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【読書ノート】『プロセスエコノミー』

今回はこの本を読んでみました。

この本を読んだ目的

① 新しいサービスのローンチに向けた戦術のアイディアが欲しい
現在、本業において新しい事業の展開に向けて準備を進めています。ビジネスプロセス自体がかなり成熟した業界において、新しい業態でのサービスのローンチを考えているのですが、先行する企業はかなりの数に上り、当然ながらブランド力も高く且つ商品の販売網も整備されている中、限られたリソースの中で、どのようにして顧客の信頼を勝ち取り、独自の立ち位置を確保できるか、そのヒントがこの本にあるような気がしました。

②個人としてビジネスを進めていく上でのヒントが欲しい
今後将来的に、会社の看板に頼らず自分自身を商品として売り出していく上でのヒントがこの本の中にあるような気がしました。

なぜプロセスに価値が出るのか

①「役立つ」よりも「意味がある」に価値がある
物質的に「ないものがない」時代、商品が持つ「役に立つ」という価値自体での差別化は困難になってきている。消費においては、「欲を満たす」や「他人が欲しがるものが欲しい」よりも、自分らしい人生を生きる上で「意味がある」ものに対する価値が高くなってきている。

②「グローバル・ハイクオリティ」か「ローカル・ロークオリティ」か
インターネットの急激な発展に伴い、国家間の境界線は消失してきている。こうした世界では、サービスはあっという間に全世界的に展開されることになり、自ずと圧倒的な資本力を持つ企業によるグローバルでハイクオリティなものが選ばれるようになる。
一方で、インターネットの発達は人々に「コミュニティ」の構築と参加を容易にし、且つその規模を大きくした。こうしたコミュニティにおいては、グローバル・ハイクオリティの提供はできなくとも、「コミュニティ」そのものの価値がサービスを下支えし、ローカル・ロークオリティでもサービスが成り立つ世の中を可能にした。今後は「グローバル・ハイクオリティでノーコミュニティ層」と「ローカル・ロークオリティでコミュニティ層」の二極化が進んでいくと想定される。

③フィリップ・コトラーのマーケティング4.0

▶︎マーケティング1.0=製品中心のマーケティング→機能的価値訴求
▶︎マーケティング2.0=顧客志向のマーケティング→差異的価値訴求
▶︎マーケティング3.0=価値主導のマーケティング→参加価値訴求
▶︎マーケティング4.0=経験価値志向のマーケティング→共創価値訴求
マーケティング4.0における重要な視点は「すべてのサービスは自分が自分らしくなるためにある」
消費者は受動的な消費者に甘んじるのではなく、メーカーの活動に参加し社会変革に挑戦していく。

人がプロセスに共感するメカニズム

①「Self Us Now」「Me We Now」理論
バラク・オバマ元大統領の大統領選挙演説、堀江貴文さんの書籍執筆時の話。
この二つは人がプロセスに共感するメカニズムを捉えている。
・Me:自分の話をしてオーディエンスとの距離感を縮める
・We:共通点を見出して、連帯感を作る
・Now:自分のやりたいことを説明する

②重要なのは「利他の心」
プロセスエコノミーを回すエンジンは「利他の心」。
誰かを喜ばせるビジョンのもとに、みんなで助け合い協力し合って進んでいく。これは人間の本質的な欲求とも合致した合理的な仕組み。

プロセスエコノミーの実装

①「正解主義」から「修正主義」へ
変化の激しい時代においては「正解」の定義自体があっという間に変わっていくこともありうる。プロセスを公開し、反応を見ながら変えていく「修正主義」はこうした正解のない時代の歩き方である。

②Effectuation
Effectuationとは”Effectuate”(何かを引き起こす、目的や希望を達成する)の名詞型で、プロセスエコノミーを通じて何かを達成していく上で必要となる心構え。
Effectuationにおける5つのキーワード
a. Bird-in-hand(手の中にいる鳥)
最初からゴールを決めて選択肢を狭めるのではなく、手の内にある「楽しいこと」や「幸せだと思うこと」からスタートする。
b. Affordable Loss(許容範囲内の失敗)
小さく失敗を繰り返しながら、色々と勉強をしてゲームオーバーにならない範囲内でトライを繰り返し、新たなトライに繋がる未知なる発見をする。
c. Patchwork Quilt(パッチワークキルト)
その都度、柔軟に対応しながらコラボレーションをし新しいムーブメントを作り出す。
d. Lemonade(レモネード)
失敗の中に成功がある。偶然が味方し、予期せぬ成功にたどり着くことがある。
e. Pilot-in-the-plane(飛行機のパイロット)
プロジェクトの中心人物が楽しそうに操縦桿を握ることで、周りの仲間が思い切り楽しめる。

③情報をフルオープンにする
情報をオープンにして仲間を作り、プロセスを惜しみなく開示することで、結果として自分に情報が集まるようになる。また、こうした仲間は「セカンドクリエイター」として応援してくれる。これによりコミュニティは広がり続け情報が爆発する。

プロセスエコノミーの実践方法

①「Why」こそが重要
プロセスエコノミーの実践において重要なのは「Why」(なぜやるのか・哲学・こだわり)である。
なぜなら現代のような一億総発信者時代においては、人もモノもすぐに埋もれてしまい、そのリソースだけでは差別化が大変難しい。また、現代は最新の商品もすぐに真似されてより低価格で販売されてしまう時代。Whyを欠いた商品はすぐに価格競争に巻き込まれるリスクがある。一方「Why」は自分の生き方に拠るものであり、簡単には模倣することが困難。狭くとも「Why」を開示して深い支持を得ることこそが重要。

②「Why」の要素分解
a. マイクロインタレスト(自分ならではのこだわり)
b. コミットメント(やり切る責任感)
c. 弱さの自己開示(ちょっとした失敗)
このプロセスが、単に「この商品が好き」を超えて人間的な関係性を生み出す可能性をも秘めている。

③ジャングルクルーズ型とバーベキュー型
プロセス共有の二つの形態
ジャングルクルーズ型:夢を実現する冒険を共に味わうことに価値
バーベキュー型:多様な人が楽しく参加できる役割が沢山あることに価値

プロセスエコノミーの弊害

①プロセスエコノミーに潜む危険性
プロセスエコノミーは、プロセスそのものでマネタイズできる仕組みであるため、「Why」(なぜやるのか・哲学・こだわり)を見失ってしまう可能性がある。
また、応援者に応えようとして自分の「モノサシ」を見失い、プロセスの配信自体が目的と化してしまう危険性を孕んでいる。
だからこそ、現実を見つめ、プロセスに溺れることなく「夢」と「現実」の乖離を埋めていく努力は常に必要とされる。

プロセスエコノミーは私たちをどう変えるか

①こんまりさんの事例
「片付け」という、面倒くさいもの、後回しにしたいものをこんまりさんは「楽しいもの」と捉え、それに夢中になって、楽しいものとして表現した。それによって「片付けは楽しいモノ」という口コミ的な連鎖が広がっていた。これがまさにプロセスエコノミー。

②人生のEX化
EX:エンターテインメントトランスフォーメーション
課題解決の過程そのものをエンタメ化していくことにより、これまで関心を示さなかった層の色々な人達を巻き込んでいくことが可能になるのではないか。

方眼ノートを使って読書ノートをつけた

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