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フェミニズムの勉強を始めたい方へ、私からの推し本を。(変わり種編)

私は、フェミニズムの勉強を始めた頃、「フェミニズム勉強したいけど、どこから手をつけていいのかよくわからん、、、」と、とても困りました。

そこで、フェミニズムに興味を持ってこれから勉強を始めたいと思ってくれている人のお役に立てればな〜と思い、この推し本シリーズを書くことにしました!(最後にこれまでのシリーズを載せています。そちらから!という人は、目次から飛んでください)

では、今回は「変わり種編」と題して本の紹介をしていきます。ぱっと見、フェミニズムと関係あるのか?と思われるような本も紹介していきます。その理由は、第一回目の「入門編」でも語った通り、「人」が関わる学問分野全てにフェミニズムは絡むと考えているからです。
私が経済学部だったこともあって、偏りはあるのですが「性」を知るのに、面白いな〜と思った本を紹介させてください。

一応今回で、『フェミニズムの勉強を始めたい方へ、私からの推し本を』シリーズの最後にするつもりです。なので、この本もいいよ〜!といったご意見等、いつでもウェルカムです!コメント欄に、その本と200字程度で紹介文を載せていただけると嬉しいです^^

WORK DESIGNー行動経済学でジェンダー格差を克服するー

「ブラインド・オーディション」というオーディション方法を聞いたことはありますか?

1970年代後半、アメリカの5大オーケストラでは、女性演奏家の割合がわずか5%ほどだったそうです。しかし、現在の一流オーケストラでは、35%以上を女性演奏家が占めているそうです。

ここまで女性比率が上がった要因は、オーディションの際に、演奏者と審査員の間に一枚のカーテンを置いただけ。このデザインを施しただけで、無意識に存在していた性別へのバイアスを取り除くことができたのだそう。

こうした例に始まって、私たちがいかに無意識のうちにジェンダーバイアスを持っているのかを、いろんな研究データを参照しながら解説してくれています。
そして、こうしたバイアスによって生まれる格差を、行動経済学のアプローチを用いることで解消しよう!というのが本書の内容です。

その問題、経済学で解決できます。

ウリ・ニーズィーは、「Gender Differences in Preferences」という論文が有名な経済学者です。

女性は男性よりも、安定志向。
男性の方が女性よりも、リスクテイカーである。
といった、ステレオタイプが環境によって変化するものだと研究で示してみせました。先ほど紹介した論文の内容が、もう少しわかりやすく本書では紹介されています。

そのほかにも、
・子どもの成績を上げるには?
・保育園のお迎えの遅刻をなくすには?
・恵まれない子に寄付してもらうには?
といった、問題をこちらも行動経済学のアプローチで解決して見せます。

私はゼミの先生に教えてもらった本なんですが、すごく大好きな一冊です。
経済学の知識がない人もある人も、面白く読める一冊だと思います。

日本軍「慰安婦」制度とは何か

フェミニズムを学ぶ上で、セックスワークについての議論は避けて通れない議題です。

女性が主体性を持って行うセックスワークは肯定的に捉えよう!と言うフェミニストもいれば、セックスワークは色んな社会問題を2次的に引き起こすから賛成できない!と否定的に捉えるフェミニストもいます。

しかし、日本人のフェミニストがセックスワークを語るには、まずその歴史として、慰安婦の問題を知ることは避けてはいけないのではないかと私は考えています。

本書では過去の資料を参照して、日本軍の従軍慰安婦が存在したこと、彼女たちがどのような扱いを受けたのかを検証しています。

これを読むと慰安婦の多くは、劣悪な環境下で人権など存在しないような扱いを受けていたことがわかります。にも関わらず、日本政府がその存在を認めようとしない姿勢にただただ疑問が残ると共に、日本人としてこれは知らないで済ましてはいけない問題なんだと強く認識させられました。

マンガでわかるSDGs

多分、なんとなくSDGsという言葉に聞き覚えがあっても、しっかりどんな内容のことなのか知らないと言う人はたくさんいらっしゃるんじゃないだろうかと思います。

SDGsとは、「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の頭文字をとったものです。2016年から2030年までの国際目標として、全部で17の項目に分けられました。

この5番目に掲げられる目標が、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る」というものです。

「これからのフェミニズム」を考える上で、SDGsくらいは簡単に押さえておいた方がいいかな〜と思い、手に取ったのがこの本です。

漫画なので、読みやすいし、わかりやすいので推しておきます〜!

