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ブラックコーヒーを飲んでいたら「かっこつけてんの?」って問われた時
「え、ブラックとか苦いやん。かっこつけてんの?」
コーヒー飲んでるって大人だなぁって思うてたのが小学校低学年の時。おそらく父親が飲んでたんだと思う。朝はインスタントコーヒー、ドライブのときには缶コーヒー。少し飲ませてもらった苦み。あんなのを好んで飲むなんて、その頃の自分には到底考えられないことであった。
コーヒー牛乳という名の違和感は、幼心ながら十分な甘さで、なんだかこれは大人の飲んでいるそれではないのだろうと認識させた。甘ったるくておいしい。その延長線上にあるUCCのミルクコーヒーは、甘さの中にほのかに感じられた苦さが異物であった。
高学年から中学生に入るころに背伸びして押したボタンはジョージアのエメラルドマウンテン。
これなら飲める!
苦味に甘い汁を混入させたような、コーヒー然とした飲み物であったけれど、大人の象徴に一歩踏み入れた感がとても嬉しかった。
とは言え、お金を払うなら、ジュースの方がよかった。アンバサの方がよかった。
今では全く手を出さなくなったけれど、高校に入ってからはKirinのSupli、ビタミンウォーターとか、燃焼系アミノ式のなんちゃらとか、某スポーツドリンク系だとかを飲んでいた。そういうのって、なんか体に良さそうって、ほぼほぼ砂糖の甘い汁をありがたく感じて。ニキビや肌荒れを気にしてのことだったと思う。打ち出された成分の印象を妄信しながら、マーケティングのトラップ的なものに刈り取られていた様が思い出される。
なんかかっこわるいなぁ。
甘い汁はかっこ悪い。苦い汁はかっこ良い。
思春期の感受性はガラスである。
苦い汁へのあこがれから、少しシフトして、甘い汁を好んでいた自身に格好の悪さを感じるようになったのが10代中盤から後半にかけて。少しずつ少しずつ、背伸びをして缶コーヒーばかりを買うようになった。微糖、無糖のミルクとを試すようになり、喫茶店ではコーラやオレンジジュースではなくコーヒーに背伸びして。苦味への味蕾が開花するころ、エメラルドマウンテンはかっこ悪くなっていた。
ブラックで。
もはや砂糖を入れるとまずいと感じるまでに仕上がったのは20代中盤くらいだっただろうか。コーヒーと言えばブラックで。コク、苦味、酸味、その他のフレーバーと、ブラックでも楽しみ方が異なると知り、さらに好きになるコーヒーの深み。
もはやブラックコーヒー以外を頼むことがほとんどないよね。
ってまあでも、かっこつけてるの?って言われたらそうかもしれんね、出発点は。って思考を巡りながら「そうかも」ってひと言。
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