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【フランス国内巡礼路②】パパはフランス語×お嫁ちゃんはオランダ語 マダム・ステラの茶色い家 〈後編〉 

このお話はマダム・ステラの茶色い家〈前編〉からの続き。
1泊目の翌朝、朝ごはんは、私とマダム・ステラとムッシュ・レイノルドの3人なので、もっと突っ込んだ話。

ステラはフランス人として生まれたけれど、結婚でオランダに行ってそのとき生まれた息子たちのダンとジョエルはオランダ生まれだからオランダ語とフランス語話者。いまの夫のレイノルドは8年前に再婚した。

ステラはフランス語の教師、というより、オランダで英語とフランス語を教える人だったそうです。今は、オランダ生まれの息子たちがそれぞれの居住地からバカンスで帰省中。レイノルドは元警察官で制服姿の写真を見せてくれました。庭にエスカルゴを大量に育てるのも好き、ステラはエスカルゴは「ちょっと嫌」って顔になっていました。朝ごはんに出てくるジャムもレイノルドお手製。パテ、ソーセージなども作るらしい。

マダムが貸してくれたフランス語テキスト。夕ご飯まで自習。


レイノルドはフランス語のみ話者で、ステラは私との英語での会話をできるだけレイノルドに伝えてくれます。私の話を喜んできいてくれるレイノルド。3人の会話が成り立つに気を配ってくれます。自然なことのように思いますが、オランダで育った男の子2人が帰ってきやすい家をフランス人の新しい夫と作り、民泊で他人も受け入れる懐の深さに私もちょっと甘えたくなる気持ちになりました。

この日はあいにくの天気で、雨もパラパラ、晴れ間をみつけて家を出ました。この日は連泊だから巡礼はお休みです。この家から20分ほど歩くと地図では「お城」となっている場所があったので行ってみたらなかなかの廃屋。
こういうものを丁寧に修理して売ったり、買ったりする商売が成り立っているようです。

広い敷地を囲む石塀は一部が崩れて蔓が絡まっています。
奥の方に売り出し中の「お城」が見えます。中の果樹園は手入れを継続しているようでした。

そんなのを眺めながら刈り取りの終わった畑の中の一本道を歩きます。リュックがないと身軽です。あっちが大西洋。海からの風で木はみな同じ方向に斜めに生えています。畑のずーっと向こうに風力発電の風車が並んでいます。目に入るものはそれだけ。ずいぶん遠くまできたなあと思うのはこんな時でした。

遠く発電用の風車が見える。(見えないと思うけど、ある)その向こうは大西洋。
風が吹かれ続けた木々が傾いて育っている。

2日目の晩ごはんは、またムッシュ・レイノルドお手製のパテとピクルスからスタート。パテはイノシシとヤギで、イノシシはレイノルドが仕留めたとのことです。次もお手製極太ソーセージ。チーズ風味とハーブ風味の2種類。2皿目は白い豆の煮もの、これも大量。デザートは翌日が誕生日のダンの奥さんのアンナの好きな濃厚チョコプリン。全部手作りです。

自家製のチョコプリンでお誕生日のお祝い。

アンナは、オランダでプロのジャズピアニストだそうで、Spotifyで音源が聞けました。Spotifyの紹介文を訳してみると、とてもすぐれたミュージシャンだと書いてありました。アンナは「まだフランス語は練習中なのよ」(英語)と笑う。

えええ?フランス語でしゃべってなかったの。オランダ語だったの?

気をつけて聞いていると、たまに「あの言葉ってフランス語だとなんだっけ?」とダンやジョエルに聞いています(オランダ語で)。ということで、パパのレイノルドとお嫁さんにあたるアンナは、直接の会話ができていないようですが、それを気にする人もいない。

2日目、旅立つ日の朝ごはんはステラがクロワッサンを温めてくれました。これからもフランス語の練習してね。8月はビジネスで泊めるのはあなたが最後。今日からは息子たちと親戚の結婚式の打ち合わせなの。元気に歩いてね、と送り出してくれました。

息子たちが帰省して家族タイムなのに、4月に予約した私との約束を守ってくれてありがとう。オランダとフランスと二つの文化が混ざりあいをステラの包容力が包み込む「茶色の家」でした。フランスではこんな民泊にも泊まりながらサンティアゴ・デ・コンポステラへ歩き続けました。

第1巻 表紙 イメージ動画にリンクしています

私のこの電子書籍ではフランス巡礼路での巡礼者の家への予約の方法、宿泊の段取りを紹介しています。

この旅のもようは私のインスタグラムでの紹介しています。


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