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腰高のフォームで走る(ランニング理論入門)

ランニングでは、腰高のフォームで走るのが良いと言われていますね。
逆に、悪いフォームの代表例として、「腰の落ちた走り方」なんて言われます。
では、腰高のフォームって、どういうランニングフォームなんでしょう?

腰高になる条件

腰高とは、腰が高い位置に常に保たれた状態を言うと思います。腰の位置は、だいたい身体の重心の位置と同じと考えられます。なので、ランニングでは、重心が一番低くなる場面が「パワーポジション」なので、パワーポジションで腰が・重心が高い位置にあれば、それが「腰高のフォーム」と言えると思います。

つまり、「腰高のフォーム」は、パワーポジションの場面がどうか、だけ考えれば良いのです。パワーポジションがランニングの様々な部分で重要だ、というのが理解して頂けると思います。

では、パワーポジションでの重心位置は、どうやって決まるでしょうか。
それは、2つ条件があります。

  1. パワーポジションで重心のなるべく真下で接地している事

  2. パワーポジションで接地している脚がなるべく伸びている事

1つ目は、これまでも出てきた話ですね。パワーポジションでの接地位置が重心からずれていると、その分脚が斜めになって、垂直方向の長さは短くなってしまいます。なので、重心位置を高く保つためにも、脚は真下に伸びていて欲しい訳ですね。
2つ目は、脚が伸びている状態、特に膝関節がなるべく伸びている状態が、脚が長くなるため重心位置が高くなるという訳です。
といっても、膝がピンと伸びている必要はありません。逆にピンと伸びすぎた状態は「過伸展」といって、あまり望ましい状態ではなくて、膝は少し「遊びがある」程度に曲がっている方が良いです。(膝の過伸展については、いずれ原稿を書く予定です。)また、着地の衝撃を受け止めるために、膝を曲げて吸収し、膝を伸ばしてジャンプする必要があるので、多少は膝は曲がります。ただ、あまり多く曲げすぎると良くないのです。
それは、「膝だけで着地の衝撃を受け止め、膝だけでジャンプする」事になってしまうからです。マラソンの長丁場では、膝をメインに使うのではなく、全身のバネで衝撃を受け止め跳躍するのが望ましく、膝を曲げるのが最小限にしたいのです。

腰高のフォームで走ると速くなるのではなく良いフォームで走ると結果的に腰高になる

という事で、腰高になる条件は理解して頂けたかと思いますが、それを踏まえて腰高で走るトレーニングをする必要はありません。
というのは、腰高で走るためには、パワーポジションでの接地位置をなるべく真下にする、とか、全身のバネを使う、といった事ができれば自然と成り立つものだからです。
つまり、小見出しに書いた通り、良いフォームで走るように練習して身についたならば、自然と腰高で走れるようになっている、というのが望ましい姿なので、そのつもりでトレーニングしてみてください。

おまけ

でも、最近では、「腰高のフォームなんて良くない、逆に腰低のフォームが良い」なんてキテレツな主張をしている人もいます。(某漫画家さん?)
ただ、この原稿を読んでもらうと分かる通り、腰高のフォームにはちゃんとした根拠があります。この条件を見れば、「腰低のフォーム」のためには、接地位置が重心から大きくズレるか、膝を大きく曲げる必要があると分かります。前者は現在のランニング理論では速く走るのに必須と言われていますし、後者をやるには膝に負担がかかりすぎます。なので、そんなキテレツな主張は話半分に聞いて、王道の腰高のフォームを目指してもらえたら、と思います。
ただし、「腰低のフォーム」に全く理がない訳ではありません。これはまたずっと先に書く予定ですが、パワーポジションの「後の場面」で膝を折るようにするとスピードを出せるという技術があり、その時の身体感覚が「腰が落ちる」ような感覚があったりします(実際には落ちてません、パワーポジションの後ですので)。これは非常に難しい技術なので、まずは他の技術が出来てから取り組めば良い話ではないかな、と思います。

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