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判例でよく見る「奇貨」として

民法第177条関連の判例やら,資格試験の問題なんかでよく目にする「奇貨」。「(対抗力)登記がないことを奇貨として」という言いまわしで,「登記がないことを良い機会として悪用して」という感じの意味で使われる。

民法第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。 不動産についての物権の得喪変更は、その登記を具備しなければ、当該登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に対抗することができない。
判例要旨
土地の買受人が,地上に自己の親族が珍弱人として建物を所有し営業していることを知って,賃借権付評価額以下の価格で右土地を取得しながら,右賃借権の対抗力の欠如を奇貨として,賃借人の営業上多大な損失を意に介せず,賃借人に対して建物収去土地明渡を請求するときは,当該請求は権利の濫用として許されない。
引用:
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=61966

使いやすくて便利な言い回しで,
○○を奇貨として□□を行う。
なんて表現をついつい使いたくなってしまうけど,ちょっと鼻につく感が出てしまうので,TPOには気を付けたい。

奇貨の語源は以下。

奇貨居くべし
珍奇なものは、目下の用はなくとも、他日を期して手元に置いておくのがよいとの意。中国、戦国時代の秦(しん)の丞相(じょうしょう)(大臣)呂不韋(りょふい)が、若年にして商売に従事していたとき、秦の太子安国君の子の子楚(しそ)が趙(ちょう)の国の人質となり冷遇されているのをみて、子楚を商品に見立てていったことば。『史記』「呂不韋伝」が伝える故事。呂不韋は子楚に近づいて金銭と美姫(びき)を献上し、のち秦に帰って荘襄(しょうじょう)王となった子楚により丞相に取り立てられ、権勢を振るった。後世、これが転じて、「好機逸すべからず」の意にも用いられる。
出典 小学館 日本大百科全書
https://kotobank.jp/word/%E5%A5%87%E8%B2%A8%E5%B1%85%E3%81%8F%E3%81%B9%E3%81%97

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「欠缺/けんけつ」って漢字,あまり目にしないですね。

欠缺(けんけつ)
主に法令や法学において、ある要素が欠けていることを表す際に用いられる言葉である(意思の欠缺、意思能力の欠缺、登記の欠缺、訴訟条件の欠缺など)。
引用:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AC%A0%E7%BC%BA

行政書士試験平成21年問題問46に出てた。

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