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2001年の夏の思い出

うちのおじいちゃんはいわゆる情報機器オタクだ。

毎週、ミドリ電化とジョーシンに通っている。

たまに日本橋まで足を運び、新しい情報機器との出会いを求めてる。

そのおかげで家にはありとあらゆる情報機器が揃っている。

高機能なラジオ、無線機器、ワープロ、電子辞書、音響機器、映像機器、何でもある。

そんな環境のせいで、俺も小学生の頃から情報機器に興味を持っていた。

中でも一番興味持ったのが、16和音搭載の携帯電話だった。

おじいちゃんから携帯電話を借りて一通りいじった。

フォントもメニューも何もかも新鮮でカッコ良い。

画面もボタンにもバックライトが付いてるところも最高だ。

説明書を見ていると、なんとこの携帯にはオリジナルメロディを作る機能があると書かれている。

すぐに作りたくなって、ランドセルから「エーデルワイス」の楽譜を取り出す。

楽譜を見ながら携帯電話に1音、1音の音符を打ち込んでいく。

そして、再生ボタンを押すと、打ち込んだ通りの「音」が携帯電話から流れてくる。

すごい。自分がこの曲をつくったんや

何回も再生した。おじいちゃんにも自慢した。褒めてくれた。

もっといろんな楽譜を登録して、いろんな曲をつくってみたい

こうして、オリジナルメロディを作る機能に完全にハマった。

学校から帰ってきては、音楽の授業で手に入れた楽譜を携帯に登録する日々が続く。

ある日、親が買ってくれた着メロ雑誌に『ゲーム音楽館』というゲーム音楽に特化した着メロ投稿・再生サイトがあることを知る。

「ゲーム音楽館」とは個人管理人『りょうた』が運営するゲーム楽曲及びオリジナル楽曲を投稿できる着メロサイト。
http://game-melody.com/

スーパーファミコン・ゲームボーイ・64と任天堂大好きボーイの俺は

「なんてことや。ゲーム音楽も作れるんかい」

俺もゲーム音楽をつくってみたい

と鳥肌交じりにワクワクした。

ただ、残念なことにおじいちゃんや親が持ってる携帯はインターネット接続サービスに申し込んでいない。

どうしたことか。そういえばY君の家にパソコンがあったことを思い出す。

学校の連絡網を片手にY君の家へ電話する。

「今から遊びに行ってもええ?ほんまに!じゃあ今から行くわ」

Y君の家で雑誌片手に『ゲーム音楽館』の説明をする。

「いろんな人がゲーム音楽作ってるんやって。凄いやろ」

「はよ、この『ゲーム音楽館』ってホームページ見てみようや」

Y君は慣れた手つきで、パソコンのブラウザにアドレスを打ち込む。

少し時間を待つと『ゲーム音楽館』が表示された。

宇宙の壁紙が使われたカッコ良いサイトだ。文字も左から右に流れている。

クロノトリガーの戦闘曲を聴いてみた。

まじで小6の俺達にはカッコ良すぎた。

18時のチャイムが鳴るまで俺たちはいろんな曲を聴き漁った。

次の日、小学校でY君に

俺たちもゲーム音楽つくってみいへん?」と誘った。

そこから俺はY君と一緒にゲーム音楽を作ってみる日々が始まる。

ただ、肝心のゲーム音楽の楽譜が無い。

そこで、音楽の先生に手伝ってもらうことにした。

今、思えば音楽の先生も忙しいだろうに、よく手伝ってくれたもんだ。

そこから、授業終わりに音楽の先生のところに行って、相談に乗ってもらいながら楽譜を作る日々が始まる。

そして、試行錯誤しながら最初のゲーム音楽作品が完成した。

 テリーのワンダーランドの音楽だ。

Y君と一緒にクリアした想い出のゲーム。

今聞くと全然ダメだけど、小6の俺たちが最高に頑張って作った。

おじいちゃんにも聞かせてみた。褒めてくれた、

何の曲かはわかってないだろう。

でもおじいちゃんも、音楽の先生もそれなりに褒めてくれた。

「よし。『ゲーム音楽館』へ投稿してみようか」

Y君の家のパソコンから『ゲーム音楽館』へアクセスする。

着メロ投稿フォームがあるので、そこから投稿をする。

「いよいよやな。なんか緊張してきたわ」

Y君と顔を見合わせる。Y君が投稿フォームの送信ボタンを押す。

作品投稿が受け付けられたようだ。

--おわり---

これがはじめてインターネットと出会った夏だった。

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