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Music

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#映画

「Stop Making Sense」4Kリストア版@IMAXシアター

約40年振りに観ました。83年作ですが、僕が見たのは、85年。レイト・ショーのみの公開でした。 当時は、メンズ・ビギがプロモーションをサポートしており、店舗にも大きなポスターが貼ってありました。あの時代、肩幅を強調したジャケットが大人気でしたが、あのスーツは肩だけでなく、身頃も巨大で来日時に観た能にインスパイアされたそうです。 改めて、彼らの音楽をまとめて聴いてから観たので、その辺の話から、映画につなげたいと思います。 さてTalking Headsといえば、Televis

「Perfect Days」ヴィム・ヴェンダース監督作品

東京国際映画祭の先行上映時は、旅行中で 行けませんでしたが、やっと観る事が出来ました。(以下ネタバレ注意ですが、その話の筋というより、日常の何気ない風景や仕草 そして徐々に変わる感情の変化の描き方が素晴らしいです)  カンヌで主演男優賞を受賞した役所広司さんが初めの1時間?近くは全くセリフはなく、古アパートに住み、朝早く起きてからのルーティン、そしてトイレ掃除の仕事、早く仕事が終わり、銭湯に入り、浅草の居酒屋でくつろぎ、その後、行きつけのスナックで一杯やり、寝る前に読書という

「Tar」 トッド・フィールド監督作品at Stranger映画館

ずっと観たかったベルリンフィルの首席指揮者として活躍した女性指揮者の話「Tar」。 銀座、新宿でもやっているんだけど、今日は、最近、クラウドファンディングで菊川に設立されたミニ・シアターStrangerで観てきました。代表の岡村さんは、ゴダールの「映画史」を穴が空くほど読み、一番読んだ小説家がマルグリット・デュラス、一番聴き込んだレーベルがECMだそうで、全てが”映像的”で、これは間違いありません。 入口がTシャツなども販売しているカフェになっており、奥の客席は49席のみとま

Blaxploitation movie soundtracks~ブラック・ムービー・サントラ

昔、黒人の方たちの過剰ともいえるファンクネスについていけず、白人音楽ばかり聴いていた僕が初めに感銘したのは、公民権運動、キング牧師の暗殺、ブラック・パワーの勃興、そして白人も巻き込んで、大衆化した流れの中での70年代のニューソウルでした。 ブラックスプロイテーション(Blaxploitation) とは、1970年代前半にアメリカで生まれ,主に、アフリカ系アメリカ人を客層として想定した映画のジャンルで、タランティーノ監督の「ジャッキー・ブラウン」のおかげもあり、少し詳しくなり

The Sparks Brother ~A Film By Edgar Wright

愛しのスパークスのドキュメンタリー。 UCLA出身ながら、あまりにもヨーロッパ的でUSで売れず、イギリスにわたり大成功した彼ら。ジョルジョ・モルダーとの先進的なサウンドなど素晴らしい業績はあるものの色物的扱いであまり評価されていなかった彼ら。全キャリアをレトロスぺクティブに描くこの映画で彼らのことが多くの人に知られるのが大変うれしい。彼の作品を下敷きにしたレオス・カラックス監督の”Dark Fantasy Rock Opera”「アネット」とともにぜひ。 ・「テレビに出ていた

石橋 英子at Blue NoteMotion Picture “Drive My Car " Original Soundtrack

今日は 各国の映画賞で多くの賞を獲得した映画の“ドライブ・マイ・カー” の音楽を担当した石橋 英子の“凱旋”ライブ。 この映画を観ていた時、インプロビゼーションからアーバン・ポップまで、様々なジャンルで注目のアーティストと共演し、海外の方が知られている彼女の名前を見つけ、そして映画のムードや出演者の心象風景を描く事に貢献した素晴らしい音楽に興奮したものです。 今日は彼女が様々なジャンルで共演する長年のコラボレーター ジム・オルークの参加し、ジャズのバックグランドのあるミュ

映画「ノーザン・ソウル」

Amazon Primeの配信で見つけて これで観るのは3回目になります。ノーザン・ソウルと言えば、もちろんアメリカ北部で生まれたソウルミュージックのことで、シカゴやデトロイト(もちろんモータウン)などのソウルをメンフィスなどのサザン・ソウルと対比して指すこともありますが、イギリスでそしてこの映画でいうノーザン・ソウルは、イギリスの北部に住む若者が、昼間の工場勤務の後に、クラブに集まり踊りあかすときにかかるアメリカのソウル・ミュージックという意味合いもあります。 1974年北

