じゃあ辞めれば!と言ってはならぬ
愚痴。好きか嫌いかで言うと好きなひとは少ない。
でもゼロにもできない。生きているならば、みんな愚痴の発信者、受信者になる。
たとえば「もううちの職場カスばっか!いい男もいないし、滅びろ!」という丸の内OLの愚痴があったとする。
「文句ばっか言うなら、じゃあ辞めたら?」
この言葉は丸の内OLに対して言うべきではない。
しかしフリーランスの友人と「でも思うよね」と言い合っていた。「丸の内のやつはムカつくよね」とOLの愚痴に対する愚痴を繰り広げた。
「『文句ばっか言うなら、じゃあ辞めたら?』と言うひとに対しての愚痴」だ。愚痴返しだ。
フリーランスという立場は無職に近い。組織の外にいる。だから属しているひとたちの持つ「所属のストレス」への想像力の欠如が見られる。
「団体に染まらなくたって平気さ!」と威張っているわけではないが、まぁたいがいのフリーランスは組織が苦手だ。理不尽、ならわし、文化。もろもろとダルイ。
だから属していない。だからこそ属するストレスへの共感が低い。
でも言わない。「じゃあ辞めれば?」は言えないのだ。そんな短絡的な話ではないからだ。
これは「ウンコしたい!」というひとに「じゃあここですれば?」と言っているのと同じだ。
僕たちはそんなにデジタルにできていない。
僕だって音楽が嫌になることもある。でも「じゃあ辞めたら?」と言われたらため息が出る。
音楽マネージメント事務所の存在が死ぬほど嫌になったとしても、悪口を言うぐらいで案外スッキリするものだ。
「人前で愚痴を言うな!」と風潮はある。僕も思うときがある。でも厳しすぎないだろうか。
悪口でラクになり、バンドが続いて歌が生まれるならば、悪口をいったん聞くのもいいのではないだろうか。
毎日ならキツいが、たまにひとの悪口を聞くぐらいの余白があってもいいんじゃないだろうか。
それぐらいの寄り道をしてもいいんじゃないだろうか。
ウンコしたいやつがトイレを探す時間ぐらいは、作ってやってもいいんじゃないだろうか。
もちろんずっと「ウンコしたい。でもめんどくさいからガマンする」なんて言い続け、「ウンコしたい」とずーっと言っているやつは別だ。
いいかげん探しに行けよと言いたい。もうそこでしろよ、とも言いたい。
年末は愚痴大会が開催されっぱなしだ。聞いてやろう。そして自分も言ってみよう。
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