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マチネの終わりに感想ずらずら

※ネタバレあり

今回は最近読み終えた
平野啓一郎さんの”マチネの終わりに”
の感想をだらだら書きます。

本当に思いついたことをだらだらと書いていますので、
お時間のある方は読んでいってくださいね。


平野啓一郎さんの作品を読むのは
”ある男”以来2冊目です。

平野さんの印象は
とにかく作品に関わる知識がすごい。
かなり調べて勉強したんだなと
”ある男”でも”マチネの終わりに”でも思いました。

”マチネの終わりに”は
戦争や国際情勢、クラシックギターの
作中の記述があまりにも専門的で、
参考文献の量も協力をあおいだ人数もすごい。
ただただ尊敬です。

中身についてですが、
ここからはネタバレ含みますので
まだ読んでいなくてないようを知りたくない方は
ご注意ください。



まず、
前半と後半のギャップがすごい。

前半は洋子と蒔野のロマンスにわくわくどきどき、
後半は土砂降りからのくもり続き最後の最後に晴れ間、
といった感じでしょうか。

前半のオッいいじゃんお似合いだね惹かれ合ってるね~~という気持ちからの三谷の勝手にお別れメール事件…

まさかの展開に逆にちょっと笑えちゃうくらい衝撃でした。

しかもお互いが不調なタイミングで
なんとも謎に噛みあってしまうメール…


本当に愛する人がいながら
別の人と結婚して子供もできて、
そうなったら後戻りもできないのに
忘れることもできない!

よくぞここまで八方塞がりの状況がつくりあげられたもんかと。


洋子と蒔野は子供のことを思って
衝動的に恋に走らないところはかなり現実的。

特に薪野の、子供が
自分は両親が真に愛し合って生まれてきた存在である
と思えるように、という考えがなんとも…


ジャリーラのことにしても祖父江先生のことにしても、
あまりにも運命のいたずらすぎますね。

最後に
ではこうしておけばよかった
の模範解答は提示されていませんね。

2人とも子供のことは心から愛しているために、
こうならなければ我が子には出会っていなかったと。

かといって子供がいるために、
2人は再会することを恐れてしまう。

あのとききちんと会話をして、
三谷のメールであることが発覚していれば、
とは簡単にはならないわけですよね。

でもそのまま洋子と薪野が結婚していれば、
それぞれが別の子供をもつもう一つの現実のことも知らなかったわけで、その世界は非現実ということになるので公開する術もないですよね。

どの世界線も逆説的に他の現実を否定していて、
正解などないということでしょうか。


この本を読んで、
人生は選択の連続だなとつくづく思います。

薪野がよく口にしていた、
複数の世界線の話。

私たちは複数存在する世界線を
選択によって次々と乗り換えて今の現実にたどり着いているのですね。

ただ目の前に今の現実があるだけで、
それが正解か不正解か
その答えなど存在しないのでしょうね。


洋子がたびたび思い出す薪野の
過去は変えられる、という言葉。

こういった意味でも、
選択したことに正解なんてないんでしょうね。

前は不正解だと思っていたことでも、
今からでも正解にできるのですからね。


過去の事実は変わらなくても、
意味づけは今からでも変えられる。

あれはこのためにあったのか、
誤解していたけどそういう意味だったのか、
これは今ここで過去の出来事の意味が変わっていますね。

洋子も
父親に捨てられたという思い込みや、
自爆テロで自分だけが生き残ってしまったという思考
など辛い過去がありましたが、
やっと真相を知ったり、
ジュネーブでの今の仕事につながったりと
時間をかけてその意味を変えることができたのではないでしょうか。


なにか辛い過去をおもちの方がいらっしゃいましたら、
心が軽くなるヒントになったら幸いです。


読んだことがあるけどこんな解釈もあるのか、
と思った方は
ぜひもう一度はじめから読んで違う発見をしてみてください。



今回は、
本当にまとまりもなくだらだらと感想を書いてみました。

たまにはいいですかね。笑


本日もよき日をお過ごしください。



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