【Slack公開】AI医療スタートアップの新型コロナ禍第1波対応の"リアル"
こんにちは。Ubie Discovery(AI問診ユビー/AI受診相談ユビー)でBizDevをしている篠原です。
現在もなお全世界で猛威をふるっている新型コロナウィルス。
医療スタートアップとして予測できない不確実性にどう向き合っていったのか、第1波が到来した2020年3~5月の状況を振り返り(さらけ出し)ながらその"リアル"を共有したいと思います。
まず本題に入る前に、第一波がきて感染者数が急増した際のグラフを紹介します。
【出典】新型コロナウイルス国内感染の状況 / 制作:荻原 和樹(東洋経済オンライン編集部)内のスクリーンショット
こちらは社内 Slack の『コロナ』に関連するコメント数推移です。
相関していることは明らかです。
当時のSlackのスクショを拾いながら振り返ってみます。
1. 【絶望期】「2月半ばがコロナのピークぽい!」という楽観視からの悪夢
2月に過去最高受注数を記録しノリにのっていた僕たちは、
恥ずかしながら新型コロナウィルスが国内で流行しはじめた頃は楽観視していました。
しかし次第に暗雲が立ち込めてきます、、、
今思うと、医療機関が大変な状況だったにも関わらず事態に気づくのが遅過ぎたのかもしれません。(定性だけでなく定量的なサインで察知できたはず)
・ 営業活動が停滞(IS→FSのパスアップ率が低下)
・ 各種キャンペーンを実施し営業の巻き返しを図るも撃沈
・ カスタマーサクセスの立ち上げ活動も停滞
3月後半につれて感染者数はどんどん拡大していき、緊急事態宣言に向けた法律改正もされました。
実際に医療機関には様々な問題が生じ始めていました。
・ 止まらない院内感染
・ 外来停止に追い込まれ収益も悪化
・ 発熱の救急患者が病院をたらい回しにされる
2. 【顧客の叫び】看護師Aさん「大事な家族もいる。怖くて眠れない。」
そんな中、地域の中枢病院で、コロナ禍でも発熱患者を受け入れてるユーザー病院に訪問しました。
実際に現場の方々にお話を伺うと、
・ いつどこから感染者が来院するのかが分からない
・ 終わりの見えない感染対策
・ 過度な受診控えや問い合わせの殺到による事務負荷増
そのような中で、ある看護師さんからこぼれた一言が今でも脳裏にやきついています。
「うちには大事な家族もいる。怖くて眠れない。」
想像をはるかに超えるひっ迫した状況を痛感しました。
実際に日本看護協会は2020年12月22日、新型コロナウイルス感染拡大に伴う労働環境の変化や感染リスクなどを理由に、看護師や准看護師の離職があった病院が15.4%に上ったとする調査結果を公表されました。
さらに驚くことに感染症の指定医療機関や受け入れ協力医療機関などに絞ると、21.3%に跳ね上がったといいます。
出典:日経新聞「15%の病院で看護師離職、日本看護協会調査」
3. 【始動】顧客に応えるべく全メンバーが新価値創出にフォーカス
差し迫る状況の中、コロナの対策機能を開発してほしいとユーザーからの声が続々と集まってきました。
そして医師を中心に社内からも声が集まりはじめ、本格的な開発検討がスタートしていきます。
OKRも修正し、新価値創出に全社でフォーカス!
大変な状況の中でも10を超えるユーザー病院がサウンディングにご協力いただき、解消すべき課題が徐々に明確になってきました。
カスタマージャーニーマップに沿って課題を3つに分類しそれぞれの打ち手を立案しました。
しかしながらその間にもコロナの波は拡がり、遂にはユーザー病院にまで及ぶことになります。
そして緊急事態宣言が発出された4月7日。
既に多くの医療機関が外来停止まで追い込まれていました。
そんな時でも頼もしすぎるのがUbieのエンジニア!なんとたった3日でリリースをする算段をつけてくれました。
Bizのメンバーも恥を捨てて普段苦手とするデザインに挑むメンバーや、
それを支えるメンバーも。
医師やエンジニア、Bizだけでなく、バックオフィスまで全員が一丸となって新機能の開発にフォーカス。
その結果、検討開始から10日と経たず4月8日に1つ目の機能がリリースされました!