科学の女性差別とたたかう:脳科学から人類の進化史まで

「科学的に、、、」という前置きが入るだけで、私たちは何故いとも簡単に、「さぞ、この研究は公平な研究の下、得られた結果に違いない!」と、その結果を受け入れてしまうのでしょうか。

本当は、その「科学」もたくさんの脆弱な理論であるにも関わらず、信じ込んでしまうことがたくさんあります。

そうして作られてきた俗説は、枚挙にいとまがないとは、このこと!というくらい存在します。例えばそれは、
「女性は、空間認識能力が低いので地図が読めない」
「男性の方が論理的思考ができる」
「女性より男性の方が浮気をしてしまう傾向にある」といったもの。

本書ではこうした理論に反証を突きつけ、いかに私たちが潜在的にジェンダーバイアスを持って生活しているか、科学者も例外ではないことがよくわかります。

お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門

こちらはぜひ読みたいと思っている本です!!!

文学作品、演劇、アニメ、映画などいろんなメディアをフェミニズム的視点から批評しているエッセイ集とのことなのですが、中でも評判の高い「アナ雪」の考察をぜひ読んでみたいと思っています。

読んだことあるよ〜って人がいたら、ぜひ素敵な推薦文を作ってくださると嬉しいです^^

日本のヤバい女の子

昔話に出てくる色んな女の子が現代に暮らしている女の子だったら?
教訓を伝えるために、悪女に脚色された女の子たちも、私たちとなんら変わらない女の子だったんじゃないだろうか?

そんな疑問を掘り下げ、エッセイ風に仕上げられたお話がたくさん詰まっています。どの子のお話も「わかる!ロクでもないな!」とかついつい共感してしまう文体で、著者のはらださんに終始すごいなという印象を抱きました。笑

私の感想文はnoteに投稿しているので、詳しいお話はよければ飛んでご覧ください。

【あわせて読みたい】

痩せ姫 生きづらさの果てに

日本でも女性の痩身志向は、問題視されています。日本の若年層の平均BMIは、健康的とされる22を下回る値です。

それでも、女性向けのキュレーションサイトやSNSの広告には胡散臭いダイエットサプリの広告が山ほど出てきます。

これはそれだけ需要があるから供給されているということなんですよね。

でも、こうしたルッキズム(外見至上主義)は、幼い頃から多くのメディアによって植えつけられてきたものです。現に、自分の体型にコンプレックスを抱く人はたくさんいるでしょう。私がそうであるように。

中でも痩身志向について書かれた本なのですが、彼女たちの生きづらさは「治したくても治せない」これにつきます。
そんな生きづらさを抱える人たちを、この本では肯定するんです。
痩身志向や摂食障害に至るプロセスを批判する本はたくさんありますが、肯定的に書く本は珍しいくておもろいなと思ったので、紹介しました。

美容は自尊心の筋トレ

こちらもルッキズム(外見至上主義)に問題提起する本です。

「〇〇ちゃん、可愛いね!」と言われて、素直に「ありがとう!」と返せる人はどのくらいいるのだろう。

少なくとも私は、気の置けない仲の人にしか「ありがとう!」が言えませんでした。「今日だけですよ!」とか「たくさん塗り込んでるからですよ!」なんて、自虐を交えて返事をしてしまうことが常でした。

