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日常をベトナムに移してみる vol.4 仕事

3日目の朝。どこかでササっと朝食をとろうと、宿を出た。

お、涼しい。というか肌寒い。
天気予報を見ると、昨日までの猛暑は今日から少しおさまるらしい。

宿から歩いて2分ほどのところにカフェがあった。あったかいものが飲みたい。
早速ホットのベトナムコーヒーと、一緒にアップルパイを注文。せっかくなのでベトナムらしく外の席で食べることにした。

ベトナムコーヒーって結構苦いんだな。ここだけかもしれないが、結構濃い。
一緒にもらった水で薄めてみたら、いい感じの濃さで飲みやすくなった。ただ、ホットコーヒーが、ウォームコーヒーくらいになってしまった。

宿に戻り、PCを開いて仕事開始。

GWといえど、2024年は間に3日間の平日を挟むので、世間は普通に動いている。
休みにしたところで、じゃんじゃん連絡がきてしまうので、いつも通り仕事をすることにしていた。日常を過ごすが、体だけはベトナムにいる感じだ。

午前中は急ぎの資料をもくもくと制作。
午後からは打ち合わせが2本入っていた。

打ち合わせでは、スマホのテザリングの回線で臨もうと思っていたが、どうも繋がったり繋がらなかったりで調子が悪かった。なのでホテルのwi-fiを使うことに。
公共wi-fiは傍受など心配なので、念の為vpnを契約していた。たぶんこれでセキュリティ上は安全だろう。

打ち合わせ中、私が喋っていると「なんか固まっているよ。」と言われた。
ダウンロード速度は問題ないけど、アップロード速度が異様に遅い。仕方がないのでカメラオフにすると問題なく会話が続けられた。

その他は特に困ることはなく、いつも通り仕事ができていた。ただ、同僚と通話していたときに、こう言われた。

「なんかtakuyaさん、slackで『タイムゾーンが違う場所にいます』みたいな表示がでてますよ笑」

なるほど、時差がある場所にいる人にはそんな表示が出るのか。
私はベトナムで仕事をするとみんなに言っていたので問題ないが、もしこっそり海外で仕事しようとしている方がいたら要注意である。slackでバレます。調べると設定変更で、その表示をなしにできるらしいのでお忘れなく。

夕方になり、ひとまず今日の打ち合わせが全て完了。
近くの中華屋で昼食をとり、そのついでで、場所を移して、カフェで仕事の続きをすることに。

結構集中でき、気づけば20時過ぎになっていた。晩御飯を食べに行こう。
お目当てはフォーティンという、フォーの有名店だ。

フォーティンは吉祥寺にもあって、何回か行ったことがあるのだが、本場はどんな感じなのか気になっていた。

店に入ると、コンクリートで囲まれた空間にとりあえず蛍光灯だけ付けましたといった感じの雑然とした場所で食事を提供してた。
店内を時おりバイクが通過するので、建物の間の通路なのだと思う。

席につくと、なにも注文することもなく、自動的にフォーができきた。
吉祥寺では1000円ほどするフォーが、ここでは300円台で食べられた。そして肉の量が吉祥寺の倍かそれ以上あった。
味はハノイの方が濃厚かもしれないが、吉祥寺の味を正確に思い出せないので、同じ味だっかもしれない。とにかくうまいことは間違いなかった。

ふー、満足満足である。
少し散歩して帰ろう。
しばらく歩いているとある看板が目についた。お、これは。

「ビアホイ60円」

さっそくいただく。結構いたるところでビアホイ飲めるんだな。

仕事終わりにプチ観光できるのがワーケーションのいいところだ。
一緒に注文したトマトとパイナップルのスープは、ほどよい塩味で胃に優しいテイスト。1日の疲れを癒してくれた。

ボアホイ飲みながら、ボーッと周りを眺めていると、あることが気になった。

ベトナムの看板はやたら文字が多い。多いというか、文字が主役。
写真もあるけど、文字、特にサンセリフ体(日本語でいうゴシック体)だけで構成されていて、これがベトナムらしい景観を作る要素の一つなのだと思った。

イラストなど入れてもよさそうなものだが

ベトナムだけでなく、中国っぽい、フランスっぽいグラフィックもある。その国らしいトンマナに気づいた瞬間というのはおもしろい。

いつかベトナム関係のものを作る機会があったら、このトンマナで作ってみたい。(早速今回の旅行記のサムネイル画像で試してみた。)

いい感じの気づきと、いい感じの酔い。
満たされた気持ちで宿に帰り、就寝。

4日目は朝一で打ち合わせがあったが、他は集中して作業ができる日だったので、多くの時間をカフェで過ごした。

ハノイはバイクの音や、謎の放送?的な大音量の人の声がひっきりなしに聞こえ、聴覚的には疲れてくる。
が、見渡すとヨーロッパ調の建物や美しい植物が生い茂り、視覚的にはとても美しく癒される。
そのせめぎ合いで結果ゼロになるかといえば、そんなこともなく、私としては聴覚的な特徴が強く感じられ、長く街にいると疲れてくる気がした。

宿近くにカフェにて。

仕事が終わると辺りは暗くなっていた。
夕食をとり、その後カフェで休憩することに。

カフェ2階の、屋根はあるが、外と繋がっている空間で休憩していると、だんだんと豪雨になってきた。

ゴーー!!と台風のように強く地面を叩きつける雨の音と、夜になるといたるところから聞こえる爆音のクラブミュージック。天候のことなど気にとめることもなく、カフェで談笑している地元の方々や欧米の旅行者の姿を目の前に、とてもリアルなハノイに身を置いている気がした。


5日目、昨日まで集中してずっとデザイン作成をしていたため、疲れもあり、ホテルで作業をすることにした。

昼は近くにあるサークルKで、適当に食事を買って、宿の部屋で食べた。日本で仕事しているのと変わらない感じだ。
海外にいれど、だんだんと自分に染み付いた日常感が顔をだしてくるのかもしれない。

GW明けにwebデザイン案を2つ提案することになっていた。今日で仕上げてしまいたかったが、終わらなかった。
デザイン作業は時間をかければ必ず終わるものであればいいけれど、どうも悩んでしまっていつも想定の3倍はかかる気がしている。

当初は今日の夜から寝台列車に乗って、サパの方に向かおうかと考えていたが、疲れもあり、今日はゆっくり休むことにしたい。

宿のフロントに降り、スタッフのトムに言った。

「今日チェックアウトの予定だったけど、もう1泊してもいい?」
「オッケーオッケー!明日はなにするの?」
トムはいつもごきげんな笑顔で会話してくれる。

「明日のことは決めてないけど、サパに向かおうかと思っているよ。本当は今晩向かおうかと思っていたんだけど。」
「サパかー。ニンビンはどう?」
「ニンビン?」
「ニンビン。サパに似て自然がきれいでおすすめだよ!電車で2時間で行けちゃうからね。」
トムは写真を見せながら、ニンビンの説明をしてくれた。

なるほど、確かに田園地帯と山々が連なる景色は、ハノイとは全く違った自然豊かな雰囲気で良さそうだ。
2時間で行けるというのもいいな。サパは6時間かかるし。。疲労もあり、気軽に行けるニンビンに心が傾き始めた。

トムは言う。
「ニンビンはいいよー!ニンビン、ニンビン!」
ニンビン推しのトムであった。

「ニンビンよさそうだね。ちょっと考えるよ。」
手軽さからニンビン行きにしようかと思うようになってきた。今日はひとまず寝て、明日電車や宿を手配しよう。


↓つづき

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