリジナルの森林エコツアー」を開催していただけることになったんです。
広報 「バタフライオリジナル森林エコツアー」として、どのような部分にこだわりましたか?
施 製材工程にも興味があるし、見に行きたいという気持ちはありましたが、今回は参加者が実際に森で木材を見て、選木や伐採をする意味を知ることが大切だと思いました。それは、私たちが当たり前のこととして受け取っている木材。そのありがたみを知るためには、背景にあるものを私たちがしっかりと理解しておくことが必要だと感じたからです。
どういう風に木は植えられて、どうやって育てられて、伐採できるようになるまでどれくらいの年月がかかって、伐採する木は何をポイントに選んでいるのか、そして最後に原木市場に行って木1本の価値を知る。
私たちのもとに日々届く木材が、どういう風に生まれてきたか分かるコースになるようにお願いをしました。
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私たちが多摩の森に行った理由
そのスタートには、私たちが大切にしている3つの価値観の1つ「Wonder」=常識からの脱却がありました。
常識から脱却するためには、常識を知るところからはじめる。
その方法の1つとして、日々私たちの手元に「当たり前」に届く木材の「ありがたみを知ること」が大切と施さんは話します。
インタビューを通して見えてきたのは、「幸せを届ける技術があっても、幸せの裏にある苦労を知らなければ、本当の幸せにはたどり着けない」という施さんの思いでした。
次回は実際に森林エコツアーに参加して、何を感じたのか。
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