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詩まとめ
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記事一覧

【詩】暇潰しに一考

面を貼り付けた薄気味悪い人形は退け 虚ろな瞳に潜む哀に触れた電撃よ それこそが貴女の美しさ 充血した目玉の奥で見るイデアを僕は描けない 欲に塗れた雑魚は黙れ 約束一つも履行できない怠惰よ 真理を心得たような顔して せいぜい救いに縋る凡人 錯綜する人格を統御したい 日を浴びて体を動かすといいらしいよ 花を忘れた谷底で光が落っこちるのを待ち侘びる 暇潰しに一考

【詩】長い長い帰り道

膨らんで 広がって どこまでいくのーって声も届かないくらい 誰にも見えないくらい大きくなって きらきら瞬く星を全部手に入れた気分なのに 静かだ なんだか誰かに話したくなって 誰かと話したくなって 今日はここまで 振り返って、来た道を眺める 宙を仰いでぐーっと息を吸う 肺がパンパンに膨らんで ふーーっと長めに息を吐く 土産話はポケットに詰めて 帰り道は少し早足 ・ ・ ・ 宇宙に終わりが来るかもしれないって、想像もつかないですね。その時が来たら一体どうなるのだろ

【詩】鈍い臭いを覚えてる

ゲレンデで喧嘩をした 喧嘩というより、殴られた 頭とか腹とかを殴られたことはあったけど 顔を真正面からグーで殴られたのは初めてだった 斜面を後ろ向きにゴロゴロゴロゴロ転がり落ちて どっちが上だか前だかよくわかんなくなって ようやく雪に手を突いて、さっきまでいた場所を見上げる 正確にはここで気付く あ、殴られたのか で、落ちたのか 鼻の付け根にジンジンと鈍い感覚 勝ち誇ったあいつの顔ときたら 絶対殴り返してやる そこで待ってろ って叫びたいんだけど 喉が勝手に嗚咽に変換し

【詩】寝ても醒めても

ドアの隙間に消えていく背中 個人的感情は無用の長物 足りない頭が邪魔をするんだ 被験者じゃなくて人でありたい 賢くなんてならなくてよかった 無知で馬鹿なサンプルなら幸福 あなたが引き起こした蜃気楼 寝ても醒めても幻惑の園 図体ばかりが大人になって 何にも知らない子供のままで 何度か眠れば捨てられますか 心を殺せばいいんですか ・ ・ ・ 「知らない方が幸せだった」って、人間的な苦しみを味わえた幸せ故に発せられる言葉なのかもと思いました。

【詩】母なる静謐

面はきりりと張り詰めた 触れたら微睡む羊水の中 投じた石は産声をあげて 抱かれるまま眠りにつく 耳鳴りに混ざり物と知る 漸近する純水に息を呑む ・ ・ ・ 何事をも受容する精神が極みなのかなと思っています。いつかそこに至りたい。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいです。

【詩】雪降る夜の群像

振れる袖口 いつかの君よ 凍える指先 風邪をひくなよ 赤らむ鼻はマフラーで隠して 元の場所へと帰っていく 予感は外れ 予報は当たり 犇めく足跡 異なる家路 重なるそれらを踏みしめながら 幾つもの一つに紛れていく 雪降る夜は少し遅れて 雫は流れて線になる 今日も行き交う東京の夜に 等しく雪は降り積もる ・ ・ ・ 東京でも年に1回くらいは雪が降りますよね。早めに帰ってぬくぬくしよう。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よ

【詩】存在の粒子

切り出せない輪郭線 生産するのは紛い物 前のめりに息してる その佇まいをどう書こう その眼差しをどう言おう その残り香をどう唄おう 丹精込めた美辞麗句が 靄の無重力で空回る 飽きもせず真ん中を目指して 大事なものも置き去りにした ばら撒いた屍だって愛してる 一度でいいから描かせてくれ ・ ・ ・ この世に在らしめると逃げてしまうもの。いつか描ききりたい。 詩集『追憶』を公開しています。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。見ていただけると嬉しいです。

【詩】阿呆でいいから君の行く末を願ってる

これで本当に良かったのかって 詮無いことをぐるぐるぐるぐる 子供の頃に想像していた俺は 頼り甲斐があって格好良かった きっと君は鬱陶しがるだろう それでもどうしても会いたかった 初めて社会で生きる君に 初めて自分の足で立つ君に 遠くから眺めるはずだったのに 調子に乗ってでしゃばった まあもういいさ これで満足 去り際肩越し君が呼ぶ 言い訳はどれにしようかな 君の放った言葉は大砲 阿呆の頭を吹き飛ばす ああもういいや これで満足 思い残すことはないよ いや嘘 俺も愛して

【詩】雌伏の時

安らかで物足りない世界 変わらない日々の意味は何 よちよち歩きで笑われて 今に見てろよと笑い返す 経験値は目に見えないけど その時は突然やってくる 雌伏の時代を生き抜いて 至福の未来に手を伸ばす 他の物差しに惑わされないで 好きに夢中な君が好き ・ ・ ・ 報われ方って一つだけじゃないかもと思えてきました。夢中になってる姿とか頑張ってる姿に惚れます。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいで

【詩】欲求

渇く心を誰か満たして 故に体躯を使役せよ 生の在処を誰か認めて 故に言語を使役せよ 声なき声に誰か応えて 故に理性を使役せよ 投げ掛けられた朧を象る 望むものなどありはせぬ ・ ・ ・ 人並みを超えた極致に至る過程は茨の道です。執着を分離できるよう精進します。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいです。

【詩】終の棲家

間違いだらけも愛おしいほど 流れる今が満ち足りる さらり揺れてる前髪と 二人微睡む午後が好き 私にとってのハッピーエンドも あなたにとってはサッドエンド? 窓辺に降りた花びらと ぽかりと浮かぶ雲が好き 桜が咲いたら思い出して きっとあなたに逢いに行く そうしたら一緒に散歩でもしよう ・ ・ ・ 自分を忘れないでいてくれるってすごく嬉しいです。誰かの心に残れる人生を歩みたい。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら

【詩】春椿

去った嵐に蓋をした 見目麗しき春椿 童と紛う瞳は陽 隘路に落とす露は陰 ・ ・ ・ 陰を垣間見た時に惹かれるんですよね。安心するのかな? 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいです。

【詩】たまねぎ

泥まみれの魂 核心に触れたくて 一枚一枚皮を剥いで 剥いで 剥いで 剥いで 剥いで 心無い残骸だけ 涙は出なかった ・ ・ ・ たくさんの顔を使い分けて、一体どれが本当の姿なのか。わかりやすい軸がないと不安になるものなんですかね。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失って、向き合って、前に進む物語です。よかったら見ていただけると嬉しいです。

【詩】擬態

私はか弱き一般市民 モブキャラ人生エンジョイしてる? 調子を合わせて頷くだけの 至極簡単なお仕事です command + C, V コミュニケーション 省エネ運転開始します 適度にタスクを消化して フルタイム演じた給料はいくら みんなで輪になり踊りましょう 右向け右の無限ループ 楽しく足踏み続けましょう 昨日は今日で 今日は明日で 擬態せよ 擬態せよ 枯葉によく似たアレは私だ ・ ・ ・ 人間もなかなか擬態が上手。 詩集『追憶』を公開しました。大切な時間を失っ