できる、できない
筋力を強化するには、「挙がるかも知れないけど、挙がらないかも知れない重さにチャレンジする」これがかつての主流の方法だった。
ベンチプレス70キロがマックスなら、次は71.25キロにトライする、というやり方。こうやって「できる」を増やしていく。
でも、別のアプローチもある。
「挙がるわけない重さのバーベルに挑み、なんとか必死に耐えながらも潰れる」
という方法だ。これをコンセントリック収縮という。
筋肉の長さが短くなり、筋力が発揮される。
ベンチプレス70キロがマックスなら、80キロとか、90キロをセットする。もちろんグシャッと潰れては危ないので、パートナーに補助してもらって行うのだけど。
挙がるわけないのは、わかっている。
でも「何とかしようとする」トレーニング法だ。
これをエキセントリック収縮という。
筋肉の長さは長くなり、筋力が発揮される。
面白いのは、エキセントリック収縮の方が
1)発揮される筋力も大きく
2)トレーニングとしても効果がある
ということだ。
できるちょっと先をやろうとするだけじゃなく、
できないに決まってることに向かうという強化がある。
相撲や格闘技なんかでも、自分より強い相手に向かっていって、どうにもならないのはわかっているんだけど、それでもなんとか食らいつく。
これをやるから強くなれる。
できないに向かう姿勢が人を強くする。
できるを「OK」とするだけではこの視点は得られない。
できないに向かうのを「OK」としたい。
僕らの身体はそんなことを教えてくれる。
そして医科学の発展による人間理解は、「なんとなくそうかな」と思っていたことに確信を与えてくれるのだ。
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