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Yさん ショートショート 短編小説🖋
2020年6月29日 14:58
ビルの屋上で青年は嬉々とした表情で全身に風を受けていた。彼はこの世に生を受けてから20年のこの短く長い人生に終止符を打とうとしている。彼の一番最初の記憶は真っ暗な世界である。そこでは軽い身動きしかできず、そもそもしたいという感情があったとも言えなかった。しばらくすると急に光を感じた、初めて彼は外というものに触れたのである。そして当然のごとく泣いた。これを彼が出産であったと認識するのは少し先のこ