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USJをV字回復させたアイデアの出し方

今日は、あのテーマパークで有名なUSJ(ユニバーサルスタジオジャパン)の経営を危機的状況から、救ったマーケターの森岡 毅さんの本『USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?』の一部を紹介します。

こちらの本は、もちろん現代に使える経営思考本で、かつこれから先何年も経営者やビジネスマンとして自身の会社が危機的状況に陥ったときにも使える、森岡さん流の考え方や、危機を乗り越えるようなアイデアの出し方について書かれた一冊となっています。

では、その考え方、アイデアの出し方を見ていきましょう。

リスクが取れない日本人?

実は森岡さんは、ヘッドハンティングでUSJに入社しています。

当時、優秀なマーケターを探していたUSJのCEOグレン・ガンペルによって森岡さんはUSJで経営改革する機会をもらいました。

その最初の面談で、グレンは森岡さんに質問します。

日本人はどうしてリスクを恐れて何も変化を起こさないのだと思いますか?

これに対して森岡さんの答えは

その多くは変化を起こす必要性を理解していないからです。

もちろん積極的にリスクを、取りにいく日本人も一定数いることは、私も知っています。

ここでは、どれだけ優れたアイデアを思いついたとしても、そこにはリスクがつきものです。そのリスクが取れなければ、そのアイデアは存在しないに等しいのです。

本書では、森岡さんが考案したUSJの経営を立て直す『3段ロケット構想』を実行します。詳細は割合しますが、3つのプロジェクト(アイデア)を一つずつ実行していき最終的には、あの有名なハリーポッターを実現させるための構想です。

そして、その3つのプロジェクトには、どれもリスクが伴い場合によっては限られたお金の中で実行することや、お金をかけずに実行するなど、頭をフル回転させないと思いつかないようなアイデアばかりです。

アイデアを考えることは重要です。しかし、考えることばかりに時間を使うのではなく、それを実行できる(リスクが取れる)器を身に付けることが前提条件です!

既存の思考の境界線を超える

USJ最盛期で、1100万人の集客があったのですが、森岡さんが入社した当初は700〜800万人にまで落ち込んでいました。

そこで森岡さんは、USJは『映画』を題材にしたアトラクションが多く、年齢層も大人向けが多いことに問題があることに焦点を当てます。

そこで、『映画』依存から脱却してファミリー層やお年寄り、子供でも身長制限のないアトラクションを追加することで、集客率の改善に成功します。

森岡さんは、このことについて本書で以下のように言っています。

世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップへの脱皮をさせる

この言葉から分かるように、この後USJではワンピースモンスターハンターなどの、アニメやゲームで絶対的な知名度がある物を使用して、集客を改善して、セレクトショップへの道に進んでいきます。

現在私は、簡単にUSJの映画依存からの脱却について書いていますが、本書には既存の役員から社員までを納得させるのに、非常に苦労している森岡さんの一面も紹介されています

決まった枠にとらわれない考え方は重要ですが、決まった枠にとらわれている人を納得させることはもっと大変です。

森岡流アイデアの出し方

これまでは、リスクを取ることと、人を納得させることの重要性について書いてきました。

ここからは、ピンチをチャンスに変えるアイデアの生み出し方です。

森岡さんは自身でアイデアを生み出すノウハウを、シンプルに以下のフレームワークにまとめます。

イノベーションフレームワーク
1、フレームワーク
2、リアプライ
3、ストック
4、コミットメント

フレームワーク
何を考えれば良いか、わかっている状態のこと。
これは、もし目標が無い状態で考えても時間の無駄なので、目的を明確にすることが重要です。
宝のありかをボヤッとでもわかっている方が、その周辺を探すことができます。しかし、何も分からずに広大な大地を探し回るのは膨大な体力と時間を消耗してしまいます。
まずは目的、目標を明確にします。

リアプライ
フレームワークで目的が明確になれば、その目的の達成の道のりを全てオリジナルの方法を考え抜くのではなく、同じような目的を既に達成した人の本や、体験などをインターネットなどから引っ張り出しましょう。
森岡さんは、何でもゼロから始めたがるのは日本人の悪いクセだと言っています。

自分自身で考えて作っていきたい!と願う気持ちは分からなくはないですが、私に言わせればそれは取るに足らない『個人のエゴ』です。

ストック
リアプライを日頃から行うことによって、自身のアイデアに対する意識レベルや、アンテナの張り方が劇的に変化していきます。
そこで日頃から集めたリアプライをストックしていきます。
そうすることで必ず良いアイデアが生まれる確率が高くなると森岡さんは断言します。

コミットメント
コミットメントは上記の3つについてどれだけ真剣に考えられるかです。
いわば精神論です。
寝ても起きても目的を達成することで頭がいっぱいになり自然とそのことについて考えてしまうような状態です。
森岡さんは、USJのジェットコースター(ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド)が後ろ向きに走るアイデアを思いついたのは、冗談のような話ですが『夢』で見たようです。
それを『夢』で見た瞬間、飛び跳ねて起きて紙とペンで書き下ろしたそうです。

考えつくまで考え抜く
淡白な人に『確率の神様』は微笑んでくれない

寝ても覚めても、そのことが頭から離れなくなるような体験はありますか?

最後に

現在のコロナ禍でピンチに陥っている企業は非常に多いと思います。

しかし、森岡さんのように諦めずに考えつくまで考え抜くを、愚直に実行して一つでも多くの会社や個人が生き残れることが非常に重要です。

この本は2014年出版と月日が経っていますが現在の私たちにも十分通用する考え方です。

気になる人は是非読んでみてください。


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