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映画「ショップリフターズ オブ ザ ワールド 」~スミスファンのラジオ局ジャック事件

1987年アメリカのコロラド州デンバー。当時、現代最高といわれたイギリスのグループThe Smiths 解散のニュースが、飛び込んでくる。The SmithsのサウンドそしてMorrisseyの歌詞を自身の境遇と重ね合わせ共感をしていた何人かの若者は悲嘆にくれる。その中でも、レコードショップの店員ディーンに「この町の連中に一大事だと分からせたい」と地元のへビーメタル専門のラジオ局に行ってザ・スミスの曲をかけろとDJに銃を突けるという話。
実際に起こった出来事らしくその時は未遂に終わったそうですが、この映画ではThe Smithsの音楽が、物語の進行と若者の気持ちを代弁する形で全編流れます。そして登場人物の名前もThe Smithsに関連するところから取られていおり、もちろん映画のタイトルは、彼らの曲“世界中の万引き犯たちよ、団結せよ”と歌われる「Shoplifters of the World Unite」から。
「Heaven knows I am miserable now」と世界で初めて堂々と自らの惨めさをうたったMorrissey の歌は僕も含めて当時の若者の共感を集めたわけですが、アメリカの田舎の若者の閉塞感、将来への漠然とした不安などを描いたこの物語は、決して映画として一級の作品と言い難く、イギリスとは違ったアメリカの若者のファッションやアティテュードもなんかちょっと違うという感じだし、この盤にはこの曲はとか、レコードレーベルは、アメリカなのでSire 盤だったり、かけられる曲はアメリカ向けコンピ「Louder Than Bomb」からアメリカでヒットした曲だったりと色々細かいことを言いたくなりますが、The SmithsやMorrissey の映像や曲が全編に流れるだけで、好きな人は必見と言えるでしょうか。何時間も番組をジャックされ、The Smithsの曲をオンエアーさせられたへビーメタル専門のラジオ局のDJと主人公ディーンが心を許しあうところは、ヘビメタ好きは実はいい人達ということを再認識しました。
https://youtu.be/GZCgsjLN8tw

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