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ペペロッソの土鍋ミモザケーキ

「3月 集まる広場」

当日は、混み合うギャラリーの中で、拝見したことのあるお顔 トラットリア「ぺぺロッソ」の総料理長である今井和正氏(Foodion記事参照)が!自らギャラリーで選んでくださるという驚き。そしてお客様とお話しされながら土鍋を選ばれている姿は、私の理想とするメタファー「土鍋は広場」の中にあり。今回は感染症防止のため限定8人という枠の中であっても、ああピッコラ イターリアみたいだなあと。(今回は8名限定という条件でしたが)


「3月 吹く風」

どうしても食いしん坊の虫が収まらず、池ノ上のトラットリア「ぺぺロッソ」訪問。駅から1分の場所にある路面店。店構えからしてワクワクする。商店街に面したガラス窓が魅力的で、このご時世は窓を開けた換気など最高なシチュエーションだ。


風通しの良さは、店内のみならず、料理に携わるスタッフの立ち居振る舞いや和やかさにも。こういう空気って、絶品料理を何十倍もおいしくさせ、食べ始めたとたん、また来よう!と、確信する。



「3月 馳せる想い」

前菜から唸りつづけるお料理。サービスをしていただくマネージャでありチーフソムリエである藤本智氏の説明は大変興味深いものばかり。美味にノックアウトされ、這い上がってフォークとナイフを持ち、またグラスの首をつまみ直すというくらい。

パンは、タイムリーなことに、近ごろ個人的に再燃している米麹と酵母を使ったプレーンタイプと、蕎麦粉を使ったパン。北イタリアにも蕎麦粉の料理がある。サラセン人の麦と呼ばれる蕎麦粉は、16世紀にサラセン(アラブ)から渡ってきたもので、小麦が育ちにくかった寒冷地では、蕎麦粉やとうもろこし粉を代わりに育てたと、ミラノの師匠から聞いた。パンに使った麹は、紅鱒をマリネにしたり、食事の途中には麹モクテルが出てきたり。

各料理に合わせたぶどう酒をソムリエにお願いしたが、こちらのラインナップもお見事で、書けばきりがない。



パスタはトスカーナのpici(ピチ/うどんのような太麺パスタ)と、カラブリア内に点在するアルブレーシュの村でつくられるstranguylet(ストラングゥイエ/カヴァテッリというパスタ)。ミラノ修行時代の前に住んでいたトスカーナと、親類のようなイタリア人家族が住むカラブリアのパスタ。この1年、足を運べず会えなかった人々がチャオ!と、土鍋の中から煙とともに現れたような気が一瞬して。この粋なメニュに感動。

カラブリアには、血族をバルカン半島に持つarbëreshe(アルブレーシュ/アルバニア人)が住む自治体がいくつかあり、独特の言葉や文化が今もなお存続されている。カラブリアの家族が、その村に連れて行ってくれて、文化を目の当たりに見せてくれたので感慨深い。この土鍋の中のパスタは、彼らの郷土料理 stranguylet(ストラングゥイエ/カヴァテッリというパスタ)であり、羊肉とペペローニ(甘い唐辛子)のソースを絡めた逸品。羊肉を燻したような香りづけを独特な方法で演出くださったために、土鍋の蓋を開けたら煙が立ち上がったのだ。感動。


「3月のケーキ」

国際女性デーにちなんだドルチェは「トルタ ミモザ」。


料理のあとは、料理長の粋な計らいで、特別に土鍋コッチョリーノに入れてくださったドルチェが運ばれてきた。きたる8日の International Woman's Day(国際女性デー)に合わせたミモザのケーキ。イタリアでは、この日に街を歩いていると、誰ともなく Auguri!(おめでとう)とミモザの枝を差し出してくれ、いい気分になったものだ。期間限定(6〜8日)ミモザのケーキやカクテルも。衛生管理バッチリなので、少人数で店内のお食事も可能。テイクアウトやデリバリーもできるのでうれしい。

そうそう余談だが、時にものすごく魅力的なお皿が登場するので「ステキですね!」と言うと、なんと今井料理長メイドだとおっしゃる。なんと!中身も器もおつくりになる方がコッチョリーノを!「土鍋コッチョリーノが見たいな」と言ったら、もしかしたらお店のどこかに隠れているかもしれないので、お店でごちそうを堪能しながら、こっそり聞いてみてくださいね。

ぺぺロッソで、東京の春と、イタリアの春を楽しまれては。テイクアウトも充実しており、自粛の厳しい期間も大人気であった理由を実感。

SNSではおいしいお皿の数々が見られますよ!
▶︎Instagram ぺぺロッソ公式
▶︎プリモ クオーコ
▶︎プリモ ソムリエ


WEBLOG tamamiazuma.comよりnote用にリライトしました


あとがきコッチョリーノ

▶︎個展からあっという間に1ヶ月が経過。開催後もオンライン受注の準備や、お問い合わせの数々で、ありがたくも慌ただしい時間を過ごし。予約抽選やオンライン受注で「希望が叶わなかった」と、肩を落としたメッセージもたくさんいただきました。▶︎様々な対策の結果と、できるだけ多くの人に作品を手に取っていただけるよう、平らな方法を試みたものの、なかなかどうして申し訳ないかぎりです。▶︎さて、そんな難関をぬってお会いできた幾名かの料理人たちがご当選者の中に。今回の記事はその中のお一人のお店のことを。翻って多くのお店や料理人の方々が残念だった、次回は!と言ってくださり大きな励みです。▶︎なかなか展覧会の後日談が書けずにいます。ゆっくりマイペースで参ります。(コッチョリーノ 我妻珠美)


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