人の言葉の裏を見るのは・・・
随分とのんびり屋の台風が日本を縦断中である。
子供の頃は、台風が近づいてくると、学校が休みになるかもと、少しワクワクしていたという人は多いのではないだろうか。
でも、大人になると、
電車止まるかな、道路混むかな、とか
主に通勤のことを考えてしまう人は多いだろう。
大雨が降ろうが、強風が吹こうが、頑張って仕事へ行く。
そして仕事場に到着して、上司から一言、
「こんな台風の中、出勤してきてえらいね」
労いの言葉だろうが、この言葉、この風潮に嫌悪感を持つ人がそれなりにいるらしい。
台風の中で、無理をしてでも出勤する人はえらい。
逆を言えば、出勤できない人はダメということになるのがよくないとのことだ。
確かに、無理をすることが偉いとか、普通のことになることは心身にとってよくないだろう。
ほんのわずかの無理であっても、積もり積もれば大きな負債になる。
リモートワークも一般化してきた昨今において、
旧態依然とした、根性論と言おうか、どんなことがあっても我慢して仕事をすることが素晴らしいという風潮は、新しい流れを阻害してしまう。
これからの時代は、人それぞれが自分に合った仕事のスタイルを見つけることで、なるべく無理をすることを減らしていったほうが、結果として、よいパフォーマンスを発揮できると思う。
と、ここまでそれっぽいことを言って進めてきたが、
ここで少し立ち止まって振り返ってみよう。
今回の例で挙げた、上司の台詞は
「こんな台風の中、出勤してきてえらいね」
だけである。
そう、これだけなのだ。
その後の、台風の中でも出勤できないやつはダメなんて一言も言っていないのだ。
つまり、ここまで話してきたことの大半の、その大元は単なる妄想なのだ。
人は、他人が、社会が、時代が、問題を自分に持ってきていると考えがちだが、
実際のところ、人が悩んでいる問題の多くは、自分で勝手に作り出した妄想なのだろう。
つまり、自分で自分を悩ませているにすぎない。
人の言葉は、ただそのままの意味で受け取っておけばいい。
その裏側にあるかもしれない意味を想像するのは勝手だが、
それによって自分が動揺して、苦しむようなことがあってはいけない。
自分で勝手に作り出した毒で、自分が弱くなっては笑い話にもならない。
他人の言葉や意見が、自分を悩ますのではない。
そのことについてあれやこれやと飛び交う自分の妄想が自分を悩ませているのだ。
そう思えば、むしろ対処は楽である。
他人の言葉や意見は、自分の好きに操ることはできないが、
自分の中の想像なら、自分で何とかすることができる。
自分を悩ますのが自分なら、自分を楽にするのも、やっぱり自分なのだ。
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