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【タマガ体験記】カフェでポタリーペインティングをやってみた @ぽたかふぇ。(東京・高円寺)

 2023年10月、東京・高円寺にある「ぽたかふぇ。」を訪れた。2012年4月にオープンした、ポタリーペインティング(陶器の下絵付け)ができるギャラリーカフェだ。カフェを営業しながら、展示とポタリーペインティングのワークショップを行っている。このほど、記者は陶器に絵を描く楽しみを体験すべく、同店のワークショップに参加した。

◼「ポタリー」とは
「ポタリー」(pottery)はもともと、英語で「陶器」「焼き物」「窯元」「陶器製造業」を表す言葉だ。「ぽたかふぇ。」では、「ポタリーペインティング」を省略して「ポタリー」と呼ぶことがある。


 店に続く階段を上り切ると、店長の松永美樹さんが笑顔で迎えてくれた。店内には作家のイラストや絵画、松永さんお気に入りの雑貨などが飾られていた。

ポタリーペインティングの一部始終

 まずは、店のいちおしメニューの「キッシュプレート」(月替わり)で腹ごしらえ。食事を終えて、さっそくポタリーペインティング体験へ。ドリンクはそばに置いておける。最初に、色々な形の器から好きなものを選ぶ。初めてということで、平らで描きやすい小皿(4300円)を選択。あらかじめ考えていたヘビイチゴの柄を鉛筆で下書きして、彩色に移った。

店のいちおし、月替わりの「キッシュプレート」(1100円)
素焼きの器などが置かれている棚。皿、碗、マグカップ、置物、小物入れ、調味料入れなどがある
使用するもの。下絵の具、筆、色見本のポタリーなど。全て用意してあるので、何も持たずに来店するだけでOK

◼陶器ができるまでの大まかな工程
粘土の成形──素焼き──下絵付け──施釉(釉薬を掛ける)──本焼き
器は工房から仕入れているが、下絵付け後の工程は同店で行っている。

 焼成すると濃い色が下から浮き出てきてしまうため、薄い色から塗っていくのが基本だという。どの色から塗るべきか迷いつつ、緑色から塗り始めてみた。よく発色させるには3回ほど重ね塗りする必要があるため、筆を一周させて終わりというわけにはいかない。色見本のポタリーも、3回塗ったものだと聞いた。絵の具の乾きが早いのですぐに重ねられる。だが、繊細な線を3度もなぞるのは、なかなか根気のいる作業だった。途中で「よく考えたら、緑は一番薄い色ではない気がする」という不安が芽生えたが、塗り始めたので戻りようがない。結局、そのまま緑の部分を描きあげた。色の重ね方は、次回以降の課題にする。

下書きの様子。鉛筆の跡は焼成するときれいに消える
ツルと葉を描いている様子

 花びらは面積が広く塗りやすかった反面、ムラが心配になった。この時点では均一に塗れているように見えても、焼くとまだらになることがよくあるそうだ。しかし初めてで塩梅が分からないので、出来栄えは運に任せることにした。ヘビイチゴの実はつまようじの裏側で点を打って表現した。水分量によって大きさがまちまちになってしまうのも、点がにじんで意図せずつながってしまうのも、それはそれでよしとした。

絵の具をパレットにとっている所。伸びがよいので少量ずつとるのがポイント
つまようじで点を打っている様子

 縁を塗り一通り描き終えたものの、当初考えていたイメージとは違ったものになっていたので、なんとなく青を入れてみた。思いつきだったが、案外まとまりがよくなった気がしている。濃淡や陰影も表現したかったのだが、初心者にはまだ早かったようで、あっという間に終わりの時間になってしまった。底に日付を記して、絵付けを終了とした。
 後は店に預け、本焼きしてもらう。郵送での受け取りを選択し、完成品が届くのを待った。

縁を塗っている様子
絵付けが完了した小皿

◼下絵付けと上絵付け
陶器の絵付けは大きく分けて2種類ある。本焼きの前に釉薬層の下に施す「下絵付け」と、本焼きの後で釉薬層の上に施す「上絵付け」だ。

完成作が自宅に到着

 約3週間後。本焼きを終えた陶器が自宅に届いた。少し緊張しながら箱を開けると、赤がよく映えた可愛らしい小皿が収まっていた。想像していたよりもきれいに発色しており、釉薬(ゆうやく)の艶(つや)もあって焼く前よりも明るくなったように見える。心配していた通り黄色に緑が浮き出ていたが、それほど気にはならなかった。ツルのかすれや葉の筆跡は狙ったものではなかったが、意外といい味を出している。素朴で温かみのある仕上がりになったのではないだろうか。

本焼きを終えて完成した小皿

 3回目くらいで要領がつかめてくるというので、ぜひまた挑戦してみたい。

取材・撮影・文=齊藤愛琴


ぽたかふぇ。
〒166-0002 東京都杉並区高円寺北3丁目21-5 ハイツロイヤル2階
TEL 03-5373-8099
営業時間 12:00〜19:00(18:00L.O.)
定休日 水曜日・木曜日
HP https://pottercafe.base.shop/

※ポタリーペインティングは2023年12月現在完全予約制で、カフェメニューのワンオーダーが必須です。
※当記事の情報は、2023年10月時点のものです。最新の情報についてはHP等でご確認ください。

もう一つの看板メニュー「日本ハンバーグ協会認定 煮込みハンバーグ」(1100円)
飲食兼ポタリーペインティングの作業スペース

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