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自然と一体となって生きるのは、もやは失われた幸福なのか[書評]夏の朝の成層圏(池澤夏樹)
(2018.3.13)
わたしがもっとも好きな作家、池澤夏樹氏、39歳のときのデビュー作です。ずいぶんとひさしぶりに読み返して、あらためて紹介したくなりました。30年前の著書ですが、まったく古さはありません。現代社会への深い内省が、みずみずしい自然描写とともに綴られています。むしろ、地方への移住や「ローカル」が若者たちの間でも見直されている今、あらためて読むと、池澤さんはこの流れを予見してい
川上未映子新訳『たけくらべ』〜恋する者の鈍さと、される者の無関心
池澤夏樹さん個人編集の『日本文学全集』もついに3冊目に。
※名作なので今さら過ぎる感じもありますが、ちょっとネタバレしています。
川上未映子氏による、樋口一葉『たけくらべ』の現代口語訳です。江戸情緒を残しながら明治へと移り変わる影絵のような花街。雨がしとしとふる路地に落ちた、ぽつりと1点だけにじむ鼻緒の紅の色。一葉のすばらしい色彩感覚を、まるで絵画のように味わえる名作です。
川上未映子さん