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「ひきだし」の灯油感

ひき‐だし【引出・抽出・抽斗】〔名〕
1 引いて出すこと。
2 机、箪笥(たんす)などに取りつけて手前に抜き差しのできるように作った箱。〔俳諧・毛吹草(1638)〕
*浄瑠璃・卯月の潤色(1707頃)下「重ね箪笥の引出しの一重足らぬ如くにて」
3 預金、貯金などを預け先から出すこと。
*銀行小言(1885)〈富田鉄之助〉下「上海引出しの為替手形を〈略〉販売したる時は」
引用:https://www.weblio.jp/content/%E6%8A%BD%E6%96%97

抽斗

ひ、ひきだし。

これで「ひきだし」って読むらしい。

抽出する、斗(四角います、容器)で、抽斗か。そう考えると意味もしっくりくる。けれども、抽も、斗も、なんだか頻出漢字でないこともあって、ひきだし感かもしでてなくないですかね。

斗からは「一斗缶」、抽からはなんだか「油」であったり、このポンプがイメージされて、抽斗=灯油的な何かが想起されるんですよね。ひきだし感がない。

語彙力の足りなさからくる感性の欠如。

auの「povoってネーミングみた時になんか似たようなこと思ったな。英語だと、povoからはpoverty=貧困が想起されるから、格安プランでこのネーミングセンスは感性に欠くと。日本で使うサービス名だからいいんじゃないって意見もあるんだろうけれど、これだけ大きな企業で多くの人の目に触れるサービスであれば、気にかけておいてしかるべき観点な気がする。少なくとも決裁権者に少しでもその辺の感性がある人がいれば、採択されない選択肢だったんだろうな、と。

「カルピス」=cow piss(牛の小便)に聞こえるってのは1919年に発売されたくらい昔であれば、時代の違いでまあそこまで考えていないのが通例だったのかな。ちなみに語源は「カルシウム」と「サルピス(サンスクリット語で最上の味)」にあるらしい。

ポカリスエット(pocari sweat)も英語だと汗だし、飲み物にはそぐわないみたいな日本語と英語との言語感覚の違いがあるとよく聞くけれど、これも1980年発売で、時代的にもまだまだその辺の考慮が浅かったのかもしれませんね。

語感と感性と時代って密接に絡み合うなと抽斗にしまった次第です。

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