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自分を奮い立たせるもの『読書案内』

折に触れて、
繰り返し振り返る、大学時代のレジュメ。

「日本政治史」「日本の政治」の授業を受け持ってた
山野博史先生の編んだ「読書案内」です。

大学卒業から数えて、6回も引越しした。

毎回荷造りするたびに、
必ず「大事なやつ」の段ボールに入れるもの。

見返すといつも、
当時の熱量を感じられる。

三回生になって先生の授業を受けるまで、
はっきり人間嫌いだったと思う。

初回の講義で受けた衝撃は現在まで続いてる。

凄まじかった。
こんなすげえ大人がいたんだ。

根っからのアナログ人間で
携帯電話をもたない
インターネットはやらない、
新聞は4紙とって、毎朝欠かさずチェックする。
酒タバコは一切やらない。

授業の内容はというと、
たった一人に焦点を当てて、
人物の生涯を精密に観察して、
当時の政治を浮き彫りにしていくというスタイル。

春学期は「陸奥宗光」
秋学期は「小村寿太郎」。

参考図書は当時発禁で
日清戦争時の外交を記録した「蹇蹇録」でした。

聞き馴染みのない専門用語のオンパレードだったけど、
その愛のある柔らかい語り口のおかげで、
なんとかついていけた。

はっきりと覚えているフレーズは
「他策なかりしを信ぜんと欲す。」

「他にやりようなかってん、信じてくれや」
みたいに意訳しても差し支えないと思う。

日清戦争に勝利したものの、
それに見合う権益が三国干渉によって
得られなかったことに対する弁明である。

外務大臣の陸奥宗光がいかに苦労して
戦後交渉に立ち向かったかを
15講の授業全部を費やして語ってくれた。

一人の人間が凄まじい気力をもって
当時の日本を支えていたんだということを
学んだ。

1枚目の画像にある通り、
「政治学をもっとゆるやかな意味で人間学として捉える」
という方法論が徹底されていました。

その豊かな見識によって観察される人間模様に
ハマってしまい、狂ったように読書した。
人間ってこんなに面白かったんかい。

11年経った今、
その熱が冷めてきちゃってるな、いけねえ
って思った時に、この「読書案内」を見返して、
自分を奮い立たせています。

まだ3分の1も読めてないや。

一生を懸けるつもりで取り組んでいこうと思う。



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