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石徹白Life1722日目【作り手がごく僅かになった絶滅寸前のかんじきを遺し、復活させ、次世代へ手渡すためにプロジェクトが動き出しています】

名城大学 都市情報学部 准教授の田口さんが発案し、石徹白地区地域づくり協議会や住民有志が連携して少しずつ動き出しています。

石徹白地区のかんじきは、材料にクロモジを使い、先端が2段階に曲げられていることで、雪に埋まることなく歩けるように工夫されています。

今朝は2時間30分ほど、ここで生まれ育った上村敏治さん82歳に「かんじきを使った暮らし」を含め、様々なお話を4人で伺いました。


持参してくださった、麻で作られた「雪袴」ゆきばかまの美しさは、感動的でした。

人が生きていくうえで、どんな工夫をして、何を必要としてきたのかを目の当たりにしながら、実際にそれを生きている方のお話は深く深く理解が追い付かないほどでした。

たとえば「人間の運はわからない」と語る場面がありました。

「一生懸命にやっても、できないこともある。
楽をしてもできる、そういう運がいい時もある。」

そんなお話をされる表情には、運も不運もなく、
ただそこを生きてきた、肚を据えた潔さを感じました。


他に印象的だったお話は「皮かんじき」と呼ばれるものを干す場面です。

牛皮を紐にして作られたもので、壊れないように水に濡らしてから使用していたそうです。

冬に屋外で使えば、それは雪をまとうのは当然です。
使い終わったら、凍らせないように屋内に入れておいたそうですが、囲炉裏の上にあった火棚にはかけないという決まりがあったそうです。

かつては囲炉裏で煮炊きをしてきたわけで、そこは調理場でもありました。
その日、最初にできたご飯は「仏飯ぶっぱん」と呼んで、仏様に捧げたそうです。

そして次に老人たちに運んで食べてもらう。
子どもたちに回ってくれば良いほうだったと。

火棚に獣の皮でできたものをかけなかったのは、皮が割れたり乾燥しすぎるという懸念もあったようです。

しかし、聖なるものを扱う場所への畏敬であり、聖と俗、ハレとケを分ける風習、祈りがそこにあったようです。

「かんじき」という雪国で暮らすには欠かせない道具ではありますが、単なるモノではありません。
自然の営みに寄り添い、恵みをいただき、何世代にも渡って翻弄もされてきた「ヒト」という生き物の歩みを感じます。

物語とは、まさに物が語ることなのかもしれません。
人、もの、ことなど、身の回り、足元の囁きに、
しっかりと耳を澄ましていこうと思いました。

石徹白地区に古きものを保存・記録するだけではなく、
泊まって遊べる博物館を作りたいものです。

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