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貴重書展示『VISIONAIRE』

雑誌の概念を覆すような独創的な装丁と、著名なアーティストやブランドとのコラボレーションで世界的に有名なヴィジュアル・マガジン『VISIONAIRE』(ヴィジョネア)をご存知でしょうか。

実際に着用できる衣服で包まれた号や音・香り・味・手触りといった五感で楽しむことのできる号など、毎号異なるテーマで読者を驚かせてくれます。毎号数千部の限定発売でナンバリングされていることから、コレクターズアイテムとしても人気が高いですが、当館では5号(1992)以降の約50冊を所蔵しています。貴重書のため、こうした特別な展示などでしか、なかなかご紹介できないのですが、今回は所蔵している号の中から、見た目の楽しいものを集めて展示しました。

※この貴重書展示は、学内向けの館内展示(2024年4月2日~6月22日)です。学外の方には残念ながらご覧いただくことはできませんが、こちらの記事と写真にてその雰囲気だけでも感じていただけますと幸いです。なお、写真はアクリルケースを外して撮影しておりますが、実際はケースに入った状態で展示されています。

No.44 (2004) TOYS

VISIONAIRE No.44 (2004) TOYS

これは、アメリカの玩具メーカー、Kidrobot(キッドロボット)社とのコラボ。赤と黒の2つのバージョンがあり、それぞれ5人のデザイナーによる5体のフィギュアで構成されています。それぞれのデザイナーをほうふつとさせるデザインとなっており、遊び心にあふれていますね。
 
Black
カール・ラガーフェルド、ドナテラ・ヴェルサーチ、アレキサンダー・マックイーン、エルメス、ヴァレンティノ
Red
マーク・ジェイコブス(ルイ・ヴィトン)、ドルチェ&ガッバーナ、エディ・スリマン、ヴィクター&ロルフ、ミウッチャ・プラダ

No.45 (2005) MORE TOYS

VISIONAIRE No.45 (2005)  MORE TOYS

44号に引き続き、こちらもKidrobotとのコラボ。青と黄の2つのバージョンがあり、こちらもそれぞれ5人のデザイナーによる5体のフィギュアで構成されています。

Blue
ジョン・ガリアーノ、ヘルムート・ラング、ジャン=ポール・ゴルチエ、YSL、ジョルジオ・アルマーニ
Yellow
グッチ、ヴィヴィアン・ウエストウッド、コムデギャルソン、エミリオ・プッチ、マルタン・マルジェラ

No.50 (2007) ARTIST TOYS

VISIONAIRE No.50 (2007)  ARTIST TOYS

こちらもKidrobotとのコラボ。10名のアーティストが参加していますが、こちらは44, 45号とは違って、それぞれマトリョーシカのような入れ子式となっていて、内側からさらに2体ずつ取り出すことができます。
 
アレックス・カッツ、ケヒンデ・ワイリー、リタ・アッカーマン、ティム・ノーブル&スー・ウェブスター、トニー・オースラー、ロバート・クラム、カート・ヴォネガット、ロブ・プルーイット、チップ・キッド、青島千穗(カイカイキキ)

No.21 (1997) DECK OF CARDS

VISIONAIRE No.21 (1997)  DECK OF CARDS

これは、ダイヤモンドを扱う会社、De Beers(デビアス)の50周年を記念した号。特製の宝石箱にはトランプセットが収められており、それぞれのマークが異なるアートディレクションで制作されています。

ダンサーの天児牛大(山海塾)をモチーフにした♡ハートはファビアン・バロン、パリの精肉店を扱った♤スペードはM/M(Paris)、ナイトクラブを扱った♧クローバーはリー・スウィリンガムとスチュアート・スポルディングがそれぞれ担当しており、♢ダイヤは13人のアーティストによるもの。

No.26 (1998) FANTASY

VISIONAIRE No.26 (1998) FANTASY

これは、フランスのファッションブランド、Hermesとのコラボレーション。円形ボックスには参加アーティスト達による36枚のビジュアルシートが収められており、Hermes社のシルクスカーフと紙で作られたオリジナルマスクが附属しています。

円形ボックスの写真に写ったドレスはニコラ・ジェスキエールによるバレンシアガのもので、VISIONAIREと書かれたバナーはヴィクター&ロルフ、金色の手(陶器)はジェレミー・スコット、といずれも著名なデザイナーによるもの。

No.31 (2000) BLUE

VISIONAIRE No.31 (2000) BLUE

ジーンズのブランドとして有名なLevi’s(リーバイス)とのコラボレーション。大型のポスター25枚が収められたBOXを、なんとデニムジャケットで包んでいます。
このジャケットは実際に着用可能で、イタリア製。胸元には「VISIONAIRE 31 BLUE」と書かれた赤いタブ。四角い形に縫った赤い糸で封印されていて、糸を外すと中身が取り出せるようになっています。
ポスターはイネス・ヴァン・ラムスウィールド&ヴィノード・マタディン、リチャード・フィリップス、マート・アラス&マーカス・ピゴットなどにより撮影されており、アメリカ文化に焦点を当てています。

No.54 (2008) SPORT LACOSTE

VISIONAIRE No.54 (2008)  SPORT LACOSTE

この号は、フランスのアパレルブランド、LACOSTE(ラコステ)とのコラボレーション。アーティスト達の作品をポロシャツ全体にプリントし、ページに見立てて収納している。1セットに3名のアーティストが参加し、全部で4セット存在します。
当館で所蔵しているのはSet2。本のような形をした箱の中には、トーマス・デマンド、デヴィッド・バーン、イネス&ヴィノードのそれぞれの作品が印刷されたポロシャツ(それぞれS,M,Lのサイズ)が収納されています。

No.41 (2003) WORLD

VISIONAIRE No.41 (2003) WORLD

これは、ファッションブランドのGAPとのコラボレーション。同社によるオレンジ色のコーデュロイバッグの中に、53ヵ国120都市を写した写真集が収められている。一般人から著名なアーティストまで、世界各地から総勢150名の人々が参加。

「誰でもいいから、自分の住んでいる地域の生活の様子を写した写真を1枚投稿してほしい」という呼びかけをしたところ、数カ月のうちに何千枚もの写真が集まったそうで、そこから選ばれた作品がこの写真集に収められています。今のSNSのようなことを本でやっている訳ですが、この号が発行された2003年はちょうどSNSの黎明期。そういった時代の空気を反映しているのかもしれませんね。

さて、『VISIONAIRE』の展示、いかがだったでしょうか。既存の形式にとらわれない自由な発想で、見ているだけで楽しい気分にさせてくれたり、皆さんのインスピレーションを刺激してくれたりするものがあったのではないでしょうか。今後もこうした貴重書を展示してゆきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!

(おわり)


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