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「ふるさと納税」は、新しい趣味との出会いの場だった。

先日、初めて「ふるさと納税」というものをやってみた。

ご存知の方も多いだろうが、ふるさと納税は日本全国の様々な地域自治体に寄付ができる制度で、寄付した金額分だけ翌年支払う所得税や住民税が少なくなる。つまり、来年払う税金を今年払っておける制度と言うわけだ。しかも、寄付する自治体を自分で選べるから、自分の出身地や昔住んでいた町などに寄付をして地域を応援することもできる。

そして、このふるさと納税の最大のメリットが、寄付した自治体からもらえる「返礼品」だ。返礼品には、地元で採れた野菜や肉などの商品のほかに、伝統工芸品や温泉地で使える割引券などもある。来年払う税金が安くなるので金銭的な負担は実質ゼロ。その上、返礼品まで貰えてしまうというわけだ。

参考:「さとふる」 ふるさと納税とは?

僕は「ふるさと納税」という言葉自体は知っていたのだが、その仕組みについてはよく知らなかった。これまではお金を払ったら美味しい肉とか野菜が買える、そんなただの通販のようなものだと勘違いしていたくらいだ。だが、ひょんなことからこの制度の詳しい仕組みを知った。

というのも、僕は今から数ヶ月前に会社を辞めていて、翌年からの税金が心配だったのだ。サラリーマンの時は毎月の給料から自動的に税金が引かれていた。だから税金なんてほとんど気にしたことがなかったのだが、会社に所属しない身となると支払う金額もその方法も変わってしまう。来年払う税金をできる限り減らしたかった僕にとって、このふるさと納税は目から鱗の制度だった。

僕は、早速ふるさと納税をやってみることにした。


最初は僕の出身地である千葉県の「酒々井町」に寄付をしようとしたのだが、残念ながら酒々井町ではふるさと納税を実施していなかった。そのため、僕は隣の「佐倉市」に寄付することにした。佐倉市には僕が通っていた高校があり、思い入れも深かったからちょうど良かった。

返礼品は、地元で採れた新鮮な野菜と地元の酒蔵で作った日本酒だ。その土地で作られた「地のもの」がもらえるのは、非常にありがたい。

特にそれ以外は縁のある地域が無かったので、後は返礼品目当てで寄付をした。もちろん、何かをもらうために寄付をするのも一つの楽しみ方なので、返礼品目当てで寄付すること自体は全く問題ない。

僕はウイスキーが欲しかったので山梨県のとある市に寄付をした。後はそのおつまみとして美味しいハムやベーコンが食べたかったので、鳥取県のある市にも寄付をした。

返礼品はかなり種類が多く、肉や魚、野菜などの食品はもちろん、スイーツやその地域にある施設の利用券などもある。ふるさと納税ができるサイトやアプリを見てみると、あまりにたくさんの返礼品があるのでなかなか選べないほどだ。

返礼品の中には少し変わったものもある。僕が特に驚いたのは、「オリーブの苗」だ。これはオリーブの産地として有名な香川県の「小豆島」の返礼品で、小豆島で育てられたオリーブの苗が2種類入ったセットだ。日のよく当たる場所で育てればオリーブの実がなるらしく、かなり興味深かった。

実がならずとも、室内の日当たりが良い場所に置いて観葉植物として育てても良いだろう。植物なんて普段買う機会が無かったから、僕はすっかり気に入ってしまって、オリーブの苗ももらうことにした。

このオリーブの他に、「桜の盆栽」もあったのでその地域にも寄付をした。桜の盆栽はしっかり世話をすれば春には花を咲かせるという。まさか27歳で盆栽に手を出すとは思いもしなかったが、新たな趣味に出会えたのはふるさと納税のメリットの一つだったとも思う。


さて、ふるさと納税をしてから、我が家には次々に返礼品が届いた。「次は何が届くんだろう」とワクワクしながら待つのは、なかなか楽しいものだ。

最初は野菜が届いた。千葉県佐倉市の畑で育った10種類の季節野菜だ。その野菜はサラダや野菜のグリル、鍋にして美味しくいただいた。

日本酒も3種類届いたので飲み比べを楽しむことができた。3本のうち一本が「原酒」だったのもなかなか嬉しいポイントだ。

それからハムやウイスキーが届き、日々の晩酌がかなりグレードアップした。これ以降、ウイスキーを飲む頻度が急増し、今では数種類のウイスキーを常備するようになってしまった。

オリーブは二本ともベランダで育てることにした。東京の自宅でオリーブが栽培できるのはかなり楽しい。

このオリーブが自宅に来たことで、僕はベランダで野菜を育てるのが趣味になってしまった。今ではサラダ菜やラディッシュなんかを育てていて、毎日の成長を確認するのが日課になっている。

ふるさと納税は僕にとってかなり良い制度だった。

実質的な負担額ゼロで返礼品がもらえるのだから、ほとんどの人にとっては良い制度だとは思う。だがその一方で、一時的に数万円の出費が発生するし、手続きに多少手間もかか。だから、人によっては負担に感じてしまうだろう。

だが、様々な地域の特産品を楽しめたり、新しい趣味のきっかけになることもあるから、僕自身はやって良かったと思っている。

ふるさと納税のサイトやアプリを見ていると、日本全国でパワーに溢れた自治体がたくさんあることに気がつく。僕の主観的なイメージでしかないが、自治体というものは自分たちのPRはかなり苦手で、変化を嫌うような性質があると思っていた。だから、ふるさと納税という制度が施行されても、返礼品の準備や手続きが面倒で、結局挑戦しない自治体が多いと思っていた。

ところが、かなりの数の自治体が自分達の地域を盛り上げるため(そして、地域の財政のため)に頑張っているようで驚いた。もちろん、全ての自治体がふるさと納税を実施しているわけではない。だが、地元の食材や地元企業の商品を返礼品に設定して、何とか地域を盛り上げようとしている自治体は想像していたよりも遥かに多かった。

おそらくふるさと納税を始めるとなればそれなりに自治体側も大変だと思うのだが、それでも数多くの自治体が挑戦していることには感心する。利用者側としても、これまで知らなかった地域の特産品を知って実際に楽しむことができるのは嬉しいものだ。


今これを読んでいる皆さんもまだ「ふるさと納税」に挑戦したことがなければ、ぜひ試してみてほしい。自分が縁を感じる地域に寄付しても良いし、「カニ食べたいからここに寄付しよう!!」という感じで特産品目当てで寄付しても良い。

特に、これまで出会ったことのないものに寄付するのが一番良いと思う。食べ物でも植物でも、ふるさと納税を新しい出会いの機会として活用すれば、きっと自分の趣味を増やすことにつながるはずだ。

実際に僕は、ふるさと納税によって来年払う税金を数万円分減らし、ふるさと納税アプリで数千円分のポイントを獲得し、さらに返礼品までゲットした。お金の面だけで見ればかなりのプラスだし、自分のお金が地元に還元されたことで精神的にも満足できた。

僕はおそらく来年も「ふるさと納税」をすることだろう。来年は肉か、野菜か、魚か、それとも温泉旅行券でももらおうか。

どちらかというと「ふるさとを応援する」気持ちよりも、「返礼品で得をしたい」気持ちの方が強い。そんな庶民的な自分の姿に、苦笑いをしてしまう。

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