齊藤珠美

食べること読むこと書くことが好きな人。大分県生まれ。福岡在住。食品メーカー内で、パッケ…

齊藤珠美

食べること読むこと書くことが好きな人。大分県生まれ。福岡在住。食品メーカー内で、パッケージやカタログをつくるクリエイティブ部門に所属。コピーライティング・編集・クリエイティブディレクションに長年携わり、近年はブランドビジョン等にも領域を広げています。文化人類学の研究生始めました。

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居心地のよい場所から、目的地を定めず歩きだすことー初フィールドワークー

自分にとって居心地の良い場所から、一歩出てみる。 今回参加した糸島のフィールドワークを通じて、一番印象に残ったのは、メッシュワーク比嘉さんのこの言葉だった。 フ…

齊藤珠美
1か月前
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自然と一体となって生きるのは、もやは失われた幸福なのか[書評]夏の朝の成層圏(池澤夏樹)

(2018.3.13) わたしがもっとも好きな作家、池澤夏樹氏、39歳のときのデビュー作です。ずいぶんとひさしぶりに読み返して、あらためて紹介したくなりました。30年前の著…

齊藤珠美
2年前
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川上未映子新訳『たけくらべ』〜恋する者の鈍さと、される者の無関心

池澤夏樹さん個人編集の『日本文学全集』もついに3冊目に。 ※名作なので今さら過ぎる感じもありますが、ちょっとネタバレしています。 川上未映子氏による、樋口一葉…

齊藤珠美
2年前
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居心地のよい場所から、目的地を定めず歩きだすことー初フィールドワークー

居心地のよい場所から、目的地を定めず歩きだすことー初フィールドワークー

自分にとって居心地の良い場所から、一歩出てみる。
今回参加した糸島のフィールドワークを通じて、一番印象に残ったのは、メッシュワーク比嘉さんのこの言葉だった。

フィールドワークという場に参加しながら、じつは私は人と話すのがけして得意ではない。どこかしら「何か間違っているのでは」という漠然とした心地悪さをポケットに忍ばせて話している。そんな私がなぜか文化人類学という、人と大いに関わる学問に興味を持っ

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自然と一体となって生きるのは、もやは失われた幸福なのか[書評]夏の朝の成層圏(池澤夏樹)



(2018.3.13)

わたしがもっとも好きな作家、池澤夏樹氏、39歳のときのデビュー作です。ずいぶんとひさしぶりに読み返して、あらためて紹介したくなりました。30年前の著書ですが、まったく古さはありません。現代社会への深い内省が、みずみずしい自然描写とともに綴られています。むしろ、地方への移住や「ローカル」が若者たちの間でも見直されている今、あらためて読むと、池澤さんはこの流れを予見してい

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川上未映子新訳『たけくらべ』〜恋する者の鈍さと、される者の無関心



池澤夏樹さん個人編集の『日本文学全集』もついに3冊目に。
※名作なので今さら過ぎる感じもありますが、ちょっとネタバレしています。

川上未映子氏による、樋口一葉『たけくらべ』の現代口語訳です。江戸情緒を残しながら明治へと移り変わる影絵のような花街。雨がしとしとふる路地に落ちた、ぽつりと1点だけにじむ鼻緒の紅の色。一葉のすばらしい色彩感覚を、まるで絵画のように味わえる名作です。

川上未映子さん

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