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【CS読書note】デザインのデザイン

 こんにちは、浜内たるぼです。

 最近本をたくさん買い込んだので、毎日色々読み進めています(๑•̀ㅂ•́)و✧

 今日読んでいたのは、「デザインのデザイン」。

どんな本?

 デザイン史を振り返りながら「デザインとは一体何なのか?」、そしてこれからのデザインの在り方について考察している本で、デザインの本質を探る"デザインについての哲学書"といった趣の内容です。

感想

 デザインそのものについて、わたしは「身の回りの物事をつぶさに観察し、その中から本質的な課題を見つけ、解決していくこと」と認識しました。

 本書の中では以下のように記載されていました。

耳を澄まし目を凝らして、生活の中から新しい問いを発見していく営みがデザインである。

 また、こんなことも書いてました。

 社会の多くの人々と共有できる問題を発見し、それを解決していくプロセスにデザインの本質がある。問題の発端を社会の側に置いているのでその計画やプロセスは誰もがそれを理解し、デザイナーと同じ視点でそれを辿ることができる。そのプロセスの中に、人類が共感できる価値観や精神性が生み出され、それを共有する中に感動が発生するというのがデザインの魅力なのだ。

 個人の自己表出を動機とするアートとは明確に異なり、社会に根ざした課題を引き出し解決していく事。これがデザインの本質なのだと感じました。

 これって、ビジネスそのものですよね。顧客の課題を見出し解決していく。それを広く社会に訴求し、より多くの価値提供を目指していくのはビジネスも同じ方向を向いています。
 つまり、デザイン思考はビジネス思考だなって思いました。
 カスタマーサクセスとしても顧客とのより良い関係を築く上で絶対重要な姿勢になると思うので、絶対に身につけたいなと思いました。

 そしてデザインが社会的な営みである以上、本書はビジネス関連のエピソードも盛りだくさんです。
 著者の原研哉氏が関わってきた『銀座松屋』のリブランディングや、ボードメンバーとして関わっている『無印良品』のコンセプトづくりから製品開発への落とし込み、山口の病院のサインづくりなど、社会との関わりにおけるデザインの重要性を実感するエピソードが盛り沢山です。

 特に、2005年の愛知万博のエピソード話は非常に興味深かったです。
 自然の中から社会を見つめることを志向していたコンセプトが行政や世論的に折り合いがつかずに頓挫し、山を開墾して会場を構築するなど真逆の方向性の「愛・地球博」になっていったというエピソードで、途中で辞任した筆者の無念さは想像を絶します。
 デザインと行政の相性の悪さを感じる話でもありましたが、同時に本質を自分の頭で考える大切さをひしひしと感じました。

 私達が仕事をする上でも、お客さんとのやり取りであったり、日頃の業務であったり、会社の方向性であったり、「なんとなく」捉えている事はないでしょうか。
 「なんとなく」をデザイン志向で脱却していくことで、よりよい日々につながっていくのではないかなと思いました。

 その他、地理的な日本の文化特性から考える美意識(文化のたまり場としての究極のシンプル、"ゼロ")や、情報のデザインの在り方についての考察(伝達の快適性など「情報の質」を上げていくのがデザイナーの役割)など、古びない本質的な論が展開されており、非常に興味深く読み進めることができました。

 ただ、特に冒頭など、言い回しが難解で理解に時間がかかる箇所が多く、本書で提言している内容からして「もう少し分かりやすくデザインできたのでは?」と思ったところはありました。
 私の不勉強によるところもありますが、人によっては結構歯ごたえのある読書体験になるかもしれません。
 読み進めると理解できる事も多かったので、本書においては「わからないところは一旦置いて先に進んでいく」という姿勢も必要かもしれません。

まとめ

 デザインそのものについて、また日本人やこれからの社会におけるデザインのあり方など広範囲に渡って思考を繰り広げているエキサイティングな内容の本でした。

 前述のとおり、実用書というよりは哲学書のような趣で、読み進めるのに時間が掛かりましたが、その分筆者の思考とともに過ごす時間が取れたのは貴重な時間だったように思います。

 2003年に刊行された本ですが、内容は全く古びておらず、むしろ時を経たことによって輝きを増しているように思います。一部現代の予言のようになっている箇所もあり、本質的な思考ってこういうことなんだな〜と思わされました。

 デザインってそもそも何?というところから本質的にデザインについて考えたい方にオススメです(・∀・)

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