でも、「そんな自虐はいつの間にか自分自身を苦しめるナイフに変わってしまうかもしれないよ?」とこの本は優しく背中をぽんぽんしてくれました。

読み終わった後、すごく自尊心が磨かれたような気分でした!笑

紅一点論ーアニメ・特撮・伝記のヒロイン像ー

アニメや伝記という視点から、”性別”を読み解く本です。

筆者は、「アニメの世界は現実社会の縮図だ」と指摘します。
この意味が読み進めていくうちに、どんどん納得に変わっていくのがとても面白いです。

ジブリや戦隊モノに登場する主人公たちが、現実ではどんな人を指すのか?
伝記の本に女性が少ないのはどうしてだろう?

そんな質問に、この本は答えてくれます。

「ジェンダーとか堅苦しいな、、、」と感じる人にも読みやすく、楽しめる一冊だと思います。

【あわせて読みたい】

数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで

統計学を用いて、小説を紐解くという新しい一冊。

どうしてあの名著はベストセラーになったのか?という分析を行っているところだけでも十分面白いんですが、男性作家/女性作家で作品によって用いる言葉の品詞に差があるといった分析もとても興味深かったです。

女ことばと日本語

これは、これから読みたい本!

鎌倉から室町期、江戸期の庭訓本から、明治大正期の自立と貞操、ポルノ化まで、分かりやすい文例や図版で「作られて書かれた語りことば」である女ことばの歴史やあり方、その機能や社会性を見事に読み解いてくれます。図らずも岩波新書新赤版のソフトな装丁が、この本の機能性に花を添えています。ジェンダーの先に見える国語の歴史を描いた快著です。

【あわせて読みたい】

来日して、日本語を学ぶ中で、日本語にも男性が使う言葉、女性が使う言葉に違いがあることに驚いたという筆者。

外国語を勉強するときに女性か男性が使うかで単語が変わることに驚いて、「日本語はそういう意味でかなり男女差のない言葉だ〜」なんて思ってたんですが、この本を読んでから小説を読むときにはついつい、ちょっとした主人公の言葉遣いから、筆者の”性”への価値観が垣間見えるようになった気がします。なので、後数冊はこういう本を自分も読みたいなと思い、上記の本を紹介しました。

本シリーズの過去noteと紹介本

・『82年生まれ、キム・ジヨン』
・『三つ編み』
・『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』
・『男も女もみんなフェミニストでなきゃ』
・『世界を変えた100人の女の子の話』
・『Black Box』

・『ウーマン・イン・バトル』
・『スカートの下の劇場』
・『禁断の果実 女性の身体と性のタブー』
・『日本のフェミニズム』
・『何を怖れる――フェミニズムを生きた女たち-』

・『私たちにはことばが必要だーフェミニストは黙らないー』
・『説教したがる男たち』
・『バッド・フェミニスト』
・『ボーイズ 男の子はなぜ「男らしく」育つのか』
・『女性学/男性学(humanities)』
・『ぼそぼそ声のフェミニズム』
・『彼女は頭が悪いから』
・『壊れる男たちーセクハラはなぜ繰り返されるのかー』
・『世界の半分、女子アクティビストになる』

・『なぜ、それが無罪なのか!?性被害を軽視する日本の司法』
・『家父長制と資本制ーマルクス主義フェミニズムの地平ー』
・『女ぎらいーニッポンのミソジニー』
・『差異の政治学』
・『女性のいない民主主義』
・『現代フェミニズム理論の地平―ジェンダー関係・公正・差異』
・『第二の性シリーズ』
・『日本のフェミニズムシリーズ 「フェミニズム理論」』
・『性の署名―問い直される男と女の意味』
・『フェミニズムの名著50』

・『はじめてのジェンダー論』
・『ジェンダー論をつかむ』
・『ジェンダーについて大学生が真剣に考えてみたーあなたがあなたらしくいられるための29問ー』
・『お姫様とジェンダー:アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』
・『ジェンダー・トラブル』

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