【天国か地獄】プライシングが決定づけるSaaSスタートアップ起業家の残酷な運命とは・・・
お世話になっております。
ARR1億円は楽勝。
株式会社セールスのタクミ代表の佐藤匠です。
今日も1人でも多くのSaaS上場経営者を創出するべく、
SaaS経営者のための記事を書いております。
これまで
3年間30社以上のスタートアップ経営者のCOO、CMO
として暗躍してきました。もはやARR1億円は楽勝。
数々の企業をARR1億円までは並走し、離脱し、並走し、離脱し、ここまで数多くのCEOと共に茨の道を歩んできました。
その中で最も早く1つだけ伝えたい。
プライシングは経営戦略を決めます。
今日はSaaSプライシング第1弾ということで、
いかにプライシングが事業計画に影響を与えるかを解説していきます。
プライシングで調べると海外SaaSのARR1億ドルの分析や、
数字遊びのような解像度の低い記事が散見され
全く日本のアーリーステージでの事業経験がある人が
解説している記事が見当たりませんでした。
ということで私が責任を持って
これまでひたすらにアーリーステージ30社で並走支援を行なってきた
かなり解像度の高い自分がARR1億までの販管費などを解説いたします。
ぜひ、参考になれば、
いいね、Twitterでのご協力を拡散をお願いいたします。
また、noteに50いいね以上反響があれば「PLGの悪夢」
という続編を書かせていただきます。
たくさんのご感想、
DMありがとうございます!
全てに目を通しております!
経営者の皆様にはぜひ一度
自社のプライシングと経営戦略
において考えていただく
機会にしていただければと存じます。
前置きはここまでで、早速本題に行きましょう。
SaaSはプライシング戦略が全て。
私が最も言いたいのは、SaaSはプライシング戦略をミスったら終わり。
ということです。SaaSというのは非常にKPI管理がしやすく、それぞれのKPIが密接に関わっており、最終的にはARRにマルチプルを加味してバリューエーションが算出され時価総額として会社の評価が出ます。最終的には上場かバイアウトを前提とするとSaaS起業家の最終的な目標としてはこの時価総額を上げることに収束すると考えています。
最終的な合計の売上金額=顧客社数✖︎LTVで計算され、
LTV=MRR✖︎契約期間で算出されます。
MRR(月額利用金額)は契約期間と並んで最も重要なKPIの1つとなります。
私のこれまで数十社での感覚を通して、契約期間というのはプロダクトの体験の質に殆ど紐づくと考えています。どれだけ営業力でゴリっとクロージングしても2年契約で締結できるのは全体の5%〜10%程度、全体の9割は年間契約となります。(年間契約も取れていないSaaSはかなりやばいのでお話になりません)
そうなってくると顧客にとっては年間が解約タイミングとなりますが、大体のクオリティがあれば解約率は10社に1社くらいになります。よりアーリーステージになると無理な受注や、意図しない顧客の受注も増えるので20%と高まるケースも多いです。しかしアーリーステージにおいては顧客ガチャみたいなところもあるので、解約率は気にしなくていいです。解約MRRだけ意識すると良いでしょう。
スタートアップSaaSが追うべき
細かい主要KGIの話はこちらの3番で解説しています。
言いたかったのは、いかに営業が強引に握ろうが、
契約期間というのは最終的な時価総額に対して
可変的な要素が少ないのです。
例えば皆さんは定期通販のプロテインを飲んだ経験はありませんか?