Band On the Run/ Paul McCartney and Wings

Disney+で配信が始まった「マッカートニー 3,2,1」こちらもトータル6時間の長尺ですが、30分ごとに6話に分かれ、ハンブルク時代からソロ、そしてウイングスまでのエピソードまでが時系列ではなく、ランダムに話が展開し、かつホストのRick Rubinの“聞く力”もあり、テンポよく展開するので、あっと言う間に観てしまいました。  ミキサー卓を前に、“あのビートルズの作品”を他の音を消して、コーラスだけ またベースだけを聞かせたりと本人がいないとできない試みで、他の音楽からの

映画「ショップリフターズ オブ ザ ワールド 」~スミスファンのラジオ局ジャック事件

1987年アメリカのコロラド州デンバー。当時、現代最高といわれたイギリスのグループThe Smiths 解散のニュースが、飛び込んでくる。The SmithsのサウンドそしてMorrisseyの歌詞を自身の境遇と重ね合わせ共感をしていた何人かの若者は悲嘆にくれる。その中でも、レコードショップの店員ディーンに「この町の連中に一大事だと分からせたい」と地元のへビーメタル専門のラジオ局に行ってザ・スミスの曲をかけろとDJに銃を突けるという話。 実際に起こった出来事らしくその時は未遂

音響ハウス Melody-Go-Round ~奇跡の音が降る場所

メンフィスのマッスルショールズを代表格として、録音スタジオにスポットが当たることが多く、また過去には、「クラシックアルバムズ」というロックの名盤の制作秘話を語るDVDシリーズがあったりと、素晴らしい音楽が出来上がるまでの過程を覗き見ることは大変魅力的で、その作品への愛情がより増すことになります。  1974年に銀座で設立された「音響ハウス」。そのドキュメンタリー映画を観ることができました。スタジオミュージシャン/ギタリスト佐橋佳幸(松たか子のご主人でもあります)とレコードディ

「My Generation マイ・ジェネレーション ロンドンをぶっとばせ!」

Swinging London といわれ 世界の席巻した60s ロンドンの音楽・ファション・アートをその時代から活躍するベリー・ブリティッシュな俳優マイケル・ケイン(Get Carter、Alfie)のナビゲーションにより、1.Something In The Air 2.I Feel Fine 3. All was not as it seemed という流れで、ビビットに描かれた映画。”ローカルな”The Kinksの「Dead End Street」や「Waterloo

「Yesterday」Directed By Danny Boyle

全く売れないインド系イギリス人のSSWが、世界的な停電中に起きた交通事故に遭い、目覚めた世界は 誰もビートルズを知らない世界だった。というアイデア倒れになりそうなストーリ―でしたが、さすが「トレインスポッティンティング」や「スラムドッグミリオネア」の監督であり、ロンドンオリンピックの開会式の芸術監督を務めたダニー・ボイル。リチャード・カーティス(「ノッテイング・ヒルの恋人」「ブリジット・ジョーンズの日記」)の脚本もさすがで、イギリスの若者の日常とエンターテイメント性の両方が楽

「LA LA LAND」

グラミー賞とかゴールデングローブ賞とか あまり気にしてなかったのですが、うちの奥さんに誘われて、その辺の賞を総なめにした「La La Land」を観てきました。(2017 年) 恥ずかしながら、この映画が始まるまでミュージカルだとは思ってなかったのですが、高速道路の渋滞中の車から出てカラフルな衣装で歌い踊り出すオープニングから、僕の大好きなジャック・デミー監督によるカトリーヌ・ドヌーブ主演の「ロシュフォールの恋人たち」や「シェルブールの雨傘」を思わせ、ミッシェル・ルグランのよ

「ベニスに死す」のサントラ

ルキノ・ヴィスコンティによる「ベニスに死す」のサントラ。作曲家アッシェンバッハ(ダーク・ボガード)がポーランド人の美少年タジオ(ビヨルン・アンデルセン)と出会い、若つくりの白塗りの化粧をしてタジオを追い求め、浜辺のチェアで彼を眺めながら朽ち果てていくという映画。その映画のイメージを決定つけたマーラーの5番「アダージェット」。監督ヴィスコンティが貴族の出という事もあり、これがヨーロッパのデカダンスというのか とわかったようわからないような気になっていた頃。自分の"青春"がデ