重めの開発を進める前には、PoC病院を対象に資料を用いてコンセプト検証をクイックに進めることで不確実性を軽減していきます。
仮説通り、打診した病院の8割は導入意向を示してくれました。
コンセプト段階ではありますが確かな手応えを得た上で開発を進め、いよいよ顧客にサービスを届けていきます。
MVPによる検証の結果、資料提案時では気づけなかったプロダクト的課題や導入オペレーションの課題が見えてきます。
それらを1つ1つ解消していくことで遂にユーザー病院が効果を実感をしてくれるように…!この瞬間が堪らない…!!
4. 【最短展開】顧客に届けるべく全員参加型のPR
新規病院も含めた全展開を開始していきます。
いつでもどこでもAIによる受診相談ができる一般生活者向けのプロダクトも当初の予定から3ヶ月も前倒してリリースされました。
UX設計や仮説検証プロセスはデザイナーの畠やPOの松村が別記事で紹介してくれています。
・『「分断」された医療をつなぎ直すデザイン』
・『認識違いの事例から考える、プロダクト開発における「不確実性」の意味と潰し方』
医療機関向けのサービスもプレスリリースを実施。
その結果、コロナ禍で資金調達への不安もあった中、無事に20億の資金調達を実施することができました。
NHKおはよう日本さんやnews zero さんでも放送していただきました。
リモートで繋ぎながらみんなで放送を観戦していたのですが、落合さんや有働アナから素敵なコメントをいただいた際は感無量でした…!
どんなに良いプロダクトを開発しても顧客に認知されなければ意味がありません。
開発と併行してPRチームを中心に全員が一丸となることで、検討から約1ヶ月で事例作成からプレスリリース・PRまで進めていくことができました。
医師やエンジニアをはじめ、BizDev、デザイナー、機械学習エンジニア、組織開発に至る全職種が、時には原稿を囲みフィードバックを重ね、一人ひとりが自分ごととしてPRを推進していきました。
これも緻密な戦略に加えて日頃からPR文化を浸透させてきたPRチームの支えがあったからこそです。
『仲間づくり」を加速させる全員参加型PR』
嬉しいことに事業やその想いに共感してくれた新しい仲間も続々と集まってくれました。
5. 【まとめ】振り返りと2021年
誰もが予想できなかったこの新型コロナ禍において、
もう一歩出だしが遅れていたら?
各チームごとにバラバラに動いていたとしたら?
僕たちはもっと大きな代償を払っていたことでしょう。
乗り越えたとは決して言えない状況が続きますが、それでも全メンバーが一丸となって顧客価値にフォーカスした結果、Ubieらしさを象徴するようなDevelopmentができました。
開発した新機能も今では60以上の医療機関にご利用いただいております。また海老名市では海老名市医師会や海老名総合病院と一緒に地域医療圏でのニューノーマルな「医療のかかり方」の実現に向けて、AI受診相談システムの提供が開始されました。
全員参加型のPRの結果についても、過去最大のメディア掲載数を記録しました。
総じて、2020年はこれまでになく非常に濃い1年となりました。
最後に所感を1つあげるとすれば、
「絵に描いて終わりではなく、餅をついて届ける側でありたい」なと。
自分一人だとしたら悲観するだけの傍観者でしかなかったかと思います。
綺麗事かもですが、「困っている人を助けたい。」「大切な人たちを守りたい」という想いに、Ubieのメンバーとなら向き合い、そして形にできる可能性を強く実感しました。
では、2021年はどうするのか?
現在、新型コロナウィルスの猛威により医療現場はより一層深刻さを増し、それに伴い医療従事者の方々への負担もかつてないほど大きくなり予断を許さない状況です。
今後も新型コロナ対策機能の更なる改良を進めていきつつ
AI受診相談を通して生活者を最適な医療機関につなげていき
医療機関同士もつなげ地域医療を支える橋渡しの存在になっていきたいと考えています。
「世界中の人々に最適な医療を案内する。」をいよいよ現実に近づけていく、そんな1年にしていくには何よりも仲間が足りません。
誰かに未来を委ねるのではなく自らの手で未来を切り拓いていきたいという方を僕たちは渇望しています!
少しでも興味がある方は、以下いずれかの手段でコンタクトをとってもらえたら嬉しいです。
1. お知り合いのUbieメンバーにお声がけください
2. Ubie Dayにご参加ください
※新型コロナウィルスの状況を鑑みて、2020年12月現在Ubie Dayはオンラインでのみ実施しています。Ubie LINEアカウントにご登録いただけますと、開催時にご案内をお送りします。よろしければご登録ください
3. 各チームの採用サイト(Devチーム / Scaleチーム / Opsチーム)から、カジュアル面談にお申込みください
4. 求人一覧を確認の上、直接応募してください
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