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パワーポジションでの接地位置改善ドリル(ランニング理論入門)

これまでパワーポジションの重要性について、いくつか記事を書いてきました。

それで、パワーポジションでの重心と接地位置の関係が大事だ、という事を何度も強調してきました。
では、それを改善するトレーニング方法はあるのでしょうか。

単純な方法として、「厚底シューズで走る」というのはあります。ただ、厚底シューズは、前に重心移動の稿で紹介したメタライドのように、それで走ると勝手に修正されるという類ものではありません。接地位置が合ってないとバネが働かない事で、接地位置をチェックできるという性質のものなので、直接的に接地位置を改善できるものではないのです。
では、どうすれば良いか。それは地道なドリルによって改善していくしかありません。

接地位置改善ドリルPart 1:踏みつけ

空き缶を踏み潰した事はありますか。大抵の人は、空き缶を踏み潰す場合、横向きに転がせるように置いた空き缶を踏み潰していると思います。でも、一部のやんちゃな子供とかだと、空き缶を縦の置いて上からペシャンと踏み潰していたりします。この時、ちょうど真上から真っ直ぐ踏みつけてやらないとキレイに潰れません。また、力任せというより、体重を上手くかけてあげないと潰れてくれないんです。
これがちょうど、設置位置と重心が真っ直ぐ真上 / 真下になっている時と言えます。この状態を身体に覚え込ませれば、接地位置の改善になります。

といっても、空き缶だと、上手く踏み潰せなかった時に足首を挫いたりしかねません。とても危険なので、空き缶ではなく紙コップを使います。百均で50個入りとかで売ってるもので十分です。それくらいの値段なら遠慮なくいっぱい練習できますね。
(紙コップを使うのは、為末さんのところの大西コーチのアイデアです。その時の記事はネットで見つからないですが。)

まずは身体の真下に置いて

まず、紙コップを身体の真下に逆向きに置いて、上から踏み潰してください。その時に、

  • ちゃんと真上から真下へ踏み潰す

  • 力で踏むのではなく体重をかける

というのを意識してみましょう。真上から踏み潰せれば、コップはきれいに円形に潰れますが、ズレていると歪んだ形で潰れます。また、本当に真上から踏む事ができれば、大きな気持ちの良い音がなるそうです。

身体の半歩前にコップを置いて

次に、身体の半歩前にコップを置いて、それを真上から踏み潰してみましょう。ちょうど真上から体重をかけて踏み潰すには、胴体から上をまっすぐに立てたまま腰を半歩前のコップの上にもっていって、真下に踏み潰す必要があります。
実際のランニングでは、前に進みながら真下に地面を押す必要がありますので、半歩前を踏みつける事ができるようにしたいのです。

半歩前の踏みつけの図

図のように、腰から上を前に持っていく事がポイントです。その上で、上げた足を真下に踏み込む。
これは、重心位置と接地位置・踏み込む位置を調節するためのドリルで、それを移動しながらできるようにしたいのです。

踏みつけ走

これができるようになったら、それをさらに、移動しながらできるようにします。
紙コップをそれだけ置いていく事はできないので、あくまでイメージで踏みつけていくようにします。
片足ずつ行います。
例えば右足をずっと踏みつけるようにする場合、左足を付いたまま腰を前に持っていき、右足を真っ直ぐ下に踏みつける。
上手く踏みつけると、地面から反発をもらって、身体がフッと浮き上がります。
右足を踏んで、浮いたあと、左足を軽く着いて、またそのまま腰を前にもっていって右足を踏みつける。それで反発をもらってフッと浮いて、それを繰り返して前に進んでいきます。

こうやって、移動しながら真下に踏みつけて、その反発で真上に身体が浮く感覚を身体に覚え込ませる事で、ランニングの時もパワーポジションで真下に置いて反発をもらう感覚に結びつけていきます。

接地位置改善ドリルPart 2:ラダー走

前にこちらの記事で、「オーバーストライドの改善ドリルとしてミニハードルを使ったりします。」と書きました。

で、陸上部とかでは、ドリルとしてミニハードルを使います。
ちなみにミニハードルとは、こんな感じのものです。

ただ、素人にとっては、足元にこういうものがあると、走りが変になってしまう人も居そうです。引っ掛けないように変に高く飛んだり、緊張してしまったり、とか。なのでオススメはラダー走です。
ちなみにラダーとはこんな感じのものです。

でも、別にラダーがなくても、タイルのマス目とか横断歩道の縞々とか、適当な感覚で線が引かれているものなら何でも良いです。その際に重要なのは、自分の歩幅より短い感覚の幅でできたマス目である事。
そのマス目に一歩一歩入れていくように走っていきます。
ただ、それだけの事なんですが、自分の歩幅より狭い部分に留めて足を置いていくのを守ろうとすると、手前に着地しようとして、それによってパワーポジションでの接地位置を手前にする事ができるのです。
上手くハマると、それで身体が前に投げ出されそうになります。その感覚が、パワーポジションで地面を下に置いて反発で身体が浮く感覚です。
(前に進みながらだと、真上に力をもらうと、前向きの「慣性の力」と合わさって前方の斜め上に身体が投げ出されるようになるのです。)

その感覚を味わえない、という人は、ちょっと助走をつけてあげると良いかもしれません。少し助走で普通に走っておいて、ラダー部分でマス目内に足を収めるように着地して走る。そこまで勢いをつけておいて、ラダー部分だけ歩幅を極端に小さくする事で、より接地位置を重心下に近づけられるようになります。

こうやって、接地位置を重心下に近づける練習をした上で、厚底で走ってみてください。フォーム改善効果が味わえるかもしれません。

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