東アジア最大のスラム街を訪れてみて… inフィリピン🇵🇭
1章. 訪れようと思った経緯
いつか自分もスラム街を訪れてみたい!
そう思ったのは去年の年末。
海外旅が好きになり、YouTubeで色々な旅動画を見ているとスラム街を訪れる動画に行き着いた。
環境も文化も何もかもが日本とはかけ離れた場所で、現地の人たちと交流している様子を観て、スラム街へ行けば僕も何かを学べるかもしれない!!と感じた。
そうは言っても世界中にはたくさんのスラム街が存在していて、どこのスラム街に行けば良いのか正直分からなかった。
そんな時に見つけたのが、フィリピン・マニラにあるトンド地区。
世間では「東アジア最大のスラム街」と言われている場所である。
ここへ行きたいと思った理由は主に3つある。
子どもが多くて皆んな元気であること
エリア全体の雰囲気や治安が比較的良いこと
お金を要求してくる人が少ないこと
僕にとっては3つ目の理由が特に重要だった。
貧しい生活だとしても、他の人からお金を貰おうとしない彼らの姿は本当に尊敬できる。そんな彼らに対してお金以外の形でどうにかサポートできないかという部分にフォーカスしていた。
考えすぎても仕方ない!とにかく行ってみよう!
そんなこんなで片道分の航空券だけ予約して、僕は旅仲間2人と共にマニラへ飛んだ。
2章. 1度目の訪問(下見)
マニラに到着して2日目の昼に、さっそくトンド地区へと向かった。
今日は現場の下見なので支援物資などは持っていかなかった。
「東アジア最大」と言われているだけあってトンド地区の中でも複数のエリアに分かれてスラム街が点在している。
今回訪れたのはハッピーランドというエリア。
入り口に「WELCOME」と書かれたアーチがかかっている。
その前で動画を撮っていると…
5人の子どもたちが満面の笑みで手を振りながら走って向かってきた笑
どうやら生菓子の売り子をしている子たちのようだ。
買っていけと言われるのかと思ったら、カメラに映りたくて寄ってきてくれたみたいだ笑
最後にサラッと「お菓子いらない?」と言われたくらいで、商売に命懸けといった感じではなかった。
この一瞬の出来事だけで事前情報の通りの場所かもしれないと思えた!
とうとうハッピーランドへ足を踏み入れる。
周囲にはたくさんの地元の人がいて、道行く僕の様子を伺っている。
笑顔で「ハロー」と声をかけてくれる人やギラついた目で睨んでくる人、
不思議そうにポカンとした表情の人など、反応は様々だった。
睨んできたり、ワルそうな見た目の人には少し怖さを感じるけれど、こちらが笑顔で挨拶をすると「ニコッ」と笑ってくれる。根は優しい人たちばかりなのだと感じた。
通りを奥の方へ進んでいくと、開けた場所にバスケットコートがある。
そこには多くの若者が集まっていてバスケットボールを楽しんでいた。
フィリピンのバスケットボール人気は本当に凄まじい笑
「シュート打ってみてよ!」的なことも言われて少しだけバスケをした。
支援物資を渡すならこの場所が適しているなと思うと同時に、バスケのボールも渡したら喜んでもらえるなと確信した。
その後もエリア全体をザッと見て周り、状況を把握することができた。
周ってる最中もたくさんの子どもたちが一緒に付いてきてくれてたので
別れ際にお菓子を買って皆んなに配ってあげることにした。
貰う前は全員並んで待っていたのだが、配り始めるとカオスな状況に…笑
「明日はもっと混乱してしまうだろうから、配り方に気を付けないと」
そんなことを考えながら、子どもたちに明日も来ることを伝えてこの日はハッピーランドを後にした。
3章. 2度目の訪問と支援活動
そして次の日、支援活動するために再びハッピーランドへ。
今回は、Instagramストーリーズでの呼びかけによってフォロワーさんから寄付していただいた沢山の古着を日本から持ってきている。
それに加えて、ハッピーランドへと向かう道中にバスケットボール2つと、バレーボールを1つ買った。
ハッピーランドの子どもたちに喜んでもらえるかなという楽しみな気持ちと、興味を持ってもらえずに全部配り切れなかったらどうしようという不安な気持ちを抱えながら現地へと向かった。
しかし、到着するとそんな不安はすぐに吹き飛んだ笑
昨日訪れたバスケットコートまで行くと、昨日よりも数倍多い子どもたちに瞬く間に囲まれてしまったのだ。
30着ほどの古着とバスケットボール2つ、バレーボール1つを持っていたので
子どもたちは支援物資が来たのだとすぐに察知していたようだ。
まずはボールを配ろうと思いバスケットボールを取り出すと現場は大混乱…
皆んな我を忘れて必死にボールへ手を伸ばしているではないか。
予想以上の勢いにヤバさを感じつつ、苦笑いすることしかできなかった。
どうやらこの子たちはマイボールを持っておらず、バスケコートにある公共のボールを使って遊んでいるようだった。だからマイボールをゲットしようと皆んな死に物狂いだったのだ。
喧嘩になってしまってる子たちもいたので「ボールを1人で独占しないで、皆んなで使ってね!」そう皆んなに言い聞かせた。
バスケコート周辺は人目につきすぎて混乱になると判断した僕らは、狭い路地の先にある小さな広場へと移動した。そしてこの場所で日本から持ってきた古着を配ることにした。
バスケットボールの時と同様にたくさんの子どもたちが集まってきた。
まずはバレーボール1つを渡したのだが、これは女の子たちに人気だった。
どうやら男子はバスケ、女子はバレーがフィリピンでは人気のようだ。
そして古着を配り始めたが、これもまたスゴい勢いで争奪戦が始まった。
サイズが合うか、好みのデザインかなどは関係なくとにかく取りまくる笑
特に人気だったのはやはりアメリカプロバスケットリーグNBAのチームシャツやジャージであった。
僕もNBAが大好きで、何着か服を持っていたので寄付することにしたのだ。
フィリピンの男の子なら確実に欲しがると分かっていたからである。
見事一瞬にして古着を配り終えると、嬉しい光景を目の当たりにした。
なんと配った古着をさっそく着てくれている子どもがたくさんいたのだ。
中にはカメラに向かって見せてきてくれる子たちもいて、すごく嬉しかった。日本からわざわざ持ってきて良かったなと思えた瞬間である。
周りにいた大人たちにも「わざわざ色々配ってくれて本当にありがとう!」
と言ってもらえて、少しは役に立てたということが分かって安心した。
その後もその場に残ってくれていた子どもたちと写真を撮ったり話したりしていると「僕たち喉も乾いているから水が欲しいんだ」という声があった。
これが彼らを素晴らしいなと思う点であり、決してお金を貰おうとはせずに「〇〇だから〇〇が欲しい」という言い方で物を求めてきてくれる。
だからこちら側も快く彼らの頼みを受け入れることができるし、お互い笑顔になれるのだと思う。
ということで皆んなに水を買ってあげた。なんと値段は1つ1ペソ(約2.5円)
これを10個買い、同時にお菓子も買って配ってあげた。
僕らの帰り際も皆んな笑顔で手を振って見送ってくれて、僕らと一緒に付いてきてしまう小さな子どもたちも多くて可愛かった笑
そんな彼らも自分達の居場所はしっかり把握しているみたいで、ハッピーランドの出口まで来ると手を振りながら戻って行った。
だが最後に出口付近でアイスを売っていたオジさんに一本取られた笑
僕らと僕らに付いてきた子どもたちがアイス屋のオジさんの前を通った時に
アイスが入ってるクーラーボックスをなんと全開にしてしまったのだ!
すかさず子どもたちがアイスを取りまくりクーラーボックスは空っぽに…
子どもたちのアイス代を払ってやってくれないかと言われて僕がなぜか払わされるハメになってしまった…笑
ハッピーランドを訪れる方は充分に注意していただきたい。
4章. スラム街を訪れてみて感じたこと(まとめ)
「お金が少なくても幸せに暮らせる」
そんな言葉は今までに何度も聞いたことはあった。
しかしその言葉にはどこか説得力がない感じがして、口先で言っているだけなのではないかとも思っていた。
言うまでもなく、トンド地区で生活している人々は裕福ではない。
しかし、彼らはそれを感じさせないほどイキイキしていて笑顔が絶えない。
そんな彼らの姿を目の当たりにして、「お金を持っている=幸せ」と一概には言えないんだということを初めて肌で感じ取ることができた。
そして、僕ら日本人は彼らを見習わなければいけないとも思った。
近年では物価高騰、最低賃金が上がらない、円安などの様々な背景によって
日本がヤバくなってきていると言われることが多くなった。
それでも普段、我々はこの日本という国でなに不自由なく生活している。
それだけでもとても喜ばしいことで、幸せなことなはずなのだ。
しかし、そんな環境に幸せを感じられなくなってしまっている人たちが多くいるように思える。
現に、2023年現在、日本の幸福度ランキングは47位。
これらの主な原因は、日本人の幸福を感じるハードルが上がってしまっていることではないかと考えた。
この「なに不自由なく生活できる環境」が「幸せ」ではなく「当たり前」になってしまっていて、普通に生活できることを大前提に考え、様々な物事を求めすぎているが故に幸せを感じにくい国民性になってしまったのかもしれないと推察している。
向上心は生きる上でとても大切だが、時には立ち止まってみて、普通に生活することができる環境が「当たり前」ではなく「幸せ」なことなんだと自覚するだけでも、心に余裕が生まれるのではないかと思う。
マニラ・トンド地区を訪れて、このような思想を持てたことを嬉しく思うし、今後の人生に活かせると確信している。
これからももっと多くの国や場所を訪れて、沢山の経験をして、自分の価値観や生き方をアップデートしていこうと思う!
今回、同行してくれた2人、僕らを暖かく迎え入れてくれたトンド地区の皆さんに心より感謝申し上げます。ありがとう!
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