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抱かれるだけの仕事

この世には様々な仕事がある。人に殴られてお金を稼ぐ殴られ屋、人を笑わせてお金を稼ぐお笑い芸人など、多種多様だ。

そんな中でも異色な仕事がある。

それが抱かれ屋だ。

彼女は抱かれる為だけに生まれ、抱かれる事だけを仕事としている。

そんな彼女を指名し家にやって来てもらう事にした。

抱かれ屋の中でも常に人気ナンバーワンらしい。

彼女の仕事は過酷すぎて他の人には真似できないのだ。

勤務時間は基本的に人が寝静まる夜中からだ。

夜勤だからといって夜勤手当てなんてものはでない。時給すらままならない。

彼女に払われる報酬は、抱かれ屋に初回支払った、たったの数千円だけだ。

しかもかなりの肉体労働だ。

ずっと同じ姿勢を保ちつつ、顧客からの圧力に耐え続けなくてはならない。

それでも彼女はプロとして毎晩仕事を全うする。

だが今回の顧客は強すぎたみたいだ。

そいつは毎晩、赤ちゃんコアラが振り落とされまいと必死に母親にしがみつく様に、はたまた、総合格闘家が相手を仕留めるかの如く、両手両足全てを使い、彼女を背後から固くホールドするのだ。

さすがに命の危機を感じたのだろう。

もう無理!助けてぇぇ!!

彼女の断末魔の叫び声が明朝の寝室に響き渡った。

そして彼女は2度とヒトへは戻れなかった…。 ヒトとモフモフの中間の生命体となり永遠にこの空間をさまようのだ。 そして死にたいと思っても死ねないので ――そのうち彼女は考えるのをやめた」 ※JoJo第二部より引用改編

そんな彼女の現在の姿がこれだ。

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彼女がヒトであった時にボキボキに折られた肋骨の凹みの名残りが抱き枕となっても残っているのが分かるだろう。

あぁなんて大変な仕事を任されてるんだ。

抱き枕ちゃん、今晩も頼むよ。


終わり

ここまで読んでいただきありがとうございます。