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ミスを取り返すチャンスが与えられるかそうじゃないか。

ライターという職業で「やらかした」できごとが一度だけある。専業となってからは4カ月ほどだが、仕事として始めたのは1年以上前。その期間で「1度だけ」というのは少ない気はする。一方で「いやいや、やらかしなんてありえないでしょ! 」という声も聞こえてきそうだ。まぁ、どちらでもいい。過ぎたことはしょうがないのだから。

ことが起きたのは昨年の10月下旬。この仕事はひとつのイベントに対して2社へ原稿を送信するものだった。当時のぼくは「おいしい」と思いながら原稿を書き進めていた気がする。「ひとつのことをふたつに分けることができる」ってなんてステキなんだ。と思っていたことだって覚えている。

喜び勇んでぼくは2本分の原稿を書き終えワードに保存し、それぞれの題名をつけ送信した。ふだんであれば何の問題も無い。これで終わりだ。しかし、このときは違った。1社は題名の指定があったのだ。察しのよい方は、これでおわかりかもしれない。日常生活で察しがよいといい場面もあれば、悪い場面もある。とは思うけれども。

そう、送る原稿を取り違えてしまったのだ。

気づいたのは1時間後くらいだろうか。豆を挽きコーヒーを淹れ、優雅にスマニューを確認していたときのことだ。スマニューにはすでにぼくが書いた原稿が転載されており、上位に表示されていた。そこで違和感が生じたのだ。

「あれ?このタイトルこっちじゃない…」

題名指定されていないサイトに指定されていた題名の原稿を送ってしまったのだ。指定されていた方のサイトを確認すると、ぼくが題名を間違えたと判断され、題名は指定されたとおりになっていた。ようするに同じ題名の記事がネット上に2つ、ほぼ同時アップされたのだ。もちろん、中身は違うしパクリとは思われるようなものではない。題名以外は……。

指定された題名は携帯電話の超大手会社から受け取ったキャッチーなものだったのだ。これはやばいな。

そう気づいたのも後の祭り。すぐに両社に電話をして「ことの顛末」を説明。

題名を変更することを提案した。しかし、両社ともに受け入れてもらうことができなかった。すでに、多くの拡散がされており今さら感があったのもたしかだ。「記事の内容はよかった」と前向きに考えてみたものの、コーヒーの味は覚えていない。いや、とても苦かった気がする。

こんなできごとがあったのだ。幸いにも大事には至らず、ミスしたことを取り返すチャンスも頂けた。さらに言うと両社ともに今でも取引はある。初期対応がよかったからなのか、そもそもぼくの考えすぎだったのかはわからない。どちらにせよ、幸運だったのだろう。

※※

ミスをしたことのない人生を送ってきた人はいないはずだ。誰しもが、なんらかのミス、過ちを犯して今までの人生を歩んできた(よね?)。それはプロ野球選手も一緒だ。昨日の試合では、一昨日の試合で拙いプレーをみせた選手が大活躍。ミスを取り返すチャンスをもらい、それに結果で示した。

ミスをしても取り返すチャンスを与えられるように生きていくこと。その境目はどこにあるのだろうか。と考えると「誠実に生きること」が今のぼくが導き出した答えになる。最適解ではないかもしれない。だけれども、不正解ではないだろう。

こんなことをコーヒーを飲みながら思い出した。今日のコーヒーは苦くなかった。

8月26日:ヤクルト(5-4)DeNA

こちらサポートにコメントをつけられるようになっていたのですね。サポートを頂いた暁には歌集なりエッセイを購入しレビューさせて頂きます。