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  • 食とアニミズム スピンオフ

    食とアニミズム(http://food-animism.com)のスピンオフをnoteで執筆中

最近の記事

肉に横たわるマリアナ海溝より深い深い深い深い深い溝

グルメ思考の強い60代先日、とある有名料理雑誌社での出来事。ご意見番と見られる60代くらいの男性より「先日、鹿を解体されたそうですね。で、その鹿はどうやって食べたんですか?」と、ちょっと上品な雰囲気で問われた。僕は「ソースで食べましたよ」と即答したところ、「はっはっは、それは残念だなぁ!」と一笑に付されたのだった。そのことについて、僕は特段カチンとも来ず、なんだろうこの空気はモヤモヤ・・・、と思ってその場は何も言わずに済ませてしまったのだが、あれはつまり彼にとってみると「

    • 正月に帰る場所はつくれる

      2020年という一年の状況によって、自転車圏内の人間関係が急激に増え、吉祥寺という町にしょっちゅう行くようになった。その吉祥寺で、先日の「鹿を捌いて食べる」でもお世話になった谷口さん森澤 さん夫妻と、参加するそれぞれの郷土料理かお正月料理を持ち寄る、もしくはその場でつくる試みをしてみよう、という実験を少人数で開催。 僕が、食とアニミズムを書き始めてもうすぐ一年、こんなことを書き始めた一番直接的に大きな動機は、子供の頃のお正月体験にあったと思う。うちは12月31日に父方の

      • AppleSiliconがもたらした「王様のパソコン」

        2020年も秋を過ぎて11月、Appleが自社製CPU&GPU「M1」を発表。様子見を決め込むべきか否かと一瞬迷ったものの、これは大変な変化が起こったことに気がつき、即座に購入ボタンを押下、そして手持ちのintelCPU版Mac2台を即座にメルカリにリリース。なにが起こったのかというと、散らかった机の上を大規模に大掃除&シンプル化する一大チャンスが訪れたのである。 20年前のThinkPad版 王様のパソコン遡ること今から20年前、Richard Sapperデザインの黒く

        • 現代の風水士

          現代の風水士 高田 宏臣 さんは道なき藪をナタとノコギリで突き進んでゆく。えっ?そこ、道ないんですけど・・・獣道すらないですけど・・・。っていう所を、竹と青木で埋もれている水源を医者のように切り拓いて行く。ぼうぼうの藪の中で、風がどこから流れてくるか、水がどこを流れて行くかが見えるんだという。そしてその結果としてフィールドに蚊がいなくなったり、涼しい風の吹く環境へと変化する。 「藪は際の木を立たせるように切ることが大事」だから、「際立たせる」という日本語がある。のだと言って

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        • 食とアニミズム スピンオフ
          2本

        記事

          コクリコ坂に潜む昭和30年代の野獣

          ここ二週間夏休み恒例の金曜ロードショーで「となりのトトロ」と「コクリコ坂から」がやっていて、改めてこの二つを立て続けに見ると、よくもまあ、という細かいとこまで、どちらにも共通する昭和30年代という時代のドロ臭い『生々しさ』がジブリバイアスと共に綿密に組み込まれている。特に「コクリコ坂から」は時代背景のくみ取りに相当な基礎知識を要求する為、戦後の時代背景についての基礎知識筋肉量が不足している場合、トトロやネコバスのような特段見栄えのするキャラクターが出てくるわけでもないので、見

          コクリコ坂に潜む昭和30年代の野獣

          コロナファシズムと生々しさ

          1945年の戦争が終わったときに、僕はそのとき生まれていないので、ありとあらゆる情報からの追体験でしかないけれど、人々は『生々しく』生きていたんだと思う。戦後10年くらいは、いろんなところに『生々しさ』があった。それはもう沢山の起業伝説から、当時の「暮らしの手帖」に書かれている文章ひとつひとつをとっても、生きることへの執念が滲み出ていて、日々『生々しさ』が偏在していたんだろう。 その後の戦後社会をつくってきた人達は、そのときの『生々しい』苦労、食べものが無いとか、誰々が死ん

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