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今カナダの大学院で学んでいること(その1)
この9月から数学教育学の修士課程がはじまりました。これはフルタイムで働いてる先生ようにつくられたプログラムです。キャンパスで週に一度集まってみなで話し合いながら学びを深めていきます。
今日はこれまでに学んだことをシェアします。
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完璧すぎる定義や定理!?
数学の教科書をイメージしてください。ちなみにカナダと日本の教科書はだいぶ中身の構成が違います。ですが、基本的に定義や定理がまず紹介されて、それをもとにした例題がならぶというおおまかな構成は似ています。
このいわばきれいすぎる定義や定理をみつづけて育った子供たちは数学ってどんな学問だと思うでしょうか?
はじめから数学の神様がいて、すべての定義や定理を今ある形のままに数学者に教えたって思うかもしれません。もしくは、はじめから今あるままの定義や定理を思いつく才能にあふれるものだけが数学ができる人って思ってしまうかもしれません。
でも数学の歴史をひも解くと、定義や定理ははじめから今の形ではありませんでした。これはほかの学問にも通じることですが、議論や対話の末により洗練されたものへと形を変えていったのです。
ていうことは定義や定理もはじめはでこぼこしていたってこと?あなだらけでまちがいだらけだったということ?
その通り!
この間違いだらけをどう洗練したものに変えていくのか。本来この軌跡をクラス内でも実践することによって、数学者が実際たどった道のりを経験できる。でも教科書や一般的な教え方ではそれを全部隠してしまっている。
このギャップに問題点を感じたのが数学哲学者のラカトシュ。彼の書いた「証明と論駁」を読みながら、さまざまな定義や定理の変遷を学んでいきました。
無限にも種類がある!?
「永遠の愛」のデザインとして ∞ がよく使われます。これは数学では無限を意味します。
この無限という考え方。昔からあったわけですが、正式に体系化したのはドイツの数学者カントール。
数学を学んでいくうえで、さまざまな種類の数字に出くわします。たとえば
自然数 1,2,3,4,...,100,...,100000,...
整数 ...-2,ー1,0,1,2...
分数、有理数、無理数、実数など。
それぞれの種類の数字のなかにどれくらいの数字が存在するんだろうって考えてみてください。
自然数だけでも無限に大きくなっていくので、そのなかには無限の数が存在します。
このさまざまな種類の数字。いったいその大きさに違いはあるのか?自然数と整数だとどっちがより多くの数字をもっているのか?
こんなこと誰が考えるんでしょう?(笑)
それを必死に必死に考えて考えすぎたのが数学者のカントールです。
結論を先に言うと、自然数、整数、分数、有理数まではすべて同じサイズの無限になります。無理数はもう一段階上の無限になります。それを含む実数も無理数と同じサイズの無限。
詳しい説明は省きますが、それぞれのなかにある数字同士でダンスパーティをするってイメージしてください。
たとえば自然数と整数の合同パーティー。だれも一人ぼっちになることなく、それぞれのグループからダンスのペアをみつけることにカントールは成功しました。
残念なことに、自然数と無理数の合同パーティーになると踊れない人が無理数のグループからでてきてしまいます。ですので無理数のほうが大きい。
こんな話し合いをしながら、高校生にも普段教えている数学のなかにもひっそりかくれている無限にもうちょっと目を向けようって思うようになりました。
まとめ
読み物や課題を毎週こなしながらの修士課程が始まりました。正直忙しいなと思うこともあります。
でも、同じ数学の先生たちと普段とちょっと違う角度で数学の話をするのは結構楽しいです。こんな刺激的な話を火曜日の夜にしているのであまり眠れず水曜日の仕事にひびくこともあります。
ですがこの時間を大切にして、数学って楽しいって共有してもらえるような授業づくりに生かしていきます。
最後まで読んでいただいてありがとうございます。
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