心がグチャグチャだと言って泣いた、あなたのこと
新年度になって、小5の娘と小3の息子はクラス替えがあった。
娘はいつもクラス替えの前は「ドキドキするけど、誰となれるか楽しみ!」といった感じだったのであまり心配していなかった。
問題は息子。「○○と同じクラスになれなかったら、しぬ。」とかなんとかブツブツ不穏な事をつぶやいている。おい、大丈夫か。しっかりしろ。
それでも「3年生は玄関の場所が変わる」とか「まぁ、きっと知ってるヤツ1人くらいいるよね…」とか「担任の先生は誰だろう」とか言っていて、不安の中に少し嬉しそうな部分もあるのが分かった。
「うん、今年のクラス替えは大丈夫そうだな!」
私はそう思っていた。
思っていた、のに。
新学期、新クラス発表当日の朝。
娘が珍しく「ああ、学校行きたくない。」と言った。
「えっ!珍しい!どうした?」と聞いたら「いや、べつに。やっぱ大丈夫。」と言われた。
娘の様子がおかしい。
完全にノーマークだった娘の様子が、いつもと違う…気がした。
思春期に片足を突っ込んでいる娘は、些細な事で不機嫌になる事が増えた。「大丈夫」と言われた手前、私は彼女が「行きたくない」と言った理由を掘り下げる事を躊躇した。本音を言えば、朝から娘とケンカしたくない。
息子は…いつも通り「行たくなーーい」と隣で少しだけ泣いた。
私は、できるだけ明るく「いってらっしゃい!」と、2人を見送った。
**********
娘と息子が登校して、末っ子(幼稚園はまだ春休み中)と家で過ごす間、私はソワソワが止まらなかった。
皿を洗いながらソワソワし、洗濯を干しながらソワソワした。末っ子に話しかけられてもふと、「あっ、今頃小学校では自己紹介してるかも…」なんて思いながらソワソワした。
私が緊張してどうする。しっかりしろ。
ガチャ!!っと玄関が開いた。
待ってましたッ!!
走って帰ってきたのか、汗びっしょりの息子は饒舌だった。
「○○とはクラス離れたけど、□□とは一緒だった!」「先生は、新しく来た先生!」「たのしかった!」
よ、よかった…!!
あとは娘の帰りを待つのみ。
しかし、待てども待てども帰ってこない。
まだか…まだなのか…?
ガチャ…っと玄関のドアが開いた。
待ってたよ!!情報カモン!!
「△△とはやっぱり離れたけど、☆☆がいた!」「✕✕(困った男子)と一緒だった!最悪!まぁ、いいんだけど。」「担任の先生が、よくしゃべる!笑い過ぎて疲れた~」「まぁまぁいいかんじ」
そ、そうか…!!
ああ、よかった。
朝はきっと、緊張して「行きたくない」って言ったんだ。
こうして私は安心して、また日常へ戻った。
**********
それから2週間ほど過ぎたが、娘も息子もクラスに不安はなさそうだ。
でも、娘はイライラする事が増えた。
怒った口調で弟にイライラをぶつけているのがわかる。
そしてある日、ずいぶんと理不尽な理由で弟に暴言を吐いた。
それは、私から見ても「あまりにも…」な理不尽さだったので、とうとう口を出してしまった。
「ちょっと、最近言い過ぎじゃないの。あまりにも、ひどすぎるよ。」
キッ!!っと娘がこちらを睨む。
みるみる目が赤くなる
「だって、だって…!」
「だって、何よ?!」
「だって!!」
ボロボロと涙が溢れる。
「だって」を繰り返しながら、日頃弟達に感じている不満をぶちまける。そして
「私にも分からないけど、いま心がグチャグチャなの!!グチャグチャで、どうしてもイライラしちゃうんだもん!!私だってどうしたらいいかわからないよ!!」
ああ。
これは、弟に怒っているだけじゃない。
娘の中にある不満全てに怒っているんだ。
完全な容量オーバーだ。長女気質でなかなか弱音を吐けない娘。そんなに負担がかかっていたとは…。私はこの事を重く受け止め、娘の話にさらに耳を傾ける。
「だって、私… “ シシュンキ “ だからぁ!!」
思春期。
そう、娘は、思春期。
私はよく娘に「思春期だねぇ」とか「大人になる証だねぇ」とか言ってきた。きたけども。
なぜだろう。娘自身の口から聞くと、何だか…
、、、かわいいな!!!ちくしょう!!!
正式に本人から、思春期宣言が行われた瞬間だった。
いやいやいや、娘は真剣だ。
真剣に、私に訴えてくれている。目をそらしてはいけない。ましてや可愛いだなんて、茶化してはいけない。
話を一通り聞きいた頃には、娘は泣き止んでいて、少し照れくさそうに笑っていた。
自分で「心がグチャグチャだ」と言葉にできた娘はすごいなぁと思った。
心が目に見えたらいいのにね。そうしたらもっと自分の事がわかるのに。
私の夢の中では、心は色々な形のパーツやたくさんの色で出来ていた。
「今日はあの形の部分」「今日はこの色」と、日々変わっているんだろう。
そんな風に変わる心に、振り回されてしまうのは当然の事かもしれない。
「自分の心は、今この形」
「今日はこの色だから、きっとがんばれる」
「この色に変わったら、思いっきり心を甘やかそう」
そんなふうに、客観的に心を眺められたら良いのに。そうしたら、少しだけ楽になれる気がするんだよね。
何にも解決してないけど、思春期、がんばろう。
【夢にハートが出てきた話】
【息子がこころ準備をする話】
おわり。
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