高校初登校へ向けて

長男はこの春通信制高校に入学し、先月までの3ヶ月間はネットコースに在籍していた。ネットコースは基本的には継続的に通学する必要がなく、ネットで配信される講義を視聴し、確認テストを受け、決められた期日までにレポートを提出するというのが主なサイクルだった。必修科目以外にも自分の興味のある講義を視聴していたようだった。

3月に中学を卒業し、晴れて学校に通わなくても良くなった。「本当は通わなくてはいけない」ことと、「本当に通わなくて良い」こととの間には本人にとっても私にとっても大きな違いがあった。

4月と5月はサッカー観戦三昧の日々を送っていた。ネットコースのカリキュラムもあまりタイトではなかったので、ひたすらJリーグ観戦を楽しんでいた。「本当に通わなくて良い」日々の中でのサッカー観戦は、かつてのように心の逃げ場ではなく心底楽しめる対象となった。

しかし6月になるとJリーグの試合は激減した。加えてW杯開幕。外には出ず、昼夜逆転気味の生活になりつつあった。世間から取り残されているような不安と焦り、青春時代の貴重な時間とエネルギーをうまく使いこなせていないもったいなさを私は感じるようになり、本人はさすがに退屈さを感じるようになっていった。

落ち着いたら週1日の通学コースに切り替えてみようかと前々から本人と話していたので、ちょうどいい時期だった。7月入学に向けて通学コースの願書を提出し、面接を受けに行くこととなった。初めてこの高校のキャンパスに足を運んだ時のことを思い出した。

中3の夏には他のみんなと同じように地元の公立高校の説明会に参加していた。秋には若干不安を抱えながら私立高校の体験入学や説明会にも参加した。馴染めそうではあったのだが、週に5日間きちんと通い続けられるイメージがわかなかった。

冬が近付き、塾の先生に通信制高校を勧めていただいた。塾の先生は、既存の枠にはまらない長男に大きな可能性とエネルギーを感じて下さっていた。この子は5年に一度出会えるかどうかの存在だと表現して下さった。通信制高校に進んで自由な時間も手に入れて、将来に向けての準備をして起業でもしてみろ、だからポジティブに通信制高校を選択してみろ、と熱く語って下さった。

それならばと2人であちこちの通信制高校の説明会に通った。どこもそれぞれ長所があったのだがピンとくるまではいかず、最後にたどり着いたのがこの高校だった。担当者の方の熱い語り口に私は涙した。学校に通うのが難しいからと言ってダメな子ではないこと、たくさんの可能性を秘めていること、その可能性を伸ばしていきたいこと、これからの時代にはあるスキルに秀でた人材が必要になってくるということ…、そういったことを熱く熱く語って下さった。

自信をなくしかけていた私は、塾の先生と高校の担当者の方の言葉に救われた。私だけではなく本人も同じだったと思う。自信を持つこと、それは自分1人でもがくだけではなかなか難しい。生き方や考え方を認めてくれる人、支えてくれる人の言葉や気持ちがあってこそだ。

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このような経緯があり、長男は無事に週1日通学コースに入学した。初登校日は2018年7月2日だった。

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