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実力発揮に最終的に必要なものは?

どんなに実力を持っていても、それが結果に反映されるかどうかというと

確実なことは言えないと思いませんか?

実際に、能力はものすごくあるのに活躍をできずに消えていってしまった人達は多く存在します。

僕自身の経験の中でも、自分より上手い選手たちが自分よりも早く辞めていってしまったり、

ときには同じフィールドに立って契約をかけて戦った時に、自分より能力の高い彼ではなく僕が選ばれたという経験もあります。

そういう選考会などでは、単純に能力値が高いということが決定打にならないことがあって、

それがチーム(組織)の求める能力であって初めて評価に値するというのはひとつ覚えておくべきだと思います。

今回、お話したいのはその能力を発揮するには何が必要なのかという事です。

ずばり、その答えを言うとメンタルだと僕は思います。

アルゼンチンで初めてプレーした際に、周りは各国の世代別代表選手たちばかりでした。

もちろん技術は素晴らしい。だけど、練習を重ねていくうちに少しずつ気付いたのは

正直、ある部分では彼らは卓越しているけれど、僕が全ての部分で負けているわけではないし、

なんならある部分においては自分の方が勝っている所もある。

しかし、実力発揮できている彼らとうまくいかない自分で決定的に違うのはなんだろうか。

そして、僕は人種差別というのも初めて経験して(黄色人種として)かなり辛い時間を過ごしていました。

サッカーをすれば、「日本人なんてサッカー出来るのか?」と言われました。

ものすごく悔しいし、見返してやりたいと思いました。
だけど、技術なんてその数日で大きく変わることなんて有り得ません。

だから僕は覚悟しました。

「よし、明日の練習試合でゴール決めてやるぞ」

そのためには積極的にプレーをして、ミスなんてもうどうでもいいからとにかく自分の全力を出し切ってみよう。

そんなふうに考えました。
どうせ差別もされているくらいだからダメだったらダメだし、マイナスからスタートしているくらいのイメージだから割り切ってしまおうと思った。

とにかく、自信を持って全てを尽くす。

そう決めて挑みました。



すると、1点決める事ができました。

そうすると、僕に対して差別的な発言をしていた選手も

「こいつ、今日めちゃくちゃ良いプレーしてたんだぜ!そんで、ゴールも決めやがった!!」

そこから一気に変わっていった。

だけど、技術がその一日で劇的に変わった訳ではない。むしろ同じだ。

決定的に変わったものは自信だ。

メンタルが大きく変わった。

そして、周りが変わった。

ここで僕は学んだ。

周りのことを変えることはできない。
だけど、コントロールする事ができない他人に対してではなく、自分が変わろうと努力することによって結果的に全てを変えてしまう事ができるということを。

昨日までは、活躍のできない日本人だったのが、その日を境に「ゴールを決めた日本人」に変わった。

僕がしたのは自分がとにかく全力を尽くす事だけだ。

そして、無理矢理でもいいから自分に自信を持って取り組んでみた。

「自分はできる!ゴールを決めるんだ!」
そんなことを何度も念仏のように唱えていた。

出来るかどうかなんてやってみなきゃわからないから、とにかく「できると思い込ませる」作業をした。

そしたら、出来てしまった。

つまり、技術は大きく変わらなくとも自分の気の持ちようを変える事(メンタルをポジティブに変える)によって

自分の持っているものを最大限に発揮する事ができる。

そして、そんな経験を練習から取り組んでみることにした。

そうすると、成功体験が重なっていく。

最初は無理矢理にも自分に植え付けた自信というのが、毎日の積み重ねによって習慣となった。

そして、その習慣が偽りの自信を確信へと変えた。

つまり、自信が確信へと変化していったのだ。

「出来ない」から出発して、「出来るかもしれない」という思い込みをしながら成功体験を重ねていく。

すると、「出来るかもしれない」ことが「できた」という経験によって裏付けられる。

出来たことを再びやればいいのだ。
自分はできると思ってプレーするだけで大きく変わる。


実力発揮をするのには最終的にはメンタルだと僕は学んだ。

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