AIタレントと物語
しばらく前に話題になったCM
AIによるキャラクターが商品を紹介するというものだが、
見た目がリアルなので、実写との区別が付かなかった人も多かったらしい。
まあ、ゲームの世界とかだと、もう大分前からリアルとCGの違いはほとんど無くなってきているが。
さて、こんな時に話題になるのが、AIが人の仕事を奪うのではという話だ。
今までCMに出演していたタレントがAIタレントに取って代わられるのではないかという懸念。
確かに、AIタレントは不祥事とか起こさないから、炎上するようなことはまず考えられない。
安全性という意味ではリアルなタレントよりも上だろう。
だけど、僕は正直AIタレントというだけでは、それほど脅威ではないと思う。
なぜなら、AIタレントには「物語」が無いからだ。
企業がタレントを起用するのは、その人が人気だからだ。
ではなぜ人気かというと、そのタレントのキャラクターである。
そしてそのキャラクターとは、その人が今までやってきたことが積み重なった、今現在のことで、それはまさに「物語」だ。
人はその人がどういう人かという物語を見ているのである。
と言うことは、逆にAIタレントにも「物語」を用意すれば話は変わる。
先程の記事では、若い女性のキャラクターだったが、
「この娘は、小さい頃はこういう子供で、こういう夢を持っていて、こういう経験をして成長して、今こうなっています」
というようなストーリーを企業側が創ればいい。
リアルで親しみやすく、それでいてドラマチックで人々がのめり込みそうな物語がいいだろう。
物語を得たAIキャラクターは途端に厚みが増す。
さらに過去の物語だけでなく、未来の物語も今創れるのが強みだ。
このAIタレントに、5年後子供ができるという設定も追加することができる。
本来AIタレントだから必要ないはずの、産休や育休を取らせて、しばらくの間表に出さないことでリアル感を出すことも可能だ。
もし、自分が子供の頃に、同じ年齢という設定のAIタレントがいて、そのAIタレントはリアルタイムで一年に一つ歳を取っていくとする。
自分が20歳になればAIタレントも20歳、30歳になれば30歳、見た目もそれ相応に変わっていく。
たぶん親近感を感じると思う。
下手すると、現実の人間よりも身近に感じるかもしれない。
ここまで来ると、いよいよ人間のタレントは仕事を奪われるかもしれない。
しかもAIである。
つまり、ChatGTPみたいに、こちら側との会話すら可能だ。
僕が子供の頃、芸能人・タレントと言えば別世界の人だった。
それが、AKB48のような会いに行けるアイドルが登場し、個人でYouTubeチャンネルを開くタレントも出てきたりして、
芸能人・タレントとの距離は近くなった。
それがAIタレントになったらどうだろう。
企業のHPかどこか、用意された場所で、
こちらと自由に会話ができるようになるのだ。
今までの人間のタレントでは絶対にできない芸当である。
しかも、24時間365日場所を選ばずだ。
会いに行けるアイドルどころではない。
いつでも話せるアイドルみたいなものだ。
そうなったら、人は人間のタレントとAIタレントとどちらにより親近感を覚えるだろうか。
もちろん、AIタレントに人々の心を掴む物語が付随しているのが条件だ。
物語こそが人の心を掴む。
これからはますます物語が重要なテーマになってくる時代なのではないだろうか。
良いか悪いか、どちらにせよなかなか面白く、興味深い世界になりそうな感じがする。
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