とりあえず筋肉をつけようと思って、年間契約でプロテインを契約したけど、結局あまり美味しくないし、効果も出ないので1年間で解約してしまった。一方でもし、めちゃくちゃ美味しいプロテインで、モリモリ筋肉もついていればもしかしたら続けていたかもしれません。
体験した価値というのは密接に契約期間に結びついています。基本的に我々の運営するSaaSというのは非接触的な機会的体験になるので、プロダクトの機能やUX体験がそのまま顧客の体験価値に繋がり、契約期間として現れるのです。
つまり、言いたいことは契約期間というのは基本的にコントロールしにくいです。UXの価値を上げていくことでしか基本的には制御できません。プロダクト投資やデザイン投資が必要であり、投資コストと時間がかかります。
そこで結局、時価総額に影響を与える重要なKPIの指標として、
MRR(月額利用金額)が最も可変的でインパクトの大きな要素になるという結論になります。契約社数を増やせばいいじゃんみたいな話も可変性が高いのですが、より膨大な労力がかかるのでそこは別の機会にマーケ施策の方で語ります。
売上改善にはプライシングを変えるが最も簡単で早い。
結局早い話が、
プライシングを2倍にしたら全てのKPIの指標が1/2になるということです。
ARR1億円を例に出しましょう。
どの程度KPIが必要なのかを分解していきます。
私のプライシング戦略では大体のSaaSの単価が7万円前後に落ちついていきます。これはかなり平均値化しているので業界や、プロダクト価値によります。
MRR7万円の場合に必要な主要KPI
MRR2万円の場合に必要な主要KPI
まあ当たり前の話ですが、こうして数値で見ると
単価が低い場合ARR1億円の達成がほぼ非現実であることが分かりますね。
私はこれまで30プロダクト20業界以上を見てきていますが、
いわゆるプロダクトに対して10万円以上を払える対象を
エンタープライズ企業とするのであれば
1業界で約300社、多くても500社程度の感覚です。
従業員数で言うと500人以上とかで、売上で言うと10億円以上とかですね。従業員1,000人、売上100億円以上になると10社あるかないかというレベルになってきます。この辺の営業リストを作るとARR1億円いけるかどうかほぼ分かるので、営業リスト作ってない経営者はいますぐ作成しましょう。
TIPS:企業の最大予算の試算方法
いかに単価が低いことが事業成長に悪かという点と
そもそもARR1億円の達成すら実現不可能になるということ
が論理的に分かった上で更に恐ろしい試算をしましょう。
販管費の計算です。
単価が低いと販管費が地獄になる。
これらの受注KPIを達成するための販管費を計算してみましょう。
対応する数が多いという事はそれだけの
獲得コストと対応時間がかかります。
販管費は
・商談獲得
・商談対応
・契約書対応
・オンボーディングコスト
・顧客管理コスト
を踏まえると膨大なコストがかかってきます。
これが所謂SaaSの死の谷を形成しているものでして、
実質的にはカスタマーサクセスコストがかけれない要因や
営業するだけ赤字の構造になるという地獄の回廊に突入する要因です。
解像度を上げてお伝えします。
大体販管費として計算すべきものを以下にまとめます。
MRR7万円の場合に必要な販管費
MRR2万円の場合に必要な販管費
MRR7万円の場合に必要な販管費合計:35,150,220円
MRR2万円の場合に必要な販管費合計:1億1,232万円
なんと、販管費の差が3.2倍の差になりました。
簡単にロジックを説明すると、
SaaS企業のS&M比率は大体30%~40%と言われていますが、
実は最も大きいのは商談獲得コストになります。
また、初回商談コストというのは必ず人件費がかかってくるので
非常に大きな牌を占めるのです。
つまりは単価が安いと沢山商談を獲得しないと
いけなくなるため販管費が増大する構造になっています。
MRR7万円の場合に必要な販管費合計:35,150,220円(67.7%が商談獲得)
MRR2万円の場合に必要な販管費合計:1億1,232万円(74.1%が商談獲得)
しかし、それだけではまだ終わりません。
更に採用コストがかかってきます。
大体1人あたりの労働時間を160時間、年間1,920時間
と定義した場合に、ARR1億円に必要な労働時間を計算します。
業務時間の定義を以下にまとめます。
MRRが7万円の場合に必要な業務時間
MRRが2万円の場合に必要な業務時間
およそ、3.5倍の人数を採用する必要があります。
だから私は資金調達している
SaaSのプライシングと集合写真を見れば
どの程度肥満化している組織なのか、
受注効率がいい組織なのかが分かります。
弊社のクライアントで最も上手くいっている会社は
弊社をIS、FSとして営業代行として使っていただいて
ARR1億円まではビジネスサイドの正社員は2人しかいませんでした。
ARR3億円でも3名。驚異的な採用効率ですよね。
こういう経営をしている経営者と一方で
ビジネスサイドが肥大化している組織は
どちらが柔軟性が高く、効率よく上場まで到達できるかは明白です。
プライシングが違うだけで、
2人採用すればいいのか、
7人採用しないといけないのか全く変わってきます。
エージェント費用も単純に3.5倍かかってきます。
企業が中途採用にかける
年間平均コストは、618.4万円と発表されています。
(マイナビ2023年版年中途採用状況調査)
結論、
MRR7万円の場合は、1,298万円
MRR2万円の場合は、4,551万円
採用コストがかかってきます。
ここまでは主に販管費と採用費がかかることを記載して参りましたが、
スタートアップ組織という性質上数字だけで語るのはかなり危険です。
一般的にベンチャーキャピタリストの方が計算されている数値はロジックとしては正しいのですが、その脆い組織構造や、採用リードタイムの長期化をあまり鑑みていないように思います。
この辺の解像度はやはり事業会社出身の人でないと分からなかったりします。私はこれまでも今も起業家と共に、狭いオフィスで事業を共にして来たのでそういった解像度に関しては人一倍リアリティがあります。
そういった観点で最後のトピックに参ります。
徹夜で書いてるので、そろそろ体力がやばいです。
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スタートアップにおいて組織が肥大する定性的なデメリット
アーリーステージでのスタートアップ組織においては、
人が増えることによるメリットよりもデメリットの方が大きいと感じます。
これまで30社の中に入らせていただきいろんな波乱を見てきました。
そのデメリットと要因は大きく3つあります。
1、未熟な組織文化による組織崩壊の可能性の増大。
・一般的にスタートアップ組織というのは若い。若さゆえの突破力、労働時間の耐久、アグレッシブさがメリットとなる。一方で、組織の健全性や健康性の面から考えるとそれはデメリットに働くケースを多く見てきました。
===
例
・そもそも社内ルールが決まっておらず、出社が不規則になる。
・出社が不規則になり、チームの統一感や信頼の情勢ができなくなる。
・年齢差のある人材の入社時のチーム形成が人生経験の少なさから難しい。
・対立が起きたときの会話、交渉等のコミュニケーション能力が乏しい。
・多様な人材と協働する経験の乏しさ。
・炎上した際の対応の甘さ。
===
これによって、1人あたりのパフォーマンスが著しく落ちることによってそもそもの時間数よりもかなり効率が悪くなったり、採用のリテンションが低くなり、更に採用にかけるコストに繋がる。最悪の場合は、組織内で社会的な問題を起こす人間も現れて、事業成長には全く関係のない火消しに奔走する経営者も最近では珍しくないだろう。
2、組織管理基盤の未熟さ
・これは単純なオペレーションコストの増加である。このフェーズでは経理の採用はまだで、恐らく税理士の方と経営者の2人3脚で、税金の振込、給与の計算などを行うことになっている。freeeやマネーフォワードでこの辺りの仕組み化ができていれば苦労することが少ないだろうが、恐らく、そういったことに慣れている経営者になかなかあった試しがない。全体の3%くらいのイメージ。
SaaS起業家というリスクの高いビジネスに取り組む時点で、性格マトリクスで言うところの細かい作業が得意な経営者は少ないと感じる。
よくあるのが、給与の振込忘れ、税金の支払い忘れ、入社手続きの煩雑化に繋がる。私も経営者になって感じたが、業務委託の採用と正社員の採用を比較すると10倍ほどのオペレーションコストが必要になると感じる。
これらのオペレーションコストが3倍もかかってくるとなると、資金調達周りや、営業、プロダクト開発に奔走する経営者にとってはかなりのストレス負荷になるのである。
これによって1の組織崩壊に繋がるケースを何人も見てきたし、実際にかく言う私もその被害者になったケースは数えきれないです。スタートアップに入社すると言うのはそういった個人的な信用を害するリスクを含んでいると言うことはなかなか中に入らないと分からない事実ではあります。
3、激しい競争環境と採用リスク
日本は労働者が強い。究極的に採用したら相当な理由がない限りは解雇できない。競合が非常に多くなり圧倒的に市場シェアが取られる、競争優位性を失ってしまうことは想像に難くない。仮にそうなっても解雇は法律上できない。
マーケティングと営業の弱いSaaS企業は一瞬にして、大企業の広告費用の投下で消し飛ぶ可能性も秘めているのである。また、市場環境的にもプロダクトの連携の解除、API連携の停止、など昨今のTwitter社の件も鑑みると企業がクローズドな経済圏を作っていくという動きは加速しているように思う。
そうした時に社員を抱えるリスクというのは急激に高まってくる。最もよくあるのが、CSとして採用したが、結局新規受注が止まると殆どCSの仕事というのはなくなってしまう。大体SALESとCSの時間比率でいうと、5倍くらいの違いがある。こうなってくると営業できない人材の採用というのは成長しているタイミングでは良いが、新規での成長が止まってしまったタイミングでは最も投資対効果の悪い採用となる。
一定の変動費で営業代行や、カスタマーサクセス代行を使える時代になっているため、できる限りは変動費で優秀な人材を使いこなせることが安定して健康的に成長できる経営者の手腕になっていると感じる。
弊社の場合は、ARR1億円までは、私含め、事業戦略のCOO、営業代行、カスタマーサクセス代行を実施しているため、基本的に採用コストを0でARR1億円を達成させることに成功している稀有な支援企業となっている。
正社員でのリスクの高い運用にこだわりのない人はぜひ一度相談してみていただきたい。
結論「プライシングが分けた天国と地獄の結末」
・ARR1億円を達成できる実現性が市場規模を加味するとかなり薄くなる。
・ARR1億円までにプライシング販管費で3.28倍の差が出ます。
・採用人数と採用コストが3.5倍となります。
計算内容
採用が増えることによるリスク
・組織崩壊
・人材管理オペレーションコストの増加
・市場環境の変化による固定費比率の増加
プライシングは経営です。
プライシングを失敗すればそのまま企業は没落していきます。
一方でプライシングさえ上手くいってればこの企業は輝けたのに。
という企業をたくさん見てきました。
過去に30社の商品戦略を考える中で、
平均2.5倍という大規模なプライシングの引き上げを行なってきました。
それによりみるみる成長と遂げていった
スタートアップSaaSは数知れず存在しています。
ぜひ、これを読んで具体的に相談に乗ってほしいなどあれば
DMにてお気軽にご相談ください。必ず解決に導きます。
あとがき:経営者が最大の経済的恩恵を受けるために
アーリーステージでの株式の放出は最も経営者のリスクの高い意思決定になると考えています。バリューエーションの算出方法によると思いますが、売上高ベースのRevenueマルチプル(=EV/Revenue)で計算された分にはもう最悪です。また、Exit Valueの割引現在価値の適用が一般的には考慮されることが多いと思いますが、トラクションの出ていないアーリーステージでは投資家に対しては、かなり交渉力が弱い立場にいると思います。
ここまで明示してきた販管費を補うことにあたって、想定以上の株式放出をする必要があると思いますが、実はこれはマーケと営業力があれば全て解決します。
株式を放出しての資金調達よりも、顧客の売上から資金調達をすることを私は最も推奨しておりますし、最も健全であります。MRR7万円の場合であれば、5,000万円が全体でかかる販管費として考えれば、半分の2,500万円程度でのデッド調達で問題なく達成が可能なラインです。無謀に株を放出して億円調達をする若手経営者は自らの最大の経済的恩恵を無駄に捨てているようなものです。
基本的にSaaSというのはMRRベースで毎月支払いになるようであれば1ヶ月のキャッシュフロー経営しかできないため当面の運用にあたっては資金調達が必要になりますが、実は最大で24倍のキャッシュフロー経営が顧客の売上ベースできるのです。ここに関しては別のnoteで書きます。
弊社のクライアントでは、一切の株式放出を無しにデッドでの初期資金の借り入れだけで、ARR3億円規模の企業創出に成功しておりまして、これはひとえにマーケティングと営業力を弊社と共に強靭にしてきた結果であります。
ARR1億円まではプロダクト力よりも、マーケティング、営業に注力することによって、株式放出を最低限に抑えたキャッシュフロー経営ができるようになります。一定のトラクションがついてくれば、投資家と有利な交渉もできるようになります。PMFも満たしていない早期の段階で10%以上の株式放出をして、焦ってアーリーステージで億円の大型の調達をして、採用を強化することはリスクとしか言いようがありません。
プライシング戦略をまずは見直して、事業計画をひいてみると共に、
できる限り、マーケ・営業への予算投下を変動費で高めていきましょう。
誰よりも早く、ARR1億円を達成したい経営者様は私にご相談ください。
30社以上のSaaSの失敗事例、成功事例、
もはややるべきこと、やらないほうが良いことがが明確になっています。
現状の事業戦略が合っているかの
1時間の有償コンサルティングだけでもかなりお喜びいただいております。
ぜひ、私と共に1年以内にARR1億円、
未来ではプライム市場上場を目指しましょう。
ご相談過多につき、チケット制でのご相談をお願いしております。
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執筆の励みになりますので、拡散のご協力をお願いいたします。
この記事に反響(50いいね以上)が
あれば次回「PLGの悪夢」というnoteを書きます。
1人でも多くのSaaS経営者の方が健康的に経営をし、
日本の国力が上がることを祈っております。
読んでいただきありがとうございました。
初回コンサルティングでお会いできるのを楽しみにしております。
佐藤
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