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学習者に影響を与える授業外の諸要因

2022年度後期、3年生の「英語科教育法IV」は『外国語学習者エンゲージメント』(サラ・マーサー、ゾルタン・ドルニェイ著 / 鈴木章能、和田玲 著)を教科書として、基本的に2週をかけて1章分を読んでいく。(第1章のみ1週)

第1回は第1章「学習者エンゲージメントを取り巻くもの」を私が報告担当を務めて議論した。

家庭と学習者エンゲージメント

今回は特に「原則3 家庭は学習者エンゲージメントの貴重なリソースである」の話題が盛り上がりを見せた。

この分類が妥当だったか分からないが、家庭で生活を支えてくれた保護者が自分の学業に対して「積極的だったか消極的だったか」そして「支援的だったか強制的だったか」の2軸で学生に自分の保護者の態度を振り返ってみてもらった。
このメンバーにはいなかったが、保護者が極度に「消極的」であったり「強制的」であったりする場合、その子の学校での姿はどんな風になるか。
「教育格差」の話もそうだが、こういうバックグラウンドへの想像力がないと、自分の教室で学習に向かえていない生徒がいた時にその子のことを「やる気がない」「ダメなやつだ」みたいに評価を下してしまう。
その問題にどこまでアプローチできるかというのは一人の英語教師としての役割を超えた話にもなるが。

あなたの学業に対する保護者の態度は?

学生の振り返り

今期は毎回一人の学生が授業の振り返りを書く。
前期の教育法のnoteを書き続けた結果、ありがたいことに「学生さん視点の振り返りとかも興味あります」という声をもらったので、学生に許可を得て、その振り返りをこのnoteで共有させてもらう。

学習者エンゲージメントを取り巻くものとして、教室や学校を超えた国や地域の文化があげられる。また、学習者エンゲージメントを促進させるために教師だけでなく、学習者の家庭や保護者などの教室の外からの支えによって力を得ることができる。その反面で、教師の手に負えない外的な要因も生じている場合がある。この点に関して、自分の想像していた以上に広範囲に言語学習に関与していることに驚いたし、納得した。実際、私が学習塾でアルバイトをしている際も同様に、教室を超えた保護者の支えを強く感じる。生徒によって家庭環境が違うように、家庭は学習環境を育むこともある一方で、学習への期待が低く支持的でないこともあることから生徒の背景を知ることが大切であると感じた。
また、講義中心の授業は完全に悪いとは言えない。生徒のモチベーションが下がりやすく退屈に感じる事実はある。学習の必要性を訴えることはできるかもしれないけれど、「テストの為の授業」だと生徒のモチベーションが下がりやすく退屈に感じる事実はある。教え方はもちろんのこと、もっと興味を引くようなトピックを持ってきたりして生徒を引きつける工夫を凝らすように内容にももっとフォーカスを置きたい。
今回特に私は、教室内での言語学習を教室外の生活に結びつける点に関心を持った。インターネット等で触れる英語の方が表現が実践的で、より本物らしく感じることに関し、〇〇くんの事前コメントにもあったように、学校で習った英語が価値の低いものではないと感じた。学校で習った英語での学びがベースとなって初めて本物の英語と感じるといったコメントに納得した。また、前期の模擬授業のように身近なものを取り扱うことも大切であると感じるが、日常のシチュエーションになるべく近づけたものを提示することやもっと工夫ができると感じた。英語以外の情報(写真等)を使うなど工夫できると思う。私が中高生の時は、あまり身近で本物らしい英語に触れる機会は少なかったし、「交流課題」のような学校を超えた活動をした記憶がない為、少し想像がつかなかった。

上記、学生の振り返りにあるように、学習者は授業外にインターネット等で触れられる英語をより本物らしく(オーセンティックに)感じ、その反動で学校の英語の授業で触れる英語を軽視するような態度になることもある。
また英語の先生自信もインターネット上のリソースを上手く活用しながら「生きた英語」を聞かせたり読ませたりすることもある。それ自体は何も悪いことではないのだが、オーセンティックであればあるほど学習者のレベルに合わせた教材としての利用は難しくなる。

「学校で習った英語での学びがベースとなって初めて本物の英語と感じる」

という学生のコメントは重要な示唆だ。

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