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歌の導線か細くなりけり

あくせく作って歌って寝て終了!浮き沈みはあれど、同じことの繰り返しだった。

「もう寿命の折り返し地点は過ぎたかなぁ」ぐらいの年齢に達したが、あまりに多様性のない時間を過ごしてきた。

外国に行けばいいわけでもないし、いろんな仕事に就きたかったわけでもないし、引っ越ししまくりたかったわけでもない。過去は戻ってこないし、やりなおせないし、特に省みることもない。だが、全然後悔が無いかと問われると嘘になる。

「楽しいから」という理由で音楽をやってきたし、事実その体感は未だ続いている。
さらに言うと現在僕の身の回りに散らばっているものは、間接的なものもあるが、すべて音楽生活がもたらした恩恵で構成されている。

もし音楽を始めていなければ、今僕の毎日にあるものは一つとして残っていないだろう。ギターを手にとっていなければ、言葉通り「今とまったく違う人生」ができていた。

やってきた毎日に後悔はあるけれど、今に不足や不満があるわけでもない。音楽を作ることを楽しめる人間で良かったとも思う。

だけど「自分の音楽がもっと影響を与えるものであれば」と考えることもある。「楽しいから」なんて自己快楽だけじゃなくて、もっと素晴らしいもののために命を使いたかったという気にはなる。

その「素晴らしいもの」というやつが何なのか分からないから、触れることすらできないが、続く空振りの虚無感は妙な疲労感をもたらす。

あくせく作って歌って寝て終了!の日々における内面の風景はひどく変わらない。ただ、いっさいは過ぎていくだけだ。それなのにステージから先の風景はいっぺんしてしまった。

自粛騒ぎの一年目はカウンター的な気合い、非日常の物珍しさがあったけれど、いよいよ魂が目減りしたいっているのかもしれない。こちらは変わらないのだが、受け手までの導線がひどくか細い。


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