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腕振りのタイミングをバッチリ合わせる(ランニングフォーム改善)

今回は、腕振りシリーズで、ランニングフォーム改善シリーズでもあります。市民ランナーの多くができていない事で、修正もそれほど難しくなく、さらにランニングエコノミー改善の効果も高い、コスパの良いドリルなので、是非やってもらいたいな、と思います。

イメージで太鼓を叩くドリル

学校の音楽の授業で小太鼓を叩いた事はありませんか? 太鼓なら何でも良いんですが、小太鼓が特にイメージに合います。
さて、目の前に小太鼓があるのをイメージして下さい。そして両手にイメージのバチを持って、片方ずつ交互に振り下ろして、イメージの中で太鼓をドンドンと叩いてみましょう。(音が鳴るのはイメージの中だけですが、両手は実際に振り下ろして下さい。)
次に、その場で足踏みをします。そして足踏みに合わせて、先程の「イメージの太鼓叩き」をやるのです。足を踏むのに合わせて太鼓を叩く。この時、右足を踏む時は左手で太鼓を叩き、左足を踏む時は右手で太鼓を叩きます。そして、足音と「イメージの太鼓」の音が鳴るタイミングを合わせます。
これは何をやっているかと言うと、太鼓を叩く手を振り下ろす動きが腕振りと同じなので、腕振りと足踏みの着地のタイミングを合わせる練習をしているのです。
やってみると分かりますが、これ、ぼぉっとしてやるとタイミングが合わない、手の方が少し遅れるんです。ちゃんと意識して合わさないと、腕振りと着地のタイミングって合ってないんです。でも、「イメージの太鼓」を鳴らしてあげると、足音と太鼓の音がズレているのが分かりますので、意識すれば、それを合わせて腕を振り下ろすタイミングを早める事ができます。
これが、腕振りのタイミングを合わせるドリルになります。これに慣れれば、走っている時も、腕振りに合わせて「イメージの太鼓」を鳴らす事が出来て、足音とのズレを修正して腕振りのタイミングを合わせる事が出来るようになります。
(多分、走っている時の方が、その場での足踏みの時より腕と足のズレが大きいと思います。修正しがいがありますよ。)

腕振りのタイミングを合わせる意味

多くの市民ランナーが腕振りと足のタイミングが合っていない、と言いましたが、腕振りのタイミングを合わせるのに、どんな意味があるのでしょうか?

腕振りのタイミングを物理的に考える

腕振りは、大雑把に捉えるなら、腕の重心が肩を支点に振り子運動をしています。(肩甲骨が動いたりとか、色々と複雑な動きもあるのですが、大きく捉えての話です。)
腕振りのタイミングが合っているとは、重心の振り子が胴体に真横を通過する時、その時に重心が一番低くなっていますが、そのタイミングと、パワーポジションのタイミングが一致している事です。
パワーポジションとは、身体の重心が最も低く沈み込んでいる瞬間の事でした。

その瞬間に腕の重心も一番低くなっていれば、腕振りのタイミングが合っていると言えると思います。
足音がするのはパワーポジションより手前の着地した瞬間です。そして、イメージの太鼓も、腕がまだ前にある、腕の重心がまだ真横になる手前で鳴ると思いますので、足音とイメージの太鼓の音が合っていれば、パワーポジションと腕の重心が最も低くタイミングもだいたい一致すると思います。(プロレベルだと、もっと精密にタイミングを合わせる必要があるかもしれませんが、市民ランナーならこれで充分でしょう。)

腕振りのタイミングを合わせる利得

では、腕振りのタイミングを合わせる事で、どういう利得があるのでしょうか? それは2つあります。
1つ目は、腕振りは身体のバランスを取る為に行う、というのに関係します。
前に書いた通り、身体の右側または左側にある足で着地するので、着地の衝撃で左右のバランスが崩れます。
その時に、反対側の腕を下に振り下ろす事で左右のバランスを保っているのです。
多くの市民ランナーは腕振りが遅れていると書きましたが、その場合、着地の衝撃で崩れそうになったバランスを遅れて振り下ろした反対側の腕振りで押さえつける形になっているのでしょう。でも、この崩れそうになるわずかなロスが、長い距離を走る上では積み重なって大きくなると思います。
2つ目は、パワーポジションと腕振りのタイミングが合う事で、全身のバネを効率よく使える事です。

パワーポジションと腕の重心が最も低いタイミングが合っていれば、背骨のたわみがバネとして使えます。これは、(上の稿で紹介した)棒ジャンプをやってみれば、その重要性が分かると思います。
つまり、腕振りのタイミングが合っていなかったなら、上半身のバネが使えず、足の力だけでジャンプし続ける事になります。その分、足を使ってしまう訳ですね。

という事で、非常に利得も多いドリルですので、是非ともやってみてください。
(あと、体幹の動かし方を身に付けたり、パワーポジションでの接地位置を改善したりすると、相乗効果があります。そちらも併せて練習してみてください。